12月23・24日に、天皇杯全日本選手権(天皇杯)の3・4日目の試合が行われた。早大からは女子50キロ級に伊藤海(社3=京都・網野)、男子グレコローマンスタイル82キロ級に玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)と掛川零恩(社1=山口・豊浦)が出場した。玉岡が優勝、伊藤が準優勝、掛川が3位となり、この2日間に出場した全員がメダルを獲得する好成績を収めた。
優勝を決め、ガッツポーズをする玉岡
女子50キロ級は、パリ五輪代表に決まっている須崎優衣(令3スポ卒=キッツ)が今大会への出場を見送った。そのため、伊藤は優勝候補の一角として注目される中で臨んだ。初戦から実力を発揮して勝ち上がり、決勝へと駒を進める。決勝の相手は、天皇杯で過去2回優勝経験があり、伊藤自身もライバルとして名前を挙げた吉元玲美那(Kee Per技研)。第1ピリオドを0-1と1点リードされて折り返す。第2ピリオド開始直後に思い切ったタックルで相手の背後を取り2点を追加。そのまま逃げ切りたいところだったが、試合時間残り1分で逆転を許すと、ローリングで立て続けにポイントを失い、2-11で敗戦となった。伊藤は、「徹底して攻めれば良かったところを守りに入ってしまった」と敗因を分析した。
決勝でタックルを仕掛ける伊藤
決勝進出を目標に掲げて臨んだ玉岡。1回戦は、残り1分で1-1(ラストポイントを相手が取っているため相手が優勢)だったが、パーテレポジションから2点を加えて3-1で辛勝した。準々決勝も勝ち上がると、準決勝では東京五輪銅メダリストの屋比久翔平(ALSOK)とぶつかる。なかなかポイントを取り切ることができず、1-3のまま試合終了かと思われたが、残り10秒のところで相手を投げて4点を加えて逆転。劇的勝利で決勝進出を決めた。決勝では高校2年生ながら反対の山を勝ち上がってきた吉田泰造(香川・高松北高)と対戦。1-4で迎えた第1ピリオド終盤に4点を加えて逆転すると、第2ピリオドに入ってからも大学生の意地を見せてリードを保つ。最終スコア6―4で勝利し、天皇杯初優勝を果たした。
決勝で相手と組み合う玉岡
掛川は、あわやテクニカルスペリオリティで敗戦という危機もあったが、なんとか1回戦を突破する。続く準々決勝の相手は、明治杯全日本選抜選手権の優勝者であり、今大会第1シードの岡嶋勇也(警視庁)。試合開始直後からチャレンジャーらしく積極的に攻め、次々にポイントを奪う。そして、第1ピリオドが終わる前に早くも9点差をつけてテクニカルスペリオリティ勝ちを決めた。大金星をあげた勢いそのままに勝ち進みたかった掛川だが、準決勝で吉田泰造にテクニカルスペリオリティで敗れる。その後3位決定戦で山口蓮汰(神奈川大)を7-3で破り、フリースタイル92キロ級に続いて今大会2個目のメダルを獲得した。
準々決勝で相手の体を返そうとする掛川
これをもって4日間にわたって行われた天皇杯は幕を閉じた。早大からは8人が出場し、金2個、銀2個、銅2個の計6個のメダルを獲得することができたことは、各選手にとってもチームにとっても大きな自信につながったことだろう。今大会で優勝した片岡梨乃(社4=千葉・日体大柏)と玉岡をはじめ、これまでチームの中心だった4年生が卒業を迎えることとなる。新主将の山口太一(スポ3=東京・自由ヶ丘学園)を中心とした新たな早大レスリング部がどんな活躍を見せてくれるのか、要注目だ。
表彰式に臨む玉岡(左から2人目)と掛川(左から3人目)
表彰式に臨む伊藤
(記事、写真 齋藤汰朗)
結果
男子グレコローマンスタイル
▽82キロ級
玉岡 優勝
掛川 3位
女子
▽50キロ級
伊藤 2位
関連記事
コメント
玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)
――優勝した心境を教えてください
素直に今までのレスリング人生で一番うれしいです。
――印象に残っている試合はありますか
一番は準決勝で、相手は屋比久翔平選手(ALSOK)というのですが、その方は東京オリンピックで3位に入っている強い選手です。その選手に胸を借りるつもりでチャレンジャーとしてレスリングをして、最後負けている状態から逆転することができたので印象深いです。
――同じ階級に出場した掛川零恩選手(社1=山口・豊浦)も健闘しましたが、どのように見ていましたか
彼はフリーも出て決勝に進んで、その2日後にこうやって4試合もやっているのがすごいです。彼はこれからの早稲田を背負って立つ人間ですが、「まだ負けないぞ」ということで僕が彼よりいい成績を出して現状に満足するなというのを伝えられたので良かったと思います。
――早稲田での4年間を振り返るといかがですか
自分の人生の中で一番濃くて楽しい時間で、同期の仲間や後輩にもありがたいことに仲良くしてもらいました。思い出すと止まらないくらい(思い出が)いっぱいあって涙が出てきてしまうのですが、その中でも一緒に頑張ってくれた同期のおかげで今日の自分の結果があるので、感謝してもし切れないです。
伊藤海(社3=京都・網野)
――試合を終えた心境を教えてください
本気で勝ちにいっていたので、とても悔しいです。
――決勝では一時はリードを奪いましたが、守り切ることができませんでした。何が要因だったと考えていますか
一回リードした時点で守りに入ってしまって、頭に勝利という文字がよぎってしまいました。徹底して攻めれば良かったところを守りに入ってしまったのが敗因だと思います。
――この結果を受けて今後に向けての思いを聞かせてください
今年は試合が終わって、次の大会は国内であれば4月にU23の予選があったりと続いていくのですが、目の前の試合を一つ一つ勝てるように今回の課題を克服していきたいと思います。