【連載】天皇杯全日本選手権直前対談『覇』 最終回 片岡梨乃×玉岡颯斗

レクリング

 最終回は4年生の二人が登場。女子53キロ級の片岡梨乃(社4=千葉・日体大柏)と男子グレコローマンスタイル82キロ級の玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)だ。プライベートの話題や学生最後の大会へ向けた思いなどを伺った。

プライベートでも仲がいい4年生

笑顔の二人

――お互いの紹介をお願いします。

玉岡 片岡梨乃は9月9日生まれ、かわいくて真面目で素敵な女性だと思います。

片岡 以上?ひどいね(笑)。

玉岡 練習も真面目に取り組んでいて、空いた時間があったら筋トレもしっかりしていて、全日本の大会でも結果を残していてそういう部分は尊敬しています。

片岡 玉岡は自分と似ている部分があるというか、分かりやすいし、気分屋だし、単純です。ふざけるところはふざけるけど、真面目なところは真面目にやるとは思います。

玉岡 レスリングについても触れてくんね(笑)。

片岡 レスリングについては、筋トレ頑張っています。

玉岡 対談でレスリングのことこれしか言わないのある?(笑)梨乃さんは全日本のメンバーでアジア大会や国際大会などでも成績を残しているので本当にすごいなと思います。

片岡 そういうのいいって(笑)。玉岡は、3年生までは肝心なところで負けていたことが多かったのですが、4年になってグレコで2階級制覇したりだとか、他大学の本当に強い選手をローリングでぐるぐる回していたこともあったので、「こいつ本当はすごかったんだな」と初めて気付きました。

――マイブームについて教えてください

玉岡 最近は卒論ですね。ここ2週間くらい追い込まれながらやっているので、これ終わった時は何もしない1週間を過ごしたいなと思っていました。でも試合があるのでそういうわけにもいかないです。

――卒論は何をテーマにしているのですか

玉岡 僕はゲームが好きなので、ゲームが学生の生活習慣に与える影響を調べています。ゲームをやっているからと言って学業や成績に悪影響があるというデータは出なかったので、有意義なデータが取れたと思います。

片岡 試合前だから練習はしっかりしながらも、空いた時間でいかに教習所に通えるかを考えて、練習と教習所の一日のスケジュールを組むことが楽しいです。

――今どのくらいの段階ですか

片岡 まだ通い始めたばかりです。3月までに取らないとやばくて、3カ月で取らないと払ったお金がチャラになるので頑張っています。

玉岡 僕の予想だとこいつやらかします。

片岡 やらかしません。よく「梨乃の車に乗せてもらいたい」と言われるので早く乗せてあげたいと思います。

玉岡 乗ったら死ぬ(笑)。

――部内で運転が上手い人は誰ですか

玉岡 山倉孝介(スポ4=千葉・日体大柏)ですね。僕らが同期で旅行に行くときには必ず運転してくれます。この前は北陸の方まで一人で運転してくれました。周りが甘えちゃっている部分があります。

谷口虎徹(社4=和歌山北)が参戦

玉岡 (谷口に向かって)孝介さ、運転上手いよね。

谷口 うん。運転させてくれんもんな。

玉岡 なんやかんやね。俺らの運転怖いって言って運転させてくれないんですよ。虎徹は孝介から許可もらったのに、「怖いからいいや」って言って運転しないタイプです。

本当に頑張ったねby俺(玉岡)

話をする玉岡

――レスリングの話に移ります。今年1年間を振り返って点数を付けるとどうなりますか

玉岡 120点です。今年は昨年取ることができなかった学生チャンピオンという肩書を取ることができて、二冠も達成することができたので、自分にしてはできすぎた結果となりました。「本当に頑張ったねby俺」と120点をあげます。

片岡 80点です。明治杯(明治杯全日本選抜選手権)で優勝できたのは良かったのですが、インカレで昨年2位だったので優勝しないとと思っていたのですが、負けてしまったのが減点かなと思います。でも天皇杯で優勝したら120点にしたいと思います。

――特に印象に残っている試合はありますか

玉岡 一番はインカレの決勝で、4年間同部屋だった山倉孝介君と試合ができて、それは彼が(決勝まで)上がってきてくれたおかげなのですごく感謝しています。その試合が自分のレスリング人生で最も楽しかった瞬間ですし、一番印象に残っています。

片岡 全部残っているけど…。負けた試合のことよりは勝った試合で、やはり明治杯の決勝で勝てたのが一番うれしかったのかなと思います。

――今年のチームを振り返るといかがですか

玉岡 良かったんじゃないかなと思います。キャプテンの深田君(深田雄智、スポ4=千葉・日体大柏)が、キャプテンという重圧もある中でみんなを見ながらやらなきゃいけないというので、いろいろな意味で頑張ってくれました。僕とか山倉君とか藤田君(藤田颯、スポ4=埼玉・花咲徳栄)とか虎徹は割と自由にやらせてもらっていたのですが、深田君は周りの環境とかも気にしていました。うちのキャプテン本当に頑張ったよね、1年間癖の強いチームをまとめ上げて(笑)。

片岡 彼が一番癖あるけどね(笑)。

――ヘアスタイルも特徴的ですよね

玉岡 あれにはコツがあって、髪を風呂上がりに普通に乾かすと普段通りに抑えめになるんですよ。乾かす時に上に上げると大きくなります。すごいよね。

片岡 あれはすごいです。

玉岡 頭がでかい時はやる気の表れだから。大きければ大きいほどやる気があるんですよ。

片岡 梅雨はやばいです。本当にでかい。髪が長い短いじゃなくて、大きい小さいなんですよ(笑)。

――片岡さんは今年のチームを振り返っていかがですか

片岡 毎年言っているけど、早稲田は一人一人が我が強くて個性豊かなチームなので、キャプテンがああやってまとめていたのは直接は言えないけれどすごいなと思います。

玉岡 え、思ってたの?

片岡 そりゃ思ってるよ。自分含めこいつ(玉岡)とか厄介なのが多いので、特に4年生が自己中が多いので(笑)。

玉岡 そう。なんだかんだ自己中が多いよね。自分のことしか考えていないからチームのことをあんまり考えていない。

片岡 でも揉めても寝たら次の日にはみんな切り替えているのがいい。

玉岡 みんな強くなるために考えているからいいよね。変な足の引っ張り合いとかはないしね。やっている奴は勝手にやって強くなれという雰囲気は好きですね。

――一気にチームが若返りますが、後輩たちに期待したいことはありますか

玉岡 僕の成績を超えられるように頑張っていただきたいですね。まあ、それは冗談です。早稲田は伝統ある大学で、僕も入った当初は早稲田の伝統なんか知らないよと思っていたのですが、4年間過ごしているうちにOB・OGの恩恵なども実感しました。自分もそっち側に回るので、感謝しなくてもいいですが、OB・OGの期待や思いも背負って立っているということを誇りに思ってレスリングをやってほしいと思います。

片岡 人数が少ない分、一人一人との思い出も多いので、みんなに頑張ってほしいなという思いです。ずっと応援するし、自分も頑張らないといけないと思います。

玉岡 心配だけど何とかなるよ。

片岡 なんだかんだ毎年そうなっているし。

優勝だけ考えて、出し切って楽しんで頑張ります(片岡)

話をする片岡

――天皇杯の話に移ります。天皇杯での目標を教えてください

玉岡 天皇杯の目標はもう一番はやっぱりここまで来たのでけがしないことです。なおかつ最後の試合なので出し切ることです。なおかつ僕1年生の頃からの目標があって。全日本の決勝に行くとRー1のバスタオルがもらえるんですよ。それを親に高校生の頃からせがまれているので、最後頑張って決勝に行って、プレゼントしてあげようかなって思います。

片岡 (天皇杯は)4年間の集大成で、ここまで夏からやることはやってきたと思います。一番は楽しんで出し切って、終わった後にみんなで笑顔でいいお酒を(笑)。

玉岡 (笑)。

片岡 平和に喧嘩することなく爆飲み会をできるように。自分にとっていい形で、もちろん優勝できるように頑張ります。

玉岡 彼女の大会の時の頭の中は8割酒しかないので(笑)。毎回試合前に言うもんね。「終わったらマジで爆飲みしよう」って。

片岡 爆飲みじゃないと意味ない(笑)。

玉岡 どっちかが負けても言うんですよ。「お疲れ。今日もう爆飲みしようね」って。勝ったらお祝い爆飲み、負けたら反省爆飲み。

――現在重点的に取り組んでいることはありますか

玉岡 内閣(全日本大学選手権)で引退して自由参加になってから4年生がみんなもう練習行かなくなっちゃったんですよ。僕は(天皇杯が)あるから行くんですけど、4年生いなくなった後なんか寂しくなっちゃって練習あんまり行けてないです。卒論もあって、試合ももちろん大事なんですけど、卒業できるかどうかの方が大事じゃないですか。卒論やりすぎて最近練習行けてないから、練習行った時に昔の1番自分が動いていた全盛期を取り戻すように頑張っています。そうすれば大丈夫だと信じて、それが重点的に取り組んでいることです。リハビリです。

片岡 自分は玉岡と違って今まで以上に頑張っているかもしれないです。まず前回の大会で力がちょっと足りないなと思ったので筋トレと、あとは細かい技術、点数を取る力がなかったので、どうやったら取れるかっていうのを練習でどんどん試すようにしました。

――天皇杯で注目してほしいところを教えてください

玉岡 一番天皇杯で意識してほしいのはやっぱり顔。

片岡 (笑)。

玉岡 ビジュアルを意識しつつ、強いところを見せれるぞっていう玉岡を。レスリングに関して言えば、僕は結構もつれとかが得意なので、もつれても諦めない粘り強さを見せていけたらなって思います。

片岡 やっぱり一番は顔。

玉岡 (笑)。

片岡 なんでかって言うと眉毛アートしたんですよ。試合前でも試合が終わる6分後でも、汗をかいても可愛いというのがまず第一です。

玉岡 そうね、一番大事だね。投げ系が彼女すごい上手なので。

片岡 やったことないよ(笑)。何にも知らないです。

玉岡 僕と彼女はやったことがないので見ているだけの感想なんですけど、やっぱり組み手とかタックルとかが上手だと思うので(注目してほしい)。

片岡 何で玉岡がまとめてんの?そんな感じです(笑)。

――天皇杯でのライバルの選手はいらっしゃいますか

玉岡 多すぎるんですよね。僕ライバルは自分自身なので。ライバルは常に自分自身、強そうな相手も自分自身。勝たなきゃいけない相手も自分自身(笑)。相手が誰とか関係ないです。気持ちです。

片岡 やっぱり自分ですね(笑)。あまり相手とか考えずに、自分が一番やりたくない相手って思えるように頑張りたいです。

――天皇杯が終わってから年末年始にかけて、楽しみにしていることはありますか

玉岡 一番の楽しみは卒業旅行です。

――どちらに行く予定ですか

玉岡 まだ考えてないです。外国行きたいねって思っています。

片岡 みんなでスノボーとか行きたいなって。いっぱい楽しみたいです。

――伊藤海選手(社3=京都・網野)が「最後梨乃さんと優勝したい」とおっしゃっていました

片岡、玉岡 うわー、いい後輩!

片岡 自分が頑張ります。海ちゃんは強いから。

――最後に、天皇杯へ意気込みをお願いします

玉岡 僕はもう本当に4年間の集大成なので、絶対にけがしないです。

片岡 優勝だけ考えて、出し切って楽しんで頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 齋藤汰朗、矢彦沢壮真)

色紙に思いを書いていただきました

◆片岡梨乃(かたおか・りの)(※写真左)

2001(平13)年9月9日生まれ。女子53キロ級。千葉・日体大柏高出身。社会科学部4年。一番の注目ポイントは「顔」と語る片岡選手。全日本チャンピオンに輝き、笑顔を見せてくれることでしょう!

◆玉岡颯斗(たまおか・はやと)

2001(平13)年5月29日生まれ。男子グレコローマンスタイル82キロ級。群馬・館林高出身。スポーツ科学部4年。対談中はふざけていましたが、試合中はとても真剣な表情の玉岡選手。目標とする『Rー1のバスタオル』に向けて全力を尽くします!