東女体大に悲願の10年ぶり勝利!リーグ戦3位入賞を果たす

水球女子

関東学生リーグ戦 6月16日 東京アクアティクスセンター

 

TEAM 1P 2P 3P 4P
早大 12
東女体大 10
得点者 杉本5、阿部2、井上2、奥田、手坂、佐野

 「とにかく嬉しかった」ーー。水球女子が大一番を制した。1ヵ月間に及んだ関東学生リーグ戦(リーグ戦)の最終節。前日に準決勝・日体大戦を落とした早大は、16日の3位決定戦に回った。対したのは、東京女子体育大学。今季目標とする日本学生選手権(インカレ)でのメダル獲得にあたり、確実に倒さなければならない壁だ。試合は、先制こそ許すもきっちりと差を埋め続ける、接戦ベースで繰り広げられた。第2ピリオド(P)で逆転を果たすと、そのまま着実にリードを広げる。そこから『後半の粘りのディフェンスと、守りに入らないオフェンス(奥田麗主将、スポ4=東京・藤村)』が勝利の肝になったと振り返るように、後半でも勢いを保ち続け、一度も追い上げを許さないまま逃げ切り勝ち。スコアは12-10とシーソーゲームをモノにして、リーグ戦を3位で締めくくった。

ディフェンスに入る早大

 第1Pではセンターボールを取るもその後先制され、直後の攻撃でも失点を重ねてしまう。それを返すように2分半、セットプレーの末に佐野陽(スポ1=山口・西京)が左サイドから余裕を持ってループシュートを決めると、3分には杉本華音(スポ3=千葉・秀明八千代)が続いた。ピリオド中盤には何度かピンチが訪れるが、阿部紗也香(スポ4=千葉・芝浦工大柏)の声かけを道しるべにして辛抱強くこらえ、最少失点で切り抜ける。その失点直後にも、杉本がすぐさまカウンターを切り返すと、井上舞(スポ3=京都・鴨沂)が左サイドから決め入れた。井上はこの後さらに得点を重ね、4-5で第2Pへ向かった。

この日も5得点と大活躍した杉本

 第2P開始後4分間は、膠着(こうちゃく)状態に。素早いカウンターアタックを繰り出し続けるも、相手GKに阻まれゴールネットを揺らすことができない。そして4分半、その空気を打開したのは阿部だった。まずは右サイドでボールを持った奥田が、左サイドに大きく展開。その先にいた阿部が、厳しいディフェンスにつかれながらも水面から腕だけを伸ばしてP初得点を生んだ。その後に失点するも、6分に杉本がミドルシュートを難なく決めるとついに逆転。さらには残り1分、相手シュートの手を井上が弾いてインターセプトすると、円形でパスの回し合い。一度シュートを決めるもこれははね返されたが、しっかりとボールを回収。最後には阿部がループシュートを決め、8-6と2点リードで前半を折り返した。

ループシュートを放つ阿部

 より差をつけていきたい第3P。センターボールを取った鈴木杏梨(スポ2=東京・白鵬女)が軸となってすぐさま攻撃を展開すると、相手の退水も活用して杉本がゴール。30秒間できっちりと攻め立て、前半の勢いを受け継いだ。さらに1分には阿部がゴール前での相手退水を誘発。これでペナルティスロー(PS)の権利を得ると、杉本が決め切った。こうしてリードを大きく広げるが、東女体大に粘り強さを発揮され、反撃の連続得点を奪われる。早大はテンポよくパスを繰り広げるが、ポイントゲッター・杉本に対するマークが厳しく追加点に至ることができない。最後にはPSのチャンスをまたも杉本が決め切り、このPは3-2。緊張感の走る接戦を着実にモノにしながら、最終Pに挑んだ。

攻撃の起点を多く作った鈴木

 東女体大がセンターボールを取っての最初の攻撃を守り終えた30秒、すぐさま早大がチャンスメイク。右サイドの鈴木が手坂心乃(スポ4=千葉・秀明八千代)にアシストし、左サイドからミドルシュートを収めた。さらに4分に展開したカウンターアタックでは、コート6メートルライン付近で奥田がボールを持つと、右サイド側に前進。周囲の状況を見極め自らループシュートを打ち、貴重な12得点目を決めた。終盤には東女体大の猛攻にあい2点を献上するが、反撃をここまでで抑え込み試合は終了。ブザーの鳴った瞬間、プールサイドに上がる選手達の顔には安堵や涙がこみ上げていた。

果敢にシュートを狙う手坂

 「シンプルに勝てたという事実が嬉しい」(手坂)。それもそのはず、部によれば東女体大への勝利は実に10年ぶりだという。難敵を攻略してのメダル獲得で、1ヵ月間に及んだリーグ戦を有終の美で飾った早大。さらに1年生をあらゆる場面で起用する「挑戦(奥田)」で好成績を得られたことは、残りシーズンのさらなる飛躍の布石となっただろう。水球女子はここから、8月の日本選手権最終予選、そして9月にはいよいよインカレと、シーズンの山場に向かっていく。「今年の早稲田は1位2位とも戦えるチームだと思う」(手坂)。リーグ戦の感触を糧に強豪校を切り崩し、新たな早稲田水球の歴史を刻むシーズンにできるか。

(記事、写真 中村凜々子)

(掲載が遅れてしまい、申し訳ございません。)

コメント

奥田麗主将(スポ4=東京・藤村)

ーー前日の日体大戦を経て、チーム全体ではどのような方針を共有されていましたか

 日体戦では自チームにエースがいませんでしたが、全員で得点するために試行錯誤し、オフェンスのバリエーションを増やす良い機会となりました。その自信と経験から、東女体大戦でも前半から攻めの姿勢で勢いのあるゲーム展開を心がけました。

ーー試合直後の涙が印象的でした。勝利さらに3位入賞が決まった瞬間の、率直なお気持ちを伺いたいです

 とにかく嬉しかったです。入学してから1度も勝ったことのないチームだったので念願の勝利で、今までやってきたことが間違いではなかったと実感できたことが、何より安心しました。

ーー終始接戦のゲーム展開でした。その中で、勝利の鍵となった場面はどこだったと振り返られますか 

 試合後半の粘りのディフェンスと、守りに入らないオフェンスだったと思います。リードしている状態で後半戦に入ると、守りに入りすぎて失点し、逆転されるケースが今までに何度かありました。そこをずっと私たちの課題としてきたので、リードしていても攻めの姿勢を捨てず、なおかつ自分たちの得意とする粘りのディフェンスを怠らないことで、勝利を掴めたのではないかと思います。

ーー今年の学生リーグ全体を振り返って頂くと、どんな1ヵ月間でしたか

 間違いなく、挑戦の1ヵ月だったと思います。私たち4年生にとっては最後の学生リーグということで確実に勝ちに行きたい状況で、1年生を含めたメンバー全員を積極的に交代させることで、ベンチメンバーの出場機会を増やしました。そうした挑戦的な戦術が、一人ひとりのプレーの幅を広げ、選手たちの体力温存にも繋がり、最後の試合に確実に活きたと思います。

ーー最後に、次の大きな大会となる日本学生選手権に向けての意気込みをお願いします

 今回の学生リーグでの挑戦的な戦術は、1番の目標であるインカレでのメダル獲得のためのものです。シーズンを通して一度もブレていないゴールに向けて、あと2ヵ月、全員で練習に励みたいと思います。今後ともご声援の程よろしくお願いいたします。

 

手坂心乃(スポ4=千葉・秀明八千代)

ーーこの日のチームの戦い方について、どのようなところが勝利につながったと考えられますか

 1次リーグでの交代の仕方など、リーグ戦との向き合い方が勝利に繋がったと考えています。個々の強さもありますが、チームのみんなで戦うことができたからこそ掴めた勝利です。

ーー第4ピリオドでは厳しい位置からミドルシュートを決め、チームを勢い付けていらっしゃいました。ご自身のプレーを振り返るといかがですか  

 1ピリ目の早い段階で退水がついたため、少し焦る場面もありました。私1人で攻める力は弱いため、心強いチームメイトがいてくれたからこそのプレーと、得点です。納得のいくプレーで点が取れて良かったです。

ーーリーグ戦3位という結果について、率直にどう感じられていますか

 まずは、シンプルに『勝てた』という事実がとても嬉しいです。その上で、今年の早稲田は三強と戦えるということが分かったと思います。1位の秀明大学と2位の日本体育大学とも戦えるチームだと思うので、インカレが楽しみです。

ーー最後の学生リーグを終えられました。4年間の学生リーグを振り返るといかがでしたか

 私事にはなりますが、私は大学2年のインカレでキーパーからフィールダーに転向しました。この学生リーグの4年間も、1、2年はキーパー、3年からフィールダーとして出場しました。フィールダーになりきれているか不安もありましたが、今大会を通して、ちゃんとフィールダーとして認められたのではないかと感じています。最後の学生リーグで自分らしいプレーをすることができてよかったです!

ーー最後に、次の大きな大会である日本学生選手権に向けての意気込みをお願いします

 念願のメダル獲得に向けて、より一層強いチームを目指します。それぞれの良いプレーが爆発するよう、練習に精進していきます!