華の早慶戦 応援の力で完全優勝をものにした!/早慶戦1、2回戦応援

応援

 6月1日、2日 明治神宮野球場 東京六大学野球春季リーグ戦

 華の早慶戦が今年も開幕した。完全優勝がかかった大一番。『打倒慶應』を掲げ、完全優勝を見届けた勇姿を振り返る。

 試合直前では、両校の応援部、應援指導部が相手側の応援席に移動し、陣中見舞いを行った。『早慶讃歌』の斉唱、応援曲メドレーを披露し、早稲田・慶應の司会の掛け合いなど早慶戦でしか見られないパフォーマンスが行なわれていた。スタメン発表が行われると、校歌が演奏され、内外野の応援席にいる全員が愛好心のもと、腕を半月状に振り上げる。吉田成ノ真旗手(法4=埼玉・早大本庄)は「早稲田の新たな心の拠り所」として、作成された『大校旗』とともに入場。今年の早慶戦では旗礼にこだわり、例年よりも長く行った。

  晴天の中始まった、1回戦。応援席は満員御礼で早大の完全優勝を待ち望んだ観客たちで埋め尽くされた。初回から2死となったものの、『Blue Sky コール』の中乗り切る。2回表、伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)がマウンドに立ち、『タツキコール』が応援席全体に響き渡る。そして、2回裏。横田圭祐新人監督兼稲穂祭実行委員長(人4=東京・成蹊)が学注(学生注目)で「早稲田は勝利に飢えた顔をしている」と叫ぶ。『コンバットマーチ』を披露し、リーダー5人が飛び乗った瞬間に前田健伸(商3=大阪桐蔭)がタイムリーヒットを決め、待望の先制点をあげた。3回。吉田成ノ真旗手(法4=埼玉・早大本庄)が「もっと声出せるぞ!愛好心たりてないって!」と叫び、盛り上がる。応援席の想いが通じたのか、吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)によるホームラン。応援席はさらに盛り上がる。4回。郷田悠生代表委員主務(文4=岐阜・麗澤瑞浪)がにこやかに壇上に登場。チャンスが続き、コンバットマーチが鳴り止まない。5回表はチアリーダーズの『GUTS!』のパフォーマンスが行われ、チア曲に後押しされたかのようにテンポよく慶大の攻撃を終わらせ、流れを完全に早大のものにした。

 5回裏では『早稲田健児』に合わせ、尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)がヒットを放ち、チャンスの中、『コンバットマーチ』に合わせ印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)のタイムリーヒットで1点を加える。内外野で『紺碧の空』が響き渡る。続く6回。二星太誠学生動員対策責任者兼広報責任者(商4=東京・三田)は「絶対に優勝する」と決意を叫ぶ。エース伊藤のヒット、尾瀬のヒットにより1点を追加し、『紺碧の空』が歌われる中、山縣秀(商4=東京・早大学院)によるツーベースヒットで『紺碧の空』は2番に突入。吉納による今試合2本目のバックスクリーンへの3点ホームランにより紺碧の空が鳴り止まない。大量得点した時に見られる、『紺碧の空』から校歌という流れも見られ、応援席は歓喜に包まれた。勢いをそのままにして、9回でアカペラでの『紺碧の空』から『Blue Sky』コールが行われ、見事早大が勝利した。

テクを披露する二星

 両校の校歌が神宮球場に響き渡った後、セレモニーが行われた。『早稲田の栄光』では、横田と新人が指揮台に上り、勝利を讃えた。続いてリーダー練習責任者の地本大晴(社4=愛知・東海)が『伝統の勝利の拍手』で魅せる。早慶戦で勝利したときのみ行われる伝統技で、この、荘厳かつ重厚な拍手にセレモニーまで残っていた観客は息をのむ。そして、応援曲メドレー、『紺碧の空』を披露し、「明日も勝つぞ、早稲田」の文字切りから校歌を3番まで歌いきり神宮を後にした。 

 

『伝統の勝利の拍手』を披露する地本

 続く2回戦。前日の勢いのまま、試合開始直後から、初回から『紺碧の空』が響き渡る。裏では宮城誇南(スポ2=埼玉・浦和学院)が登板し、先制を許してしまう。続く2回では、『Blue Sky コール』『WASEDAコール』の中、田村康介(商3=東京・早大学院)、寺尾拳聖(人2=長野・佐久長聖)による2者連続ヒット。中村敢晴(スポ4=福岡・筑陽学園)によるタイムリーで、すぐさま追いついた。『大進撃』が響き渡り、『NEW WASEDA コール』の中、尾瀬のヒットによりもう1点を取り、逆転に成功。リーダーによる思いのこもった拍手も繰り広げられる。3回は郷田の持ち回。投手宮城へのエールを送り、慶大を勝たせまいという想いが通じたのか満塁ピンチの状態でスリーアウトをとる。続く4回では『吼えろ早稲田の獅子』1番を合唱。小澤によるホームランで貴重な追加点を挙げた。拮抗した展開だったが、5回表で展開が大きく動く。雨足が強くなる中、尾瀬のホームランを皮切りに、ヒットが連発する。『コンバットマーチ』が鳴り響く中、田村のヒットでこの回2点目。『SUNRISE』からの『フルゴー(Stand up and Go Fight!!) 』が鳴る中、寺尾がヒットを決め2点の追加点。この回合計6点を獲得し、『紺碧の空』から校歌を歌い上げた。雨が強まり、試合は一時中断。雨の中でも動じず、グラウンドを見つめるリーダーたちの背中は大きく、広いものだった。ノーゲームかと思われたが、雨が徐々に弱まり、試合が再開された。両者得点なく、8回まで進む。9回、星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)が「絶対勝つぞ」と決意の叫びを見せる。『コンバットマーチ』で「慶應倒せ!」のフレーズが流れた瞬間、小澤がヒットを放つ。梅村大和(教4=東京・早実)のタイムリーで1点、さらに石郷岡が生還してこの回3得点をあげた。この回でも、『紺碧の空』から校歌が歌われ勝利が目前に迫る中、最後は伊藤がマウンドに上がり、慶大を抑え、宿敵の前で勝利を収めた。

学注を披露する星野

 試合中は雨も降り注ぎ、一時中断するなど、選手にとっても応援する側にとってもコンディションが最善ではなかった。しかし、早大の応援はグラウンドまで伝わり完全優勝を収めることができた。


 完全優勝を見届けることが出来た早慶戦。コロナ禍の中、優勝という経験を1度も出来ずにいた4年生の代。今回の経験は早慶戦にかける思いは並々ならぬものであっただろう。応援部は今後、夏季合宿を乗り越えて、秋のリーグ戦(東京六大学野球秋季リーグ戦)にはさらなるパワーアップを見せ、再び「優勝」という感動の瞬間を迎えたい。

※掲載が遅くなり、申し訳ございません

(記事 井口瞳、写真 橋本聖、植村皓大)

コメント

星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)

――今回の早慶戦を振り返っていかがでしたか

 早稲田は優勝がかかった試合として、慶應はその早稲田の優勝を阻止する試合として、早慶の意地のぶつかり合った試合だと思いました。数々の壁を乗り越えた我々早稲田の意地が勝ったようで、大差で勝つ事が出来たのだと思います。

 ――早稲田大学の完全優勝を見届けていかがでしたか

 自分としても、応援部人生で初めての優勝でしたが、全大学から勝ち点をあげての完全優勝には、大変感動しました。

 ――早慶戦2日目は足元が滑りやすい中の応援でしたが、やりずらさなどはありましたか

 滑らない様に多少気を付けてはおりましたが、指揮台には慣れているので、いつも通り臨みました。

 ――秋季リーグに向けて意気込みをお願いします

 全日本大学野球選手権では惜しくも日本一を逃す結果となりましたが、まずは春秋連覇で、神宮大会優勝に向けて突き進んでいければと思います。引き続き早稲田を全力で応援させていただきます。


植木建開副将兼リーダー主務(人4=愛知・千種)

――今回の早慶戦を振り返っていかがでしたか

 何が何でも勝たなければなりませんでした。早慶戦で勝利できず慶應の優勝を見届けてきた悔しさがずっとありましたので、雪辱を果たすことができ大変嬉しく思います。

 ――早稲田大学の完全優勝を見届けていかがでしたか

 まず、優勝そのものに強い憧れやこだわりがありましたので達成出来たことが非常に嬉しく感極まりました。また、完全優勝ということで、1試合1試合が楽では無かったものの、総合的に見て他の5大学を寄せ付けない素晴らしいリーグ戦であり大変嬉しく思いました。

 ――早慶戦2日目は足元が滑りやすい中の応援でしたが、やりずらさなどはありましたか

 多少はありましたが、水気を取ったり、いつもより重心を低くしたり等行ったので、特にはパフォーマンスに影響は出なかったと思います。

 ――秋季リーグに向けて意気込みをお願いします

 必ずや東京六大学連覇を成し遂げたいです。全日本を経験させていただいた経験も活かしつつ、部員各々が強くなって全体としてレベルアップして参ります。そして、他大学に応援席で圧倒します。春王者の誇りや責任を胸にひたむきに精進します。