【連載】ア式蹴球部 早慶クラシコ&総理大臣杯前対談 第1回 鈴木大翔×柏木陽良

特集中面

<<特集表紙に戻る

対談第1回は2年生コンビ、柏木陽良(スポ2=鹿島アントラーズユース)と鈴木大翔(スポ2=ガンバ大阪ユース)の二人。

ーーチームとして、個人として今季ここまでを振り返って
鈴木 個人としては結果を残していないというのと、今ケガをしてしまっているのでそこが良くなかった点です。チームとしても、シーズン前は良いかたちで試合を終えることができていたのに対して、シーズンが始まってからはなかなか思うように結果が出ていないので結果を残すという部分でチームとしても個人としても求めていきたいです。
柏木 自分はシーズンが始まってからはトップチームにいなくて、違うカテゴリーでサッカーをやることが多かったんですけど、アミノ杯(アミノバイタルカップ)からトップチームでやることが多くなり、個人としてはステップアップをシーズン中にできたのは良かったです。チームとしては総理大臣杯(総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント)の出場が決まったんですけど、苦しい方が多く最近勝ちをつかめていないので、そこを厳しく求めていく必要があるかなと思います。

ーー柏木選手は関東大学サッカーリーグ(リーグ戦)では先発出場が増えていますが、手応えはどうですか
柏木 自分的には満足できていないので、これからまたチャンスを与えてもらったらしっかりチャンスをつかめるようにやっていきたいなと思います。ゲームをつくるところだったりもっと攻撃に参加して、自分の特徴を出して結果を求めてやっていきたいです。

ーー昨季と比べ、個人的に最も変わった点や成長した点はありますか
鈴木 チームを勝たせようという気持ちは今年に入ってより一層強くなりました。

ーー何かきっかけはありましたか
鈴木 学年が上がったのもそうですし、トップチームで出ている責任や、試合に出ている以上結果を残してチームを勝たせないといけないのでそこに対する思いは強くなりました。
柏木 自分は発信する力を今シーズンは意識していて。去年から何か変えなきゃと思った時に自分が周りに伝えることで周りのプレーを生かしたりすることを今シーズンから意識するようになりました。最近はチームとしてゴール前や勝負ごとに対して厳しく言っているので、そういったところをその場で話すことを意識しています。

ーー鈴木選手は今年の新体制対談で「攻守においてのゴール前の質がまだまだ足りない」とおっしゃっていましたが、変化はありましたか
鈴木 やっぱり質の部分については永遠に改善が求められると思うんですけど、特にチャンスを決めていれば試合を終わらせることのできる試合も今年あったので、やっぱりまだまだ改善が必要だと思います。

 

対談中の柏木

ーーお互いのプレーはどのように映っていますか
鈴木 僕から見た陽良の良さはアイデアが豊富なところと、ワンプレーワンプレーの質が高いところです。僕はフォワードなので前見てパスを出してくれる選手が好きなんですけど、陽良は蹴れる位置で前を向いてくれるので、そういった選手は動きやすいし、受け手としてはやりやすいので個人的にはめちゃくちゃ良いバランスだなと思います。
柏木 特に前線の選手には、自分はこういうパスが出せるから動き出してほしいという要求はしますね。今年はまだ一緒にはやってないよね?
鈴木 一緒にはやってない。
柏木 (鈴木が)ケガをしてしまって一緒にはやってないんですけど、大翔はフォワードでも守備をきちんとやっていたり、時間をつくってくれるプレーがあってチームの中で大事な役目を担っていると思っています。後は、自分は大翔に点をもっと決めてほしいです。大翔の武器はシュートのパンチ力なので、そこをもう少し見たいと思っています。

ーー2年生になって心境の変化はありましたか
鈴木 仕事がちょっと楽になりました(笑)。

ーー1番大変だった仕事は
鈴木 70分前集合ですね。
柏木 練習の70分前に集まって練習の準備をするのが1年生の仕事で、朝練の日に早く集まるのがなくなったのはめちゃくちゃ楽になりました。

ーー柏木選手は2年生になって心境の変化はありましたか
柏木 仕事が楽になったのもそうですし、後輩ができたので自分たちが示さないといけないと思うようになって。仕事の面で教えたり、ミスしないようにより一層気をつけなければいけないと思うようになりました。ピッチ内のところでも学年が1つ上がって自分たちがその上の学年を支えなければいけなかったり、逆に引っ張っていかなければならないなと思うようになりました。

ーー上の学年、特に4年生はどんな学年ですか
鈴木 一人一人元気があって、それぞれの個性や特徴があります。やるところはしっかりやってメリハリがあるのと、背中で示してくれたりリーダーシップも取ってくれるので良い先輩だなと思います。
柏木 自分も個性が強い人が多い印象があって、プレーで示すような人が今年の4年生は多くて、そういったところは試合中や練習中も頼りになります。

ーー今シーズン印象に残った出来事や試合はありますか
鈴木 アミノ杯の亜大戦です。応援やったんですけど、2-0で勝ってて追いつかれて、PKも決められたら終わりのところまでいって。そこで全国に出られるか出られないかで今年のチームにとっていろいろな意味で影響が出る試合になってたと思うんですけど、そこで何とか勝てたのと、陽良がPKを蹴って活躍してたのでうれしかったです。ずっと(柏木は)うまいなと思ってたんですけど、トップチームに関わることがあまりなかったので、しっかりトップチームに関わって結果を残して活躍している姿を見れたのはとてもうれしかったです。
柏木 そしたら自分も亜大戦が印象に残っている試合です。自分にとってもトップチームでのデビュー戦でしたし、全国が決まる大事な試合で自分を使ってくれて「やってやろう」という気持ちがありました。PKでの決着になったんですけど、そこでもキックを任せてくれて。勝負に貢献できたなと思えた試合だったので、すごく印象に残ってます。

亜大戦の柏木

ーー今年も総理大臣杯の出場が決まりましたが、去年の総理大臣杯をピッチ内外から振り返っていかがですか
鈴木 やっていた身としてはあまり何もできなかったのが印象的です。関学大はプロ内定選手も多くて、しっかりゲームコントロールをされて自分たちのやりたいことがなかなか出せずに試合が終わってしまったので、もっと力をつけないといけないと思いました。こんなに一瞬で全国大会が終わってしまうことも感じたので、そういうことがないように日々積み重ねていかなければならないと思いました。
柏木 去年は関わることができなくて、映像で見てるだけだったんですけど、その時は自分より上の人たちがいて、その人たちも全国では通用せずに負けてしまうんだなと思って。見てただけだったんですけど、すごくくやしくて。絶対来年はこの場にいたいとその時は思いました。

ーー今年の総理大臣杯はどんな気持ちで臨みますか
鈴木 日本一をしっかり目指して、その中でも内容を求めたいです。攻撃の部分ではしっかり得点を取って、守備の部分では失点0にこだわってチームとして勝利を目指して日本一を取れたら良いなと思います。
柏木 自分もやっぱり日本一を目指して、トーナメントで負けたら終わりなので、勝つことを一番に結果にこだわってやっていきたいなと思います。

対談中の鈴木

ーー他己紹介をお願いします
柏木 大翔はプライベート面から言うと最近はずっとゲームしていて、ブロスタをやってるんですけど、ちらっと見たらずっとやってるみたいな感じです。
鈴木 恥ずかしい。
柏木 寮生でもやってる人がいるので、みんなでやってたりもしてます。後は、意外と仲良くなってみると結構変です。
鈴木 おい(笑)。
柏木 エピソードはちょっと言えないんですけど、大翔はめちゃくちゃ優しくて同部屋で良かったなと思ってます。サッカーのところはさっきも言ったようにチームにとって助かるプレーをしてくれるプレーヤーです。だから早く復帰してもらって一緒にサッカーやりたいなと思ってます。
鈴木 陽良は寮でも優しくて、ご飯もいつも一緒に食べに行ってます。結構変なところもあって、変わった一面が見られるので仲良くなってみたらおもろいです。漫画をずっと読んでて、感動シーンとか叫んで(笑)。そういったかわいい一面があって寮でも結構おもろいです。サッカーの面では、早く陽良のパスを受けたいなと思ってます。

ーー最近ハマっていることは
柏木 自分は『ONE PIECE』です。夏休みに入ってから読み返してて、今終盤まで来てます。良いシーンがあったら大翔に報告するようにしてます。
鈴木 最近はヒロアカ(『僕のヒーローアカデミア』)が終わって、『キングダム』が好きで、それを読んで(柏木に)報告したり。
柏木 自分も読んでるんで。

ーーネタバレは大丈夫ですか
鈴木 大丈夫です。
柏木 そこは大丈夫です。

リーグ戦慶大戦での鈴木

ーー早慶戦について伺っていきます。まずはリーグ戦前期の慶大戦を振り返って
鈴木 去年とは違ったサッカーをしていて、良い選手もそろってるし、良いサッカーもしてくるので手強い相手でもあります。自分たちのサッカーができた場面とできてない場面があったので、いかに自分たちのサッカーに持っていくかが大事だと思います。前期の慶大戦は飲み込まれてしまったので、チームとして痛かったです。

ーー昨年と違って、今年の慶大はどんなチームですか
鈴木 監督が変わったことでシステムも変わって、しっかりボールを保持しながらコートを広く使って攻めてくるので、やりにくくなりました。

ーー柏木選手は前期の慶大戦を振り返っていかがですか
柏木 自分は外から見ていて、今年の慶大は本当に強いなと感じました。監督とシステムが変わって、みんな技術も高いしチームとしてやることやどうやってボールを運ぶかが統一されていました。見てて本当にやりずらそうな相手だったんですけど、早慶戦は勝たなきゃいけない試合なので、大翔が言っていたように自分たちのサッカーをして慶大に自由にやらせないことが大事だと思ってます。

ーー昨年の早慶戦を振り返って
鈴木 去年自分はピッチに立たせてもらったので、あの観客の中でサッカーをするのは緊張したんですけど、めちゃくちゃ楽しかったです。結果を残して、まずはチームが勝てるように今年も頑張っていけたらなと思います。
柏木 本当に大学サッカーかと思うぐらいの盛り上がりがあって、応援やお客さんも入っていて本当にここでサッカーできたら楽しいんだろうなと思って。来年こそはピッチに立ちたいという思いが強かったです。

ーー国立開催については
鈴木 学生主体でここまでの規模でできるのは、他人事ではないんですけど本当にすごいと思います。大学生がこんな環境でできるのと、つくりあげていることが、自分たちがやっている身としても肌で実感してすごいし、頑張らないといけないと感じました。
柏木 自分も国立でできるのはすごいんだなと思ってて。国立で何回か試合見たことあるんですけど、そこでやるチャンスが今年あるんだなと思って、自分はそこに立ちたい気持ちがあります。後は、そこまで準備してくれている人たちがいるので、絶対勝たなきゃいけない試合だと思ってます。

対談中の二人

ーー早慶戦で自分と見て欲しいプレーは
鈴木 しっかり相手の嫌なことをして、相手の嫌なところでボールを受けてゴールを決める場面を見てほしいです。
柏木 自分は、自分がボールを持った時のプレーを見てほしいなと思っています。大翔も言ってくれたけど、アイデアとかゲームをつくるところを見てほしいです。

ーー早慶戦での注目選手は
鈴木 駒沢直哉くん(スポ4=ツエーゲン金沢U18)で。いろいろな試合の展開を想像しても、どこかで必ず決定機がくると思って、そのチャンスを決めるか決めないかで変わってくると思うので、いかにそのワンチャンを仕留められるかを考えた時に直哉くんが決められる選手なので、チームとしても期待したいなと思います。
柏木 自分は3年生の本保奏希くん(スポ3=JFAアカデミー福島U18)に注目してほしくて。ボールを持った時の推進力や、自分でゴールまで行ける力に注目してほしいです。

ーー早慶戦は2人にとってどのような舞台ですか
鈴木 憧れの舞台でもあります。大学入ってくる前に早慶戦を見たりしてピッチでプレーしたい思いだったり、このピッチで点を取りたいと大学に入る前から思っていました。プロとはまた違った魅力もあるし、大学サッカーでこそ味わえるのでそういった意味でも憧れの舞台です。
柏木 自分も一緒で、早稲田にいる以上はみんなあのピッチに立ちたいと思ってますし、去年の盛り上がりを見た以上、自分は絶対あそこに立ちたい気持ちが強いです。早稲田に入るってなった時に早慶クラシコや早稲田の試合見てすごさを感じたし、去年実際肌でも感じたのであの舞台に立ちたいです。

ーー4年生と戦う最後の早慶戦ですが、いかがですか
鈴木 もし自分がピッチに立ったら、勝たせたいと思っています。ピッチ外でいろいろな人が動いている姿を見ているのでチームが勝ってほしいのと、100周年だったり今年の早慶戦にみんな熱いものを持ってるので、4年生と一緒に勝ちたいです。
柏木 自分も、4年生のためにも早稲田のためにもこの試合を絶対勝たせたいと思っています。後は100周年で国立で開催できるので、良いもので終わらせたいと思ってるので、試合に出たら自分の力を発揮してチームのために頑張って勝利に貢献したいです。

ーーチームの見てほしい部分は
鈴木 チームが一丸となって戦うところや、4年生がチームを引っ張る姿勢はピッチ内外でも出ているので、それは見てても伝わってくると思うしそこに対する思いも感じられると思うので見てほしいです。
柏木 4年生たちの個の力が一つになってるところを見てほしいし、絶対に勝つという気持ちやプレーから感じられるものをしっかり見てほしいなと思います。

ーー最後に、早慶戦に向けて意気込みをお願いします
鈴木 早稲田が絶対に勝ちます。個人としては結果を残してチームを勝たせられるような選手になります。
柏木 自分の長所を発揮してチームのために戦って、絶対に勝ちます。

夏へ向けての意気込みを書いていただきました

鈴木大翔(すずき・ひろと) 写真左
2004年(平16)4月8日生まれ。ガンバ大阪ユース出身、180センチ。フォワードらしい駆け引きが持ち味の鈴木選手。部内では鈴木選手を兄にしたい派と弟にしたい派、どちらもいました!

柏木陽良(かしわぎ・ひいろ) 写真右
2004年(平16)4月13日生まれ。鹿島アントラーズユース出身。173センチ。ボールの扱いに長けていて、これぞ中盤という選手。大学生のうちに免許を取って鈴木選手とどこかへ行きたいとのことです!

(取材・編集 渡辺詩乃、勝野優子)