全日本大学選手権が11月18・19日の2日間にわたり大阪・堺市金岡公園体育館で開かれた。今大会は、各選手の各階級での順位に応じて所属チームに得点が与えられる。そして、その得点の合計を基にしてナンバーワン大学を決する。早大で得点を獲得できる8位以内に入ったのは4人。総得点は21点で、大学対抗8位という結果に終わった。また、山倉孝介副将(スポ4=千葉・日体大柏)は、8月の全日本学生選手権でフリースタイル79キロ級で優勝しているため、今回の74キロ級での優勝をもって、「2階級制覇」と「学生二冠」の快挙を達成した。
優勝を決め、ガッツポーズをする山倉
山倉副将は1、2回戦を順調に勝ち上がると、準々決勝で山場を迎える。準々決勝の相手は、日体大柏高の同級生であり、優勝候補とされていた高田煕(日体大)。相手が30秒間のアクティビティタイムにポイントを取ることができなかったため山倉副将が1点を先取すると、直後に足を取って仕掛けてさらに2点を加えた。第2ピリオドに入っても、手堅くポイントを積み重ね、8-2で勝利を飾った。その後、準々決勝は危なげなく突破し、決勝では鈴木大樹(山梨学院大)と対戦する。試合開始直後に相手の右足を取り、そこからローリングで6点を先取する。その後場外に押し出されて1点を失うが、6―1で試合を折り返す。第2ピリオドに入ると、相手も執念を見せ、残り22秒で6―4と2点差まで詰め寄られる。しかし、終了間際にダメ押しのポイントを奪い、8-4で勝利した。
決勝で相手の動きを見る山倉
山倉副将の他には3人が8位以内に入賞し、得点を獲得した。86キロ級の掛川零恩(社1=山口・豊浦)と92キロ級の玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)は、3位決定戦へと回ったが、2人とも棄権して5位となった。また、70キロ級の深田雄智主将(スポ4=千葉・日体大柏)は準々決勝で敗れたものの、規定により7位に入った。昨年は6人が8位以内に入っていたことを考えると、やや物足りない成績だったと言えるだろう。
山倉(中央)の試合でセコンドを務める深田主将(左)と谷口虎徹(社4=和歌山北)
今大会をもって4年生は引退となり、「チーム深田」は幕を閉じた。東日本学生リーグ戦での7年ぶりの表彰台に始まり、今大会までチームをけん引してきた深田主将。今年1年間は個人としては悔しい結果が続いたが、他の選手の試合でセコンドとして積極的にアドバイスを送るなど、その貢献は非常に大きいものであった。また、12月には全日本王者を決める全日本選手権が控えている。早大戦士のさらなる活躍に期待したい。
集合写真
(記事 齋藤汰朗、写真 齋藤汰朗、中村環為)
結果
早大 21点 8位
▽57キロ級
藤田颯(スポ4=埼玉・花咲徳栄) 1回戦敗退
▽65キロ級
山口太一(スポ3=東京・自由ヶ丘学園) 準々決勝敗退
▽70キロ級
深田 7位
▽74キロ級
山倉 優勝
▽86キロ級
掛川 5位
▽92キロ級
玉岡 5位
▽97キロ級
北脇香(スポ2=山梨・韮崎工) 2回戦敗退
コメント
山倉孝介副将(スポ4=千葉・日体大柏)
――優勝という結果を受けて
正直優勝できるか不安なところが大きかったのですが、何とか接戦をモノにして全部勝てて、大学の集大成を見せられたかなと思います。
――印象に残っている試合はありますか
準々決勝の日体大の高田煕選手なのですが、高校時代から同じ階級で戦ってきて、大学で別々になってここで負けたら大学の選択肢を間違っていたと否定される気がして何としてでも勝ちたくて、勝ててホッとしました。
――早大での4年間を振り返っていかがですか
充実していました。仕切ってくれる人もいるし、僕は伸び伸びとやらせてもらっていたので、そこはチームメートや監督に感謝ですね。
――決勝の作戦やプランを教えてください
相手のいいところを全部つぶして、その中で自分の攻めをすれば負ける心配はないかなと思っていたので、「なるようになる作戦」でなるようになりました(笑)。
――大学対抗では8位と昨年よりも順位を落としましたが
内閣(全日本大学選手権)は、シードがないのでくじ運も関係あるのですが、今回準々決勝などの決勝ではないところで強敵と当たる選手が多かったので、そこを勝ち切れれば日体大や山梨学院大とも競ることはできたと思います。そこで勝ち切れないというのが今の早稲田の現状だと思います。
――今後について教えてください
将来の夢であるMMAをやるためにレスリングをやってきて、僕には贅沢すぎくらいのインカレ2連覇、学生二冠王、2階級制覇という結果を残せて、満足とまではいかないですが、この結果を引き下げてMMA界に殴りこんでやろうと思います(笑)。