ミスのない走りで女子団体優勝! スピード勝負についていけず、男子団体は無念の2位

自動車

 強い日差しが照りつける中、全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)が東京・警視庁交通安全教育センターで行われた。例年はシーズン最終戦となる本大会であるが、コロナウイルスの蔓延による日程調整により、全日本2戦目の大会となった。早大自動車部は、アベック総合優勝を目標に、6名の選手を送り込んだ。貨物Aでは最上佳樹(社3=東京・攻玉社)が2位と健闘するものの、男子の部は予想以上のスピード勝負となり、男子団体は惜しくもライバルである慶大に優勝の座を譲ることになり準優勝。しかし、女子の部では、女子常用に出場した石山萌乃(文構2=神奈川・日女大付)、女子貨物に出場した小林眞緒(創2=福岡雙葉)がそれぞれ優勝に輝き、見事女子団体優勝へと導いた。

 

 早大自動車部が今大会で心掛けていたことは、「ペナルティをしないこと」。早大はスピードには自信があるものの、ミスによる減点が例年見られたため、各選手丁寧な走りを意識して臨んだという。
 男子乗用Aでは、中野龍太(法3=東京・小石川中教校)が出場。ミスのない綺麗なハンドルさばきで最後まで終えることができたものの、ライバルである慶大が圧倒的な速さを見せ、中野は1位から40秒差の3位となった。「もう言葉も出ないぐらいに完敗だった」と中野は試合を振り返った。別コースで男子乗用Bに出場したのは、1年生ながら選手の座を得た、安達悠人(社1=早稲田渋谷シンガポール)。「先輩に負けない走りをしなくてはいけない」というプレッシャーを自身に感じながら臨んだという。しかしいざスタートすると「無心に走ることができた」と安達。ペナルティー無しの丁寧な走りで4位でフィニッシュをした。「これから3年間実力を磨いて、先輩方に負けない走りをできるように精進していきたい」と、今後の抱負を語ってくれた。

 

 男子貨物Aに最上が出場した。以前の全関東フィギュアで優勝を見事飾ったこともあり、優勝への自信を十分持って臨んだ最上。しかし、途中までペナルティもなく圧巻の走りを見せたものの、終盤でまさかのペナルティを受けてしまい、優勝を逃す結果に。「飛ばしすぎてしまったことが敗因だ」と悔しさを滲ませた。男子貨物Bに出場したのは、主将山田龍(人4=兵庫・仁川学院)だ。今回が自動車部生活における公式戦最後となる。果敢に攻めた走りをするものの、「走りが崩れてしまった」と山田もペナルティをしてしまい、4位でゴールをした。そしてその結果、男子団体としては目標であった優勝は逃したものの、堂々たる準優勝を飾り幕を閉じた。

貨物Aに出場した最上し準優勝に輝いた

 

 一方、女子の部では2名の選手が出場した。女子乗用では、公式戦初出場となる、2年石山がステアリングを握った。先輩やコーチと共に万全な練習をしたこともあり、「それなりに自信を持って大会に臨めた」と振り返る石山。本番では、想定外の場所に車体が動いてしまった部分もあったというが、「落ち着いて対処できた」と冷静な走りで走り切り、初出場ながら見事個人優勝を果たした。女子貨物に出場した2年小林も、「絶対にペナルティをしない」ことを常に意識して走り切ることができ、関東大会で3位であった屈辱を晴らし、目標であった個人優勝を獲得した。結果、女子団体では見事栄冠を手にした。

今回の大会で死闘を振り広げた6名の選手

 

 どの選手も、自分が求めていた走りを最大限に出すことはできなかったと後悔を口にした。しかし、安定的なミスの少ない走りを全選手が繰り広げた結果、堂々たる総合準優勝を獲得することに繋がった。そして、今大会でラストレースとなった主将山田。「最後の最後まで支えていきたい」と強く語った。残す大会は、全日本学生ジムカーナ選手権(全日本ジムカーナ)。総合杯連覇をかけて、自動車部は進み続けた。

(記事 風間元樹 写真 部提供)

※掲載が遅くなり、申し訳ございません

結果

▽男子団体の部

準優勝 早大

▽男子個人の部

乗用A 3位 中野
乗用B 4位 安達
貨物A 準優勝 最上
貨物B 4位 山田

▽女子団体の部

優勝 早大

▽女子個人の部

乗用 優勝 石山
貨物 優勝 小林

コメント

中野 龍太(法3=東京・小石川中教校)

――どのような意気込みで望みましたか

 全日本フィギュアは毎年慶應義塾大学がすごい強いのですが、全日本総合杯を狙うためにも何としてでも団体として優勝を狙いに行きました。そして私は、常用の選手としてしっかり結果残して団体優勝するぞという意気込みで望みました。

――今回の試合を振り返っていかがでしたか

 慶大の走りがあまりにも鮮やかなものでして、30秒差の個人3位という結果だったのですが、もう言葉も出ないぐらいに完敗だったな、実力負けだったなというのを感じました。

――試合中意識していたことはありましたか

 部として「絶対にペナルティーをしない」という意識で走ってまして、早大自動車部はスピードが速いがペナルティーをしがちっていう特徴があって、個人としても絶対ペナルティをしないことを意識して走りました。

――来年度への意気込みをお願いします

 ペナルティーをしないという目標のもとではきっちりと走り切ることができたものの、その代わりにスピードが犠牲になってしまった部分がありました。純粋に慶大の選手に対しては実力負けだったというのを強く感じ、まだまだ練習不足だというのを実感させられてしまいました。次回の3月にある関東大会に向けて、慶大相手にも実力負けしないように、また1からの練習し直そうと思います!

安達悠人(社1=早稲田渋谷シンガポール)

――選手になった心境はいかがでしたか

 入部する時に、部にどういう形でもいいから貢献したいという思いがとてもあったので、選手になれたことは非常に嬉しかったです。ただ、その前年度に選手として活躍されてた先輩方を抑えて選手になったために、先輩に負けない走りをしなくてはいけない、部の看板を背負っている以上下手な走りができないというプレッシャーがかなり強かったです。

――今回の試合を振り返っていかがでしたか

 本番の試合中は、割と無心で走りきれたかなと思っていたんですが、実際に外から自分の走りを撮影した動画で分析していたら、練習の時と比べて力が出せていませんでした。ちゃんと走ったつもりでも、実際に見るとまだまだ詰めが甘いなという所を感じていて、無意識下でまだ実力を出しきれない部分を痛感しました。

――今後の抱負をお願いします

 その上位の3人とのタイム差が大体1分ほどあったので、基礎的な技術力がまだまだ足りていないところは痛感しました。これから3年間実力を磨いて、先輩方に負けない走りをできるように精進してきます。

最上佳樹(社3=東京・攻玉社)

――どのような意気込みで望みましたか

 貨物は慶大を相手に考えても、かなり自信がありました。以前の全関東フィギュアでも勝つことができたので。また、事前にコースが発表されていたので、いつも通りに練習をすれば勝てると思い、練習に励み本番に望みました。

――今回の試合を振り返っていかがでしたか

 途中まではペナルティもなく想定通りの走りをすることができましたが、最後の最後で飛ばしすぎてミスをしてしまい、ミスを引きずって焦りミスコールをしていまいました。そして自分が想像していた何倍も慶大が速くなっていて、慶大の強さを思い知らされました。

――来年度への意気込みをお願いします

 技術面はやり尽くしたとは思っていますが、向こうは速くなってしまったということもあり、今以上に練習をして、ミスのないことを意識した練習をしたいと思います。そして今までスピードを重視して練習をした際のタイムを、本番でも出せれるような形を目指して、来年度では優勝を勝ち取りたいと思います。

山田龍(人4=兵庫・仁川学院)

――主将として部全体に意識を促していたことはありましたか

 自動車部の競技全体としてあるのが、その選手が部員全員じゃないところで、全体としてチームで戦う意識は、忘れないように全員に植えつけていました。

――個人として今大会で意識していたことはありましたか

 今回のフィギュアに出てた4年生は自分だけで、最高学年として下の学年はずっと見て教えてたこともあって、教えてた人間としての責任みたいなものは感じながら大会に臨みました。

――ご自身の走りを振り返っていかがでしたか

 練習通りに行かず、だめだったっていうのが率直な感想です。なんでかなと考えたときに、慶大に対して常に意識して練習してきて、本番はその意識をなるべく切り捨てて走りたかったのですが、どうしても出てしまい、走りが崩れてしまったのが敗因かなと思います。

――今回が最後の公式戦だと思います。4年間を振り返っていかがでしたか

 4年間通して選手をやった事ってあんまりない中で主将をやらせてもらったっていう形になったんですけど、4年間を通じて一番思ったのは自動車部には沢山の魅力があるんだなと思いましたね。高校までの活動とは全然別物ですし、チームをどういう方向に動かすを全員で考えるところがすごい面白かったなと思います。

――最後に後輩へのエールをお願いします

 みんな全員大好きなんで頑張って欲しいです。応援しています。

石山萌乃(文構2=神奈川・日女大付)、女子貨物に出場した小林眞緒(創2=福岡雙葉)

石山萌乃(文構2=神奈川・日女大付)

――どのような意気込みで望まれましたか

 出場するからには勝ちたいなって言うのは凄い思いとしてありました。その中で、常用の先輩方が本当にすごい面倒を見てくださって、たくさんアドバイスをして頂きました。また、今回はコースが事前にオープンで分かってたので、本番通りのコースを何回も走れたということもあり、結構それなりに自信を持って大会に臨めたのではないかなと思っています。

――ご自身の走りを振り返っていかがでしたか

 本当にたくさん同じコースを練習してたので、実際に最初のスタートでアクセル踏んだ時に、本当にやってきたこと何も変わらないんだなと感じ、体が覚えてきたことをやるような感覚で走りました。緊張もせず、割と練習通りに走れたのはすごい良かったと思っています。

――今後の抱負をお願いします

 今回の部の方針としては、ペナルティをしないことでした。そのため、時間を削ることよりも正確さを極めてきたので、時間を削る視点から、もし攻めてたとしたらもっと速かったという後悔は少しあります。また慶大のペナルティ加算によって1位になれた部分もあるので、もし来年以降出場できるのであれば、タイム面でも1位取れるようになりたいと思っています。

小林眞緒(創2=福岡雙葉)

――どのような意気込みで望まれましたか

 全関東フィギュアで3位になった時にすごい悔しい思いをしたので、今回は前回大会で自分よりレベルが高かった1位と2位の2人に勝ちたいなという思いで挑みました。

――走行中意識されていたことはありましたか

 練習ではコンスタントに基準タイムを切ることを意識していたのですが、本番になるとその練習のときよりもプラス1分くらいのタイムで帰ってくることになってしまって、優勝ができるのだろうかという焦りや不安はありました。また、ペナルティーを絶対にしてはいけないっていうのは、コーチの方から常に言われていたことだったので、絶対にペナルティーをしない走り方を自分の中で考えて、ノンペナルティで走って帰ってくるっていうことだけを意識して走りました。そういった意識のもと、安全性を重視した走りができたことが、優勝に繋がったと思います。

――今後の抱負をお願いします

 最終的にはペナルティで勝った形になったということで、タイム自体では勝てなかったことの悔しさあります。また私が目標としていた女子選手が引退されてしまうので、今後戦う相手としては男子の方にも組み込んで行けたらと思っています。