新入生インタビュー第4回は、笠井美好奈(文構1=アメリカ・メティアヴァリー高等学校)。昨年秋の大学入学を機にアメリカから日本に越してきたという競技歴やスケートへの想いだけでなく、大学生活や今後についても話を聞かせてもらった。
※この取材は5月16日に行われたものです。
笑顔の笠井
競技について
――スケートを始めた時期ときっかけを教えてください
5歳のときです。家の近くにアイスリンクがあって、やってみたいなと思って、お母さんに連れて行ってもらいました。
――シカゴ出身だそうですが、いつ日本に来られましたか
生まれた時から高校卒業までずっとアメリカにいて、高校卒業を機に(去年の)9月に入学しました。
――日本に来たきっかけは
高校時代に怪我をしてスケートができなくなったことで、これからどうしようと考えた時に、日本の歴史の漫画をたくさん読むようになって、面白いなと思いました。幼いころから夏休みに日本に来ていたので日本とのつながりはあったのですが、大学を目指してみたいなと思って受けました。
――シカゴで大会に出たことはありますか
出ました。復帰に向けて頑張っています。
――早稲田大学フィギュア部門Instagramの部員紹介欄に「怪我によるブランクを取り戻したい」と書いていましたが、ブランクというのはいつ頃のことですか
高1の頃陸上練習中に骨折してしまいました。骨折だけならまだ良かったのですが、靭帯を損傷したりもしてしまい、1年間全く歩けなくて、そのときは絶望したのですが、大好きなスケートに戻りたくて頑張っています。
――現在はどのくらいまで戻せていますか
高2から戻し始めて今は簡単な2回転くらいまで。怪我前は2回転アクセルまで跳べていました。
――日本の大会にはまだ出たことはありませんか
はい。まだ日本の大会の検定に出たことがなくて…。まず級を取得しないことにはクラブにも入れないし大会にも出られないので。
――今はクラブには所属せず練習をしているということでしょうか
そうなんです。なので、一般滑走とか貸し切りでしか練習できないので大変なんですけど。
――アメリカから日本に来て、練習環境などに違いはありますか
スケートの環境が全然違うんです。(アメリカは)一般滑走と、練習が行われるアイスタイムが全く別物になっていて、一般滑走は完全に遊びに来る人が行く感じなので、クラブに所属していなくても(一般滑走ではなくアイスタイムに)練習ができました。日本よりも練習はしやすい感じでした。
――競技の魅力は何だと思いますか
スケートは魔法の世界みたいだなと。自分が滑っていなくても、大会で観ていると自分も引き込まれそうになって。大会に出ている人の魔法の世界に自分も入れるような感じがします。
――ご自身の強みは何ですか
私は本当にスケートが大好きなので、気持ちを表すことにはちょっと自信があります(笑)。
――好きなエレメンツなどはありますか
アクセルが楽しいです。アクセルは高く跳びやすいので。高いジャンプは鳥が飛んでいるみたいで素敵だと思います。
――どんな選手になりたいか、選手としての理想像はありますか
観ている人を、自分が作る魔法の世界に引き込めるような選手になりたいです。
――早稲田大学のスケート部に入部した理由、経緯を教えてください
羽生結弦選手(令2人卒)に憧れていたのと、何より、大学でもスケートを続けたかったからです。
――羽生選手は早稲田出身ですね。どんなところに憧れていますか
アメリカにいた時、羽生結弦選手の動画をよく見ていたのですが、人間とは思えないようなスピードと高さのジャンプを跳んでいて憧れました。
――早稲田の先輩や同期と交流しましたか
まだ全然知らなくて、これから交流していきたいです。部練も一度しか行ったことがなくて。
――早稲田大学フィギュア部門への印象は
皆さんとても上手なので驚きました。私なんかが入ってよいのかな、と始めは少し不安でしたが、皆さんとても優しそうなので!
私生活、大学生活について
――趣味は何ですか
絵本を読むことです。昔から好きだったのですが、スケートをしているときみたいに幸せになれるので。怪我をしていたときはどうしてもスケートができなかったので、絵本を読んでいました。そのときは、あとはピアノを弾いたりもしていました。
――絵本がお好きなのですね。スケートと絵本に何か共通点などはあるのでしょうか
今の辛さとかの現実から離れて、自由にできる世界に行けることかなと思います。
――アメリカでの生活と日本での生活はどのような違いがありますか
全然違います。日本に来るとアメリカでのことを忘れてしまって、逆にアメリカに行くと日本でのことを忘れてしまうんですけど(笑)。アメリカは広いので車移動が多かったのですが、東京だと電車やバス、自転車に乗っていて、差がすごいです。スケートリンクに行くときも、アメリカではパッと車で連れて行ってもらう感じだったのですが、東京だと必死な思いをして、電車の乗り継ぎだったり、公共交通機関を使わないといけないのが大変で。時々間違えたりするとパニックになってしまって(笑)。アメリカではバスも電車も乗ったことがなかったので。
――文化構造学部ですが、何を勉強していますか
日本の文化や歴史です。将来的には文学を勉強したいです。
――面白かった授業などはありますか
平安文学の授業があるのですが、和歌や古典を読むのが楽しかったです。基本は英語に訳したやつを読むのですが、日本語の原文と両方読みます。
――英語の方が読みやすいですか
難しいですね(笑)。日本に関係することは日本語の方が読みやすいです。特に歴史ですかね。例えば江戸時代の歴史の授業があったのですが、英語に訳した歴史の教科書を読むのが難しくて。日本語で将軍と書いてあった方が分かりやすくて、英語で変に訳してあると、これ何だ、となってしまって、改めて日本語で調べ直したりしました。
――学業とスケートの両立はいかがですか
両方精一杯頑張りたいです。うまくできるかは分からないですが、両方楽しいので。
――スケート以外で、大学4年間でやってみたいことはありますか
お城に興味があるので、城廻りとかしてみたいです。
今後について
――今後はまず級の取得を目指していく形になるのでしょうか
はい。一からやり直さないといけないのが大変なんですけど、先生も優しいので。今年末までには3級を取って、来年からは3、4級でインカレに出られたらなと思っています。
――今シーズンのプログラムは何ですか。どんなところに注目してほしいですか
SPは『Avatar: Music from the Motion Picture』,FSは『”A Whole New World” from Aladdin』です。怪我前のプログラムなので、今は持久力もないですし前と同じようには滑れないですけど、頑張っていきたいです。両方共通しているのが「飛ぶ」ことがテーマになっていることです。夢の世界に飛んでいく、みたいなそうしたことを描きたいです。
――大学4年間の目標、ビジョンを教えて下さい
スケートと学業どちらも続けたいのはもちろんなんですけど、将来の夢が童話作家になることなので頑張ります。趣味で短いものを書いたことはあるのですが、もちろん出版できるようなものではないので、大学卒業するまでにはもう少し書けるようになりたいです。スケートについては、怪我する前のレベルに戻す、というのが一番大きくて、それだけで4年かかるかもしれないんですけど、また2回転アクセルとかをどうしても跳びたいので、大人になる前に頑張りたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 荘司紗奈)
◆笠井美好奈(かさい・みいな)
アメリカ・メティアヴァリー高等学校出身。文化構想学部1年。無級。