10月18・19日に、全日本大学グレコローマン選手権が開催された。82キロ級の掛川零恩(社1=山口・豊浦)、87キロ級の玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)、97キロ級の北脇香(スポ2=山梨・韮崎工)の3人が優勝。早大はどちらかと言えばフリースタイルが強いという印象があるが、早大のグレコローマンスタイルも強いということを証明する結果となった。
掛川は、準々決勝で優勝候補の一人である山口蓮汰(神奈川大)と対戦する。第1ピリオドから積極的に攻め、6―1で勝利を収めた。続く準決勝をテクニカルスペリオリティー勝ちで突破すると、決勝は窪田大羅(中大)との一戦に。決勝では、開始12秒で相手を場外に押し出して1点を先取すると、その後も順調に得点を重ねてわずか1分55秒で優勝を決めた。
準々決勝で山口蓮汰(神奈川大)と戦う掛川
玉岡は初戦を突破すると、準々決勝では全日本学生選手権でフリースタイルとグレコローマンスタイルの両方を制している髙橋夢大(日体大)と対戦した。相手にパッシブが出され、相手が腹ばいの状態である「パーテレ」ポジションから試合が再開すると、そこから相手の体を持ち上げ、4点の投げ技を2度決めて勝負あり。9-0のテクニカルスペリオリティー勝ちで準決勝へと駒を進めた。準決勝で岩井知史(明大)を退けると、決勝では市川アンディ(神奈川大)と対戦。相手の攻撃を封じつつ、着実に得点を重ね、5―0で勝利を収めた。
決勝で相手と組み合う玉岡
北脇は、持ち味の投げ技を効果的に使って準決勝まで勝ち上がると、準決勝では三浦哲史(拓大)と対戦。フリースタイルで数々の大会で好成績を収めている相手だったが、自分のペースで試合を進め、8-0でのテクニカルスペリオリティー勝ちとなった。迎えた決勝の相手は中原陸(大東文化大)。投げ技の2点で先制すると、その後も得点を重ねて7―0で第1ピリオドを折り返す。第2ピリオドに入っても、余裕を感じさせるような表情で戦い続け、最終スコア7―1で今大会初優勝を果たした。
決勝で相手の体を回転させようとする北脇
グレコローマンスタイルを専門とする掛川、玉岡、北脇がしっかりと結果を残した今大会。しかしながら、トーナメントで早くに姿を消す選手も多く、チームとしては明暗の分かれる結果となった。次の大きな大会である全日本大学選手権は、「チーム深田」で臨む最後の大会。全部員が持てる力を発揮し、好成績を収めることに期待したい。
副賞のTシャツをもらい、記念撮影に応じる3人(左から掛川、玉岡、北脇)
(記事、写真 齋藤汰朗)
※掲載が遅れてしまい申し訳ありません
結果
早大 39点 5位
▽60キロ級
谷口虎徹(社4=和歌山北) 7位
▽67キロ級
ズート麟(政経3=東京・アメリカンスクール・イン・ジャパン) 準々決勝敗退
▽72キロ級
深田雄智主将(スポ4=千葉・日体大柏) 8位
▽77キロ級
山路健心(社2=和歌山北) 1回戦敗退
▽82キロ級
掛川 優勝
▽87キロ級
玉岡 優勝
▽97キロ級
北脇 優勝
コメント
玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)
――優勝という結果を受けて
素直にうれしいです。昨年同じ大会で同じ階級で決勝で負けてしまって優勝を逃してしまったので、今回は何が何でも優勝するという気持ちで臨みました。2回戦で昨年決勝で負けた相手とぶつかることになって、彼に負けた時の思い出が試合中もフラッシュバックしたのですが、1年間練習してきたことが発揮できてテクニカルスペリオリティーで勝ち切ることができて、その後の流れも良くて、準決勝、決勝と自分のレスリングができたので、120点のレスリングができたと思います。
――準決勝、決勝と接戦が続きましたが
昨年決勝で負けた相手にリベンジできたことがうれしすぎて気持ちが途切れそうな部分がありました。しかし、後輩たちがすごく頑張ってくれていたので、その子たちにダサい姿は見せられないし、今まで一緒に練習してきた同期や応援してくれる父兄の方などに恩返ししようという気持ちで勝ち切れたので良かったです。
――全日本選手権へ向けて意気込みをお願いします
天皇杯(全日本選手権)は最後に決勝の舞台に立って、R-1のバスタオルをもらい、そのバスタオルを親にプレゼントして引退させてもらいます。
北脇香(スポ2=山梨・韮崎工)
――優勝という結果を受けて
複雑ですね(笑)。「掛川1年生チャンピオン」「玉岡2階級制覇」と新聞に出るのに、北脇は単に優勝みたいな(笑)。
――得意の投げ技が随所で発揮された大会だったと思います
1、2回戦は自分の実力からして自信を持っていけたのですが、準決勝から(投げ技が)かかるか分からない状況でした。それでも自分から仕掛けて取りにいこうという気持ちで、準決勝では場外際で投げて点数は入らなかったですが、1点入って自分のグラウンドが来て、決勝でも最初の投げの2点で流れが自分に来てという感じだったので、結局投げをうまく生かした試合展開ができたかなと思います。
――決勝は余裕を持った戦いぶりに見えました
何としてでも勝ってやろうという気持ちで、余裕だぞというスタンスを崩さないようにしました(笑)。
――今後の目標を教えてください
タイトルというよりかは、「投げて勝つ」みたいな(笑)。1、2回戦でやったような試合を全部やるのが目標なので、投げをもっと磨いて、堂々と勝てるようになりたいです。
掛川零恩(社1=山口・豊浦)
――優勝という結果を受けて
高校3年間でタイトルから遠ざかっていて、しかも4回決勝に行った上での負けというのがあったので、決勝戦に対する怖さがありました。大学に入り、上の階級の強い先輩たちと練習しているので、自信を持って挑めて、大学に入ってからの成果を出せたなという感じです。
――印象に残っている試合はありますか
初戦が印象に残っていて、初戦の相手とは高校3年時のJOCで対戦していて、その時25秒で負けてすごくショックだったのですが、今年明治杯(全日本選抜選手権)で勝利して、今回も勝利してというかたちで勝ち越せたというのが自分の中で大きいなと思います。
――早大に入学して半年が経ちますが、成長は感じていますか
高校の時はチームの中で一番強いのが自分ということで、慢心というのも少しあって、試合も前半に出し切るという横着な展開が多かったのが勝てなかった要因だったと思います。大学に入ってからは自分より強い人が当たり前にいる状況なので、練習の方が試合よりも勝率が低いという環境で、いい意味で自己評価を最低まで下げられた状況で試合に臨めているのがいいと思います。
――今後の目標を教えてください
大学タイトルを取ったのはいいのですが、運的な要素や調子が良かったというのもあったりして、安定して勝てる選手ではないと思うので、安定して勝てる選手になるためにしっかり技術を吸収したいです。まずは一個一個の試合で勝てるように頑張っていきたいと思います。