前回王者相手に善戦も及ばず 杉本は個人9得点

水球女子

関東学生リーグ戦 6月1日 秀明大ウォーターポロアリーナ

 

TEAM 1P 2P 3P 4P
早大 11
秀明大 19
▽得点者
杉本9、阿部、鈴木

 水球女子の関東学生リーグ戦(リーグ戦)は折り返しに入り、2次リーグに突入した。早大は、先週まで行われた1次リーグの成績を7校中4位としたため、上位4校による順位決定戦を争うこととなった。1日、その初戦で対したのが秀明大だ。これまで数多くの日本代表選手を輩出し、日本学生選手権では5度の優勝という実績を誇る、学生王者とも言うべき難敵である。この日もそのパワーに圧倒され、先制の3連続失点から苦しい時間が続く。だが早大も後半からは、徐々に攻略の手がかりを見つける。ターンオーバーで切り返した攻撃を着実にモノにし、さらなるリードを許さなかった。逆転は叶わなかったものの、前半終了時点での点差を保ったまま11-19と善戦した。

攻守双方でチームに貢献した杉本

 強豪相手に2年生以上の布陣で挑んだ第1ピリオド(P)。だが秀明大の的確なパスについていけずにセンタリングを許す場面が続き、先制点を含む3連続失点を喫する。ところがピリオド終盤から徐々に早大の攻撃時間が増え始めた。まずは5分半、左サイドの奥田麗主将(スポ4=東京・藤村)からゴール前の阿部紗也香(スポ4=埼玉・芝浦工大柏)にボールが入った。そこで相手の退水(※)で数的有利に立っていた早大は、DFの緩みをモノにし、杉本華音(スポ3=千葉・秀明八千代)へとパスを通す。近距離からネットを揺らし、早大の初得点を決めた。6分にも相手の退水から、井上舞(スポ3=京都・鴨沂)がチャンスを見計らってアシストし、杉本がゴール。そして残り30秒からは相手のペナルティーファールによりペナルティスロー(PS)が与えられ、これも杉本がバウンドシュートできっちりと決めた。こうして猛攻を見せる秀明大に6点を許しながらも、3-6と食らいついた。

パスの機会を見計らう奥田主将

 第2Pは1Pの終盤での相手退水を引き継ぎ、早大優位でスタート。手坂心乃(スポ4=千葉・秀明八千代)がセンターボールを得るとすぐさまタイムアウトを取り、陣形を整える。再開直後、杉本が右サイドでのロングドリブルから相手ゴール前6メートル付近でミドルシュート。難しい位置から的確に得点した。だがその後は、ゴール前の厳しいDFでインターセプトを奪われ、相手の攻撃時間が増えていく。 木口京子(スポ3=京都女)のナイスブロックも見られるが、『初歩的なミスが目立ちカウンターを出されることが多かった(杉本)』と振り返るように猛攻を止めきれない。1年生の投入や、杉本の大量シュートなどで反撃を図るも2Pは1得点に終わり、4-12とリードを広げられて前半を折り返した。

相手DFをかわす井上

 なんとか差を縮めたい後半。第3Pでは前のPの流れを持ち越さず、堅いDFで簡単にはゴールを許さない。攻撃面では3分に、杉本がループをかけてのPSを決める。6分には、杉本がロングパスで巧妙にセンタリングを通すと、受け取ったのは 鈴木杏梨(スポ2=東京・白鵬女)。GKと1対1の状態から狙い打った。そして6分半には、相手シュートをGK甘庶乃亜(スポ1=神奈川・桐光学園)が処理すると、ボールは右サイドの鈴木へ。ロングドリブルでゴール真横まで泳ぎ切ると、プレスディフェンスをかけられながらも良い位置でサポートに入ったのはここでも杉本。うまくアシストが通ると、またもミドルシュートを決めてみせた。さらに終了間際には奥田が一瞬の隙を逃さずにインターセプトするなど意地を見せ、このPは3-3とスコアを並べた。

PSを決める杉本

 最終第4Pでは冒頭2分間で連続得点を奪われるも、2分半に井上舞(スポ3=京都・鴨沂)がロングパスでゴール前にボールを入れ、杉本が得点。5分半にも奥田のアシストを杉本が決め切った。今試合ではこの戦術がよくハマっている。さらに6分半、右サイドから阿部がループシュートを決め入れる。さらに残り30秒からは、鈴木がゴール前で相手の反則を誘うと、その隙に杉本が余裕を持ってネットを揺らした。こうしてこのPも4-4として互角の戦いに持ち込み、11-19で試合を終えた。

ゴールを狙う阿部

 結果的には完敗に終わったものの、後半に粘りを見せた秀明大戦。特に杉本は個人9得点と、ポイントゲッターとしての力を遺憾(いかん)なく発揮した。昨年のリーグ戦ではコールド負けを喫した相手に、健闘を見せたと言えるだろう。早大はこの翌週に行われた2試合を2敗として、今週の決勝トーナメントに挑む。今季苦杯をなめている相手との連戦が予想される中で、勝機を見出せるか。

(記事、写真 中村凜々子)

※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

コメント

杉本華音(スポ3=千葉・秀明八千代) 
ーー試合全体を振り返っていかがですか 

 個人的なプレーとしては、うまくいった場面が多かったと思います。ただチーム全体の動きに関しては、初歩的なミスが目立ちカウンターを出されることが多かったので、そういった小さな所を改善できていたら、点差を縮められたり勝てた試合だったのかなという風に思います。

ーーミドルシュートが冴え渡っていました。ご自身のプレーをどう振り返られますか
 状況として、ゴール前で自分がシュートするという時もありますが、周りを見れていなくて一つのシュートチャンスを逃してしまうこともあります。ボールをもらう前に状況を判断して確実なシュートを打てるような練習が必要だなと感じました。

ーーチームとしての特にオフェンス面では、どのようなところが課題として考えられていますか
 1人がボールを持っている時間が長く、カットインするタイミングを合わせられていないことがあったので、ボールと人が止まらないような流れのいいプレースタイルを磨きたいと思っています。

ーー最後に、来週の2試合に向けた意気込みをお願いします
 ダブルヘッダーでの日体戦と東女戦で、勝てる可能性がある相手だと考えています。なので、1日通しということでキツい試合にもなるかと思いますが、1Pから全力でいって、よければ2勝し、1勝でも勝てるようにしたいです。

 

井上舞(スポ3=京都・鴨沂)
ーー秀明大に挑むにあたり、どのような目標や方針を立てられていましたか

 プレスを重点的にしていました。フローター選手が優位であることを予想できていたので、簡単に逃がさないようなディフェンスをして、そこからカウンターを狙っていこうという風に考えていました。

ーー守備面ではずばりどのようなところが難しかったですか
 向こうはサイドを変えていくパス展開が多くて、中のディフェンスについていても(左右に)振られることが多かったので、ついていくのが難しかったなと思います。

ーーインターセプトしてターンオーバー、というポジティブな展開も見られました。ここについてはいかがですか
 カットした後にカウンターに行けていたところまでは良かったのですが、最後にシュートに至ることができなかったのが今後の課題だと思います。

ーー退水についてはチーム合計2とかなり少なく収められていましたが、このあたりも意識されていましたか
 やはり退水すると相手のチャンスになってしまうので、つかまれる手を上げるだとか、周りのヘルプを早く行くなどの工夫をして、減らす努力をしていました。

ーー最後に、来週の試合に向けた意気込みをお願いします
 2次リーグの中で一番大切な試合だと考えており、勝ちたい相手です。みんなで一致団結して頑張れたらいいなと思います。