粘り強いディフェンスで帝京大Dとの接戦を制す

ラグビー男子

夏季オープン戦 8月17日 対帝京大D 早大・菅平グラウンド

 日差しが強く照りつける早大・菅平グラウンドで、早大D対帝京大Dの一戦が行われた。ディフェンスで成長を見せた早大Dだが、帝京大Dのモールアタックに苦戦し12ー14で前半を終える。後半も引き続き苦しい展開が続きながらもトライを重ね同点となった早大D。帝京大Dのペナルティによって掴んだチャンスを活かし、29ー26で白星を上げた。

先制トライを挙げるCTB中谷ゲームキャプテン

 前半3分、敵陣マイボールラインアウトから右にボールをまわし、CTB中谷波一土(人4=東京・本郷)が勢いよくインゴールにボールを運び早大Dが先制に成功した。「チームテーマとして『ガッツセット』を掲げ、相手より速い動きをした」と語るチームキャプテン自らテーマを体現し、チーム全体の士気を高めた。その後帝京大Dにモール押し込まれトライを許すも、俊敏に大きく動くWTB山下恵士朗(スポ1=佐賀・早稲田佐賀)、機敏にステップを踏むFB小貫壮太(教2=東京・早大学院)をはじめとしたバックスの活躍もあり、さらに1トライを追加した。何度も自陣に攻め込まれ苦しい局面が続く中、「自分のやれることは限られていたからこそディフェンスにコミットした」と試合を振り返るLO久我真之介(文構1=東京・早実)を中心に粘り強いディフェンスを見せる早大D。前半39分には帝京大Dからさらにモールを押し込まれ追加点を許すも、12ー14と僅差で試合を折り返した。

持ち味の快速を見せつけるFB小貫

 後半に入り両者譲らない戦況が続く中、先に動きを見せたのは早大Dだった。後半7分にゴール前ラインアウトからスムーズにモールを形成。ディフェンスの隙をついてHO真田稜大(教3=東京・早実)がゴールラインに飛び込み、チームに勢いをもたらす勝ち越し点を挙げた。この局面について真田は試合後、「いいモールを形成してくれたので、あとは行くだけだった」と振り返った。帝京大C戦で実力を発揮できず悔しさを滲ませたSO島田隼成(スポ1=福岡・修猷館)も、鋭い角度からのコンバージョンキックを華麗に成功させ、キックコントロールの改善を見せた。しかし立て続けに帝京大Dにトライを許し、同点に追いつかれる。自陣ゴール前での死闘が繰り広げられる中、フォワードがスクラムで意地を見せ帝京大Dのペナルティーを誘い、マイボールラインアウトに持ち込んだ。流れを掴んだ早大Dは後半37分、敵陣ゴール前スクラムで再びペナルティーを獲得しショットを選択。緊迫した雰囲気の中SO池山昂佑(商2=東京・早実)が確実にペナルティーゴールを決めた。最後の苦しい局面でもプレッシャーをかけ続けたことによりリードを奪った早大Dが、29ー26と僅差で死闘を制した。

鋭いランスキルでインパクトを残したWTB山下恵

 ゲームを通して苦しい展開が続き、本来のアタックを見せることができなかった早大D。しかし真田が「チーム全員のこの試合にかける想いが体現された結果だと思う」と語った通り、粘り強いディフェンスを武器に勝ち取った帝京大Dからの白星は、菅平での厳しい練習の成果を物語っている。ラストイヤーにかける熱い思いで本試合を牽引した4年生を筆頭に、今後も成長し続ける早大ラグビー部に期待が高まる。

(記事 伊藤文音、写真 村上結太、平壮真、堀内遥寿)

 

 コメント 

CTB中谷波一土ゲームキャプテン(人4=東京・本郷)

――チームのコンセプトはなんですか

 チームテーマとして「ガッツセット」を掲げ、あらゆる場面で相手より早い動きをするようにしました。

――BKのアタックテンポが得点に繋がったところもありましたが、チームとして意識したことはありますか

 相手より早いセットで、用意したオプションを余すことなく使うことを練習から意識してきたので、その成果が出たのではないかなと思います。

――ディフェンスの部分でチームとして意識したことはありますか

 苦しい時間帯にいかに我慢できるかが勝負の分かれ目だと試合前に声をかけ、それを体現できた結果かなと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 最終学年としてチームに残せるものはまだ多くあるので、下からの追い上げをさらに激しくして、チームとしてさらにレベルアップしていきたいです。

LO久我真之介(文構1=東京・早実)

――個人のゲームコンセプトは何ですか

 自分ができることは限られていたので、ディフェンスのタックル、ジャッカルにコミットしました。

――ディフェンスのターンオーバーが目立ったが、意識したことはありますか

 早いセットアップ、ノミネート、タックルにこだわりました。

――セットプレーが安定しない場面も見られましたが、チームとして改善した部分はありますか

 スクラムの部分で、FW陣で常にコミュニケーションをとって調整できたと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 スキルの部分をもっと磨いてトップチームに食い込みたいです。

HO真田稜大(教3=東京・早実)

――今日の個人のコンセプトは何ですか

 「ガンツ」で自分たちの出来る力を全て出しきってプレーする、そういう意味が込められています。全体的には体現できたかと思いますが、後半足が止まる場面もあり、満足はできていません。

――セットプレーの感触はいかがですか

 変化する相手フロント、グラウンドのコンディションに適応しきれないところがあったので、もっとFW全体でコミュニケーションをとって解消していきたいです。

――自身のトライを振り返っていかがですか

 夏合宿を通した課題であるモールで、味方が良い形を組んでくれたので、あとは行くだけでした。しかし、まだまだ理想のモールとは遠いので、この夏合宿で形にしていきたいです。

――トライライン前で粘るシーンが多かったと思うのですが、手応えはいかがでしたか

 チーム全員のこの試合にかける思いが体現された結果だと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 今回の試合は4年生がラストイヤーにかける思いを見せてくれての勝利だと思います。僕たちもレベルアップして荒ぶるを歌いたいです。

FB小貫壮太(教2=東京・早大学院)

――今日の個人のコンセプトはありましたか

 春のC戦でなにもできなかったので、今回はキックカウンターにこだわって、チームに勢いを与えようと意識していました。

――キックカウンターやライン際のアタックでのゲインが見られたが、今試合の手応えはいかがですか

 前半はノックオンするなどチームに迷惑かけてしまったのですが、後半では自分が意識していたキックカウンターを初めとしてアタックの部分でチームに勢いを与えることができたのでよかったと思います。

――春シーズンから成長した点はありますか

 春シーズンではコンタクトの部分で全く通用しなかったのですが、夏の今試合で少しは通用するのかなと思えるようになりました。

――ディフェンスでは、抜けてきた選手と1対1で戦う場面が多く見られたが、何か意識していたことはありましたか

 チームとしてはタックルのバインドにこだわっていて、僕が抜かれたら最後なので絶対に離さないという思いでタックルに入りました。

――BK全体のアタックを振り返って収穫はありますか

 春と比べてコリジョンで前に出られるようになったのでそこが収穫だと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 これから本番のシーズンに入っていくので、少しでも上のチームにいけるように頑張ります。

SO島田隼成(スポ1=福岡・修猷館)

――今日の試合の個人のコンセプトを教えてください

 今回の試合の目標はリベンジです。前回の春の帝京大C戦で自分がゲーム崩してしまって負けたから、やっぱりそこは試合後のシーズンと合宿に向けて、この帝京戦目標にずっとやってきたので、リベンジがコンセプトでした。

――その達成度としてはいかがでしたか

 C戦は最後に自分がキック外して負けてしまって、すごく責任感じるし、達成度としてはものすごく低いですが、D戦で切り替えて最後勝って。自分が直接勝ちを決めたわけじゃないけど、勝ちまでチームを持っていけたのは良かったと思います。

――ゲームコントロールで意識したことはありますか

 前回の帝京戦はキックとか外に逃げて、自分たちが普段やってないようなアタックの形をやって、自分たちから崩れてったので、今回の試合はもう自分たちがやってきたことをシンプルにやるってところ意識してゲームメイクしました。

――今日の試合を通して見つかった課題はなにかありますか

 1番分かりやすく目に見えたのは、最後、プレッシャーがかかった状況でのコンバージョンキックやそれ以外のプレッシャーがかかった状況でのプレイで何本かミスが出ていました。もっと普段の練習からゲームでのプレッシャーを意識して、そこを改善していこうと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 今回は、CDっていうカテゴリーで試合をすることになったけど、自分の強みを鍛えつつ、やっぱり弱い部分もまだまだいっぱいあるので、そこを修正して上のチームにもっとどんどん絡んでいけるように頑張ります。

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