第56回関東女子学生剣道選手権大会 5月18日 武蔵野の森総合スポーツプラザ
初夏の陽気となった5月18日。武蔵野の森総合スポーツプラザにて、第56回関東女子学生剣道選手権大会が開催された。この大会はトーナメントを勝ち抜いた32人と、敗者復活戦を勝ち上がった8人の計40人が6月に行われる全日本女子学生剣道選手権大会(全日本)への出場権を獲得する。早稲田からは栗山一花主将(社4=大分国際情報)、榎本凛香(社4=茨城・守谷)、中原菜月(社4=愛媛・帝京五)、片渕歌音(教4=早稲田佐賀)、松山若樹(社2=熊本・八代白百合)、海野美帆(スポ2=神奈川・日本大学)の6人が出場した。試合は片渕が2回戦、栗山、中原、松山、海野が3回戦で敗退。榎本は敗者復活戦まで残ったものの敗退し、全日本出場はならなかった。
構える栗山
片渕は1回戦から出場。2分半過ぎに相メンを制して1回戦を突破。2回戦は強豪・筑波大の岩本との対戦。序盤から体格の上回る相手に押し込まれる苦しい展開の中、2分過ぎに、メンを狙ったところを返される。その後は懸命に攻撃を仕掛けるも及ばず、2回戦で敗れた。個人戦初出場となった海野。初戦となった2回戦では開始直後から猛烈な攻撃を仕掛け、僅か10秒後と1分後にそれぞれメンを決める圧巻の勝利。3回戦は互いに出方をうかがう慎重な展開となり、延長に突入。試合開始から約7分後、海野がコテを狙って相手を試合場の端に追い詰めるも、メンを返され敗北した。主将としてチームを引っ張る栗山。初戦の2回戦を延長の末コテを決めて勝利し、迎えた3回戦。対戦相手の太田垣(大正大)は大柄な体格と上段構えからのメンを駆使して攻撃を仕掛け、優位に試合を進める。栗山はコテ、ツキを中心に反撃を試みるも有効打は打てず、長い延長戦へともつれこむ。試合時間が15分を過ぎたその時、試合が再開したばかりの一瞬の隙を突かれてコテを決められる。最後の個人戦で全日本出場を逃し、栗山は天を仰いで悔しさを露わにした。
相手の動きをうかがう中原
昨年、1年生ながらこの大会に出場した松山。初戦となった2回戦は相手の防御の上からメンを決めて勝ち上がる。続く3回戦、松山は相手の攻撃を落ち着いてかわし、技を打つ機会を狙う。しかし、延長に入り約3分後、松山がコテを決めきれなかったタイミングでメンを返され一本負け。昨年まで2年連続の全日本出場を果たし、今大会も活躍が期待された中原。ノーシードの1回戦からの出場となったが、初戦からスピードを生かした攻撃を見せる。コテの1本勝ちで初戦を突破、2回戦は延長戦で美しいメンが入り3回戦に駒を進める。しかし3回戦は強豪、筑波大の選手に対し苦戦を強いられる。試合開始から12分後、メンを狙い前に出たところで引きコテを打たれて敗戦。早大女子屈指の実績を誇る中原がまさかの3回戦敗退となった。
メンを打つ榎本
実力者が敗れる波乱の展開の中、早大勢で最後まで勝ち残ったのは榎本。2回戦、3回戦共にメンの一本勝ちで勝ち上がる。そして全日本出場をかけた4回戦。試合序盤はつば迫り合いを続ける膠着した展開で試合が進む。延長戦に入り、試合開始から9分後、メンを打たれ敗戦、榎本は全日本出場をかけ敗者復活戦に回った。迎えた敗者復活1回戦。試合開始から約2分半、相手が離れ、防御の姿勢が整っていない一瞬の隙を狙われドウを打たれる。残りわずかな時間で必死に攻めるもそのまま試合終了。全日本出場にはわずかに及ばなかった。試合後榎本は、「勝つべき場面で勝てなかったのは自分の力不足」と悔しさを滲(にじ)ませた。
全日本出場者ゼロという悔しい結果に終わった早大女子。榎本は「山場で勝てなかった選手がほとんど」との課題を口にした一方、「よい緊張感で臨めた」とチームとして試合を迎える上での手ごたえも得た様子だった。今大会の悔しさを胸に、9月の関東女子学生剣道優勝大会での活躍に期待だ。
※掲載が遅れてしまい申し訳ありません
(記事 植村皓大、写真 中村環為)
試合結果
栗山一花主将(社4=大分国際情報)
2回戦○ 栗山コ―上野(明星大)
3回戦● 栗山―コ太田垣(大正大)
榎本凛香(社4=茨城・守谷)
2回戦○ 榎本メ―栃原(帝京大)
3回戦○ 榎本メ―神郡(東洋大)
4回戦● 榎本―メ椋梨(国士舘大)
敗者復活1回戦● 榎本―ド川崎(國學院大)
中原菜月(社4=愛媛・帝京五)
1回戦○ 中原コ―石原(慶大)
2回戦○ 中原メ―佐藤(明星大)
3回戦● 中原―コ笠(筑波大)
片渕歌音(教4=早稲田佐賀)
1回戦○ 片渕メ―横江(國學院大)
2回戦● 片渕―メ岩本(筑波大)
松山若樹(社2=熊本・八代白百合)
2回戦○ 松山メ―吉村(城西国際大)
3回戦● 松山―メ小川(中大)
海野美帆(スポ2=神奈川・日本大学)
2回戦○ 海野メメ―井上(都立大)
3回戦● 海野―メ山田(筑波大)
試合後コメント
榎本凛香(社4=茨城・守谷)
今日の試合内容全体を振り返っていかがですか
――自分の中では、4年間のベストを尽くしてきたつもりなのですが、やっぱり勝てる相手や、勝つべき場面で勝てなかったのは、今の自分の力不足だと思います。勝てる試合って思われているってことは、自分の技術不足であったり、そういうのが目の当たりになったのではないかなと思うので、そこにおいては自分の技術というよりは、メンタル的なことが自分の課題なのかなと思える試合になりました。
敗者復活戦で特に意識されたことはありますか
――コーチから「ここからは楽しんで切り替えて、雰囲気を変えてこう」って言われたので、そこをとても意識したのですが、それが出し切れなかったのがちょっと悔しいなって思います。
今日の試合で収穫として得られた部分を教えてください
――やはり団体と個人戦の戦い方はかなり違うので、そこは勉強になりました。粘り強さの中で、最後ラスト1本打つというところは、相手の選手から学ぶ部分ではあったので、自分の中で攻め勝って打つことを意識して、それができるようにしていきたいです。あとは、団体戦に向けて頑張っていきたいと思います。
チームとしての戦いを振り返っていかがですか
――山場で勝てなかった選手がほとんどで。私は勝たなければいけない相手に勝てなかったところが問題点でした。ここで勝たなきゃいけないっていうところは団体戦にもあると思うので、そういう勝負どころで勝負できなかったところはすごい課題かなって思います。でも、この個人戦に臨むまでには、みんな賭けてきた思いがあったので、当日の朝もよい緊張感があって臨めました。この雰囲気は忘れずに、これからやっていきたいなと思います。
今後の目標をお願いします
――団体戦で日本一を取ります。