2大会連続の個人団体アベック優勝の快挙!最上と大沼は関東公式戦3冠達成

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 全関東学生ジムカーナ選手権(全関東ジムカーナ)での完全優勝からおよそ1ヶ月、2年ぶりに全関東学生ダートトライアル選手権(全関東ダート)が栃木・丸和オートランドの地で行われた。早大自動車部からは4選手が出場。個人では、男子の部の最上佳樹(社3=東京・攻玉社)、女子の部の大沼すず音(国教4=東京・日比谷)が、全関東ジムカーナに引き続いてそれぞれ優勝。さらに、4選手の安定的な好成績が実り、団体優勝を達成した。そして、最上と大沼は全関東学生運転競技選手権(全関東フィギュア)と全関東ジムカーナを合わせた3試合で三冠の快挙を達成し、圧倒的な強さを見せつけた。

 今回早大は例年と違う車輌を導入した。今大会のおよそ1ヶ月前の練習で、試合で使う予定の男子車輌を横転させてしまうトラブルが起きたためだ。早大自動車部はそこから2週間かけて昼夜を問わず作業を行い、以前ジムカーナ車輌として使っていた車体をダート車輌に仕上げた。

 迎えた大会当日。晴天の中、試合の幕が切って落とされた。まず午前1本目、第1走者は神林崇亮(人3=埼玉・早大本庄)が務めた。試合直前は様々な不安要素を抱えており「とても緊張した」という神林。「自分の腕を信じきれていなかった」と全体の12番手の順位のタイムでゴールした。続いて、女子の部の4年大沼が出走。前日の練習会の結果から、女子の部で優勝することはほぼ間違いないと感じていた大沼は、男子の部での入賞タイムを出すことを目標にしていた。その志を持って臨んだ1本目、1分27秒304と女子首位のタイムを記録。しかし、「限界をもっと探れるような走りをするべきだった」と振り返り、更なるタイムアップを狙うことに。男子の部に戻り、第3走者は中野龍太(法3=東京・小石川中教校)。自身初のダート公式試合となるが、「そこまで気負うこともなく走ることができた」と安定的な走行を見せ、午前中の4番手という好タイムでフィニッシュ。そして、最後の出走となるのは、エース・最上。圧倒的な練習量、また路面状況的に有利なダートの走順から強気の姿勢でスタートしたが、序盤にある舗装路でまさかのパイロンタッチのペナルティ。その後華麗なドライビングでうまくまとめ上げたものの、午前中7位の順位と悔しい結果となり、午前の走行が終了した。

新しい車輌で走り抜ける

 

 午後、2本目の走行がスタートした。一本目、本調子を出せなかった神林は、午前中の課題を特定し積極的な走りを心がけた。「午前中にタイムを残せたため、その分の安心感はあった」と、4秒以上タイムを更新して全体5番手の好タイムを記録。早大の団体タイムに大きく貢献した。続く大沼は、1本目後に得たフィードバックを元に、自分の限界を超える走りにチャレンジした。その結果、タイムを大幅に更新し、女子の部では2位以下に大差をつけた。続いて中野が出走。1本目では好タイムを記録したため、気負うことなく更なるタイムアップを目指した。「いろんなことにトライしよう」と心がけ2本目に臨んだが、コーナーの内側にあるパイロンに触れてしまい、15秒加算のペナルティを受けてしまう。男子入賞を逃し、「悔いの残る一戦だった」と振り返った。そして早大最後の出走となるのは最上。1本目ペナルティを受けてしまったミスをしっかりと修正。最上の本来の実力を示すことができ、全体トップタイムで個人優勝を果たした。その結果、早大は全関東ジムカーナに続いて個人団体アベック優勝の快挙を達成。また最上と大沼は、今シーズンの関東における全公式個人戦の制覇を成し遂げた。

華麗な走りを見せる大沼

 
 『常勝早稲田』。この言葉を今大会、そして今シーズンを通じて早大自動車部は体現し続けた。コロナ禍という不安定な情勢の中でも、部員が常にできることを考え、人一倍練習をした努力が輝かしい功績に大きく繋がっているのだろう。次の試合は全日本学生ダートトライアル選手権。広島の会場で関東の大学にとってはアウェー戦となる。「緊張感を持って走る覚悟はしないといけない」と最上は語る。新たな伝説に向けて、早大自動車部は暑い夏を誰よりも速く駆け抜ける。

(記事 風間元樹 写真 部提供)

※掲載が遅くなり、申し訳ございません

常勝早稲田を体現した選手たち

結果

▽男子団体の部

優勝 早大 4分6秒096

▽男子個人の部

≈優勝 最上 1分19秒281(2回目)

5位 神林 1分22秒112(2回目)

8位 中野 1分23秒049(1回目)


▽女子個人の部

優勝 大沼 1分24秒241(2回目)

コメント

大沼すず音(国教4=東京・日比谷)

――1本目はどういったことを意識しましたか

 前日の練習会の雰囲気で、女子の中で1位を取れることがほぼ確実だったので、目標はそこではなく、男子のタイムで入賞することを目的に試合に望みました。ただ、限界を超えてしまうと車を壊すリスクがあるので、車を壊さないこと、そしてその中でできるだけ頑張ることを意識して本番に臨みました。

――1本目振り返っていかがですか

 大きなミスもなく走ることができたのですが、後からのフィードバックで「置きに行ったよね」と言われて。限界をもっと探れるような走りをするべきだったと反省しました。

――その反省を踏まえて、2本目はどういう風に気持ちの切り替えを行なったのですか

 女子の車輌を使ったことのある先輩に話を聞いたところ、「限界はもっと先にある」と言われたので、2本目はもっと踏んでみることを心がけました。具体的には、助言をもとに、今までアクセルを8割程度に踏んでいたところを全開で踏んで走行をしました。自分の限界をほぼ超えている状態でチャレンジをしたところ、それまでの練習成果が現れたのか、無事帰って来れて、順当にタイムアップをすることができました。

――この後の試合に対する意気込みを教えてください

 次の大会に向けて、車輌をもっと速いものにしてもらう予定です。そこに自分が慣れていくだけでタイムアップはできると思うので、元々の目標だった男子含めて入賞を狙っていきたいと思います。

最上佳樹(社3=東京・攻玉社)

――1本目を振り返っていかがでしたか

 今回は男子最終出走で、ダートラは砂の上を走ることから後になるほど路面が走りはすくなるために有利な状況でした。また、私たちは他の大学がジムカーナの練習をやっている時期からダートの練習を積極的にしていたために、ちゃんと走れれば個人も団体も負けるはずがないと考えていました。しかし、スタート直後のシケインで止まりきれずにミスをしてしまい、満足のいかない前半となってしまいました。

――2本目を振り返っていかがでしたか

 一位だった慶大の選手が約1秒差だったので、ミスなく普通に帰ってくれば、個人も団体も大丈夫と考えてました。そのため、最初のミスしたところは安全に、全体的に無難な走りを心がけました。午前と比べてあまりタイムは上がらなかったですが、勝つことができたので良かったです。

――関東の総合杯で三冠をされましたが、振り返っていかがですか

 他の大学が活動できていない中から練習ができていたので、練習量的にいつも通りにやれば勝てると思っていました。また、3つの試合とも、プレッシャーがかかることがほとんどなく、落ち着いた状態で走ることができたのが勝てた要因だと思います。

――今後の試合に対しての意気込みをお願いします

 次は広島での試合で、相手の方が有利な環境であるために、関東大会みたいに走れば勝ちとはいかないと思います。緊張感を持って走る覚悟はしないといけないと思うので、そのためにしっかりと練習をしていきたいと思います。

中野 龍太(法3=東京・小石川中教校)

――どういったお気持ちで大会に臨みましたか

 「早大は車が動きさえすれば優勝できる」と考えていて、私たちはそれを踏まえて練習もして、大会をそのつもりで走る予定でした。しかし、1ヶ月ほど前に私のミスで競技車輌を再起不能までに横転させてしまいました。2週間という短い期間で同期と先輩と後輩たちに新しい素晴らしい車輌を作ってもらったため、自分ができる仕事として、ここで結果を出したいという意気込みで臨みました。

――1本目を振り返っていかがでしたか

 他大学の走行を見る限り良い結果を出せるだろうと、そこまで気負うこともなく走ることができました。実際に、一本目では割と好タイムを残すことができました。しかし、いくつかミスをしてしまった点があったので、そこの反省を踏まえて2本目に臨みました。

――2本目を振り返っていかがでしたか

 1本目は悲観するほど悪くはなかったので、1本目のミスを修正して更なるタイムアップを目指しました。また、自分の直前に神林がタイムを更新していて、その時点で私たちの優勝は決まっていたので、何も気負うことなく走れました。そこで、色んなことに挑戦しようとした結果、ペナルティを受けてしまい、車こそ壊さなかったものの、個人8位と私たちの中で唯一個人の入賞を逃す不甲斐ない結果になったのは残念です。団体としては優勝したが、悔いの残る一戦となりました。

――今後の意気込みをお願いします

 今回の大会はかなり余裕を持って団体優勝することができたのですが、全日本ではそうはいかないと思っています。今回のようなミスは許されないので、より引き締めて、団体優勝も個人での入賞も目指して走りたいと思います。

神林崇亮(人3=埼玉・早大本庄)

――試合に臨む前のお気持ちはいかがでしたか

 とても緊張してしまう性格なので、試合前はとても緊張していました。車は壊せない、だけど早く走らないといけない、そういったことを考えていました。ただ走り始めてからは、そこまで緊張せずに走ることができたと思います。

――1本目を振り返っていかがでしたか

 自分の腕を信じきれていなかったために、あまりアクセル踏んでいけませんでした。そのため、帰ってきてみればあまりいいタイムではなく、どんどん周りに順位を更新されてしまい、不甲斐ない1本目になりました。

――2本目には何を意識して臨みましたか

 とりあえず頑張ってアクセルを踏むことだけを意識しました。1本目はタイムとして残っているために、そこの安心感はあり、緊張感はその分では和らいで走行することができました。2本目戻ってきたら、約4秒早いタイムを出すことができて、団体としては優勝に余裕を持たせることができました。ただ、個人の内容的には、多くの課題が残るものになりました。

――今後の意気込みをお願いします

 練習の時から本気で走れていなかったのが、今回不本意な結果になってしまった要因だと思うので、これからは車を壊さない程度に、限界を超える練習をしていきたいと思います。そして本番では、限界を知った上でベストで走れるようにしたいです。