山倉、玉岡、伊藤がインカレ制覇! 3スタイルで優勝者を出す好成績を収めた

レクリング

 学生王者を決める全日本学生選手権(インカレ)が横須賀の地で開催された。男子フリースタイル79キロ級で山倉孝介副将(スポ4=千葉・日体大柏)が2連覇を達成すると、女子50キロ級では伊藤海(社3=京都・網野)が力を見せつけ優勝。また、男子グレコローマンスタイル82キロ級を玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)が制し、早大から3スタイル全てで優勝者を出す好成績を収めた。この3人の優勝を含め、計7個のメダルを獲得するという充実した4日間となった。

インカレ2連覇を達成し、喜ぶ山倉副将

 大会1日目と2日目に行われた男子フリースタイルには、7人が出場した。中でも、79キロ級の山倉副将は、インカレ2連覇を懸けて今大会に臨んだ。初戦と3回戦は危なげなく突破したものの、準々決勝と準決勝は2点差以内の接戦が続いた。それでも決勝では、「落ち着いて自分のレスリングができた」と振り返るように、冷静に試合を展開し4―1で勝利。試合後には、「僕の結果ですが、僕じゃないみたいなのでうれしい」と安堵(あんど)の表情を見せた。また、97キロ級では北脇香(スポ2=山梨・韮崎工)が3位に入った。

準決勝に臨む北脇

 大会3日目と4日目に行われた男子グレコローマンスタイルには、4人が出場した。注目カードとなったのは、82キロ級決勝だ。この82キロ級決勝は、山倉副将と玉岡の同期同門であり、寮でも同室の二人による対戦となった。試合が始まると、玉岡が連続でポイントを奪い勝利したかに思われたが、玉岡に反則があったため得点が無効に。再開するとしばらく膠着(こうちゃく)状態が続いたが、第2ピリオド中盤に不意を突いて4点を追加した玉岡が勝利を手にした。試合終了後には、山倉副将と玉岡が握手をし、熱い抱擁で互いの健闘をたたえ合う場面もあった。なお、97キロ級では北脇が3位に入り、フリースタイルとグレコローマンスタイルの両スタイルでの入賞を果たした。

優勝し、喜びの表情を見せる玉岡

試合後に固く握手をする玉岡(左)と山倉副将

 大会3日目の女子の競技には、50キロ級に伊藤、53キロ級に片岡梨乃(社4=千葉・日体大柏)が出場した。「勝つことは当然」という位置づけで臨んだ伊藤は、今大会へ向けて磨いてきたというファーストコンタクトの強さを発揮し、全試合無失点での優勝を果たした。一方の片岡は、決勝までは順調に駒を進めたものの、決勝で相手を攻め切ることができず、0-4で敗戦。2年連続でインカレ決勝へと進んだが、優勝へはあと一歩届かなかった。

決勝で相手と組み合う伊藤

 4日間にわたる学生チャンピオンを決める熱戦が幕を閉じた。全3スタイルでの優勝者の輩出、山倉副将のインカレ2連覇、玉岡の大学入学後初の全国でのタイトルなど、早大にとって実りの多い大会となった。各選手は今回の経験を生かし、さらなる高みを目指してほしい。

決勝を戦う片岡

(記事 齋藤汰朗、写真 荒井理沙、齋藤汰朗、中村環為、横松さくら)

※掲載が遅れてしまい申し訳ありません

結果

男子フリースタイル

▽61キロ級
山口太一(スポ3=東京・自由ヶ丘学園) 4回戦敗退
吉澤禅(文2=埼玉・早大本庄) 1回戦敗退
▽70キロ級
深田雄智主将(スポ4=千葉・日体大柏) 準々決勝敗退
ズート麟(政経3=東京・アメリカンスクール・イン・ジャパン) 3回戦敗退
▽74キロ級
山路健心(社2=和歌山北) 準々決勝敗退
▽79キロ級
山倉 優勝
▽97キロ級
北脇 3位

 

男子グレコローマンスタイル

▽77キロ級
山路 準々決勝敗退
▽82キロ級
玉岡 優勝
山倉 2位
▽97キロ級
北脇 3位

 

女子

▽50キロ級
伊藤 優勝
▽53キロ級
片岡 2位

 

コメント

玉岡颯斗(スポ4=群馬・館林)

――優勝という結果を受けて

 決勝が自分の中で一番うれしいです。インカレというこの大きな舞台、そして憧れの舞台でしっかり優勝することができてとてもうれしい気持ちです。

――決勝で戦った山倉選手への思いを教えてください

 4年間同部屋として1年生の頃から2人で毎日練習をして、お互い切磋琢磨してきたので、僕が今決勝まで来てこうして勝てたのは彼がずっと練習してくれたからだと思います。本当にありがたい気持ちでいっぱいです。また、インカレという大きな舞台の決勝で彼と戦えて、なおかつ勝てたというのが良かったです。

――試合中の心境を教えてください

 スパーリングは普段の練習から勝っているのですが、5回に1回くらい負けることがあって、彼は一発を狙いにくるのがすごく上手なので、自分のペースが崩れてしまった時に絶対に焦らないようにしようと思っていました。そして、地道に行けば絶対取れると思って続けていて、結果的に取ることができたので、丁寧に一個ずつやっていくことが大事だなと改めて思いました。

――決勝点となった4点の技はどのように仕掛けたのですか

 結構不意打ちに近くて、日頃の練習だとあの体勢から違う技を仕掛けていくのですが、それだと普段の練習からやっていてバレバレなので、なおかつ相手が少し疲れているのが分かったので、自分にとってリスクもあったのですが、リスクを取って仕掛けにいきました。

山倉孝介副将(スポ4=千葉・日体大柏)※フリースタイル終了後

――優勝という結果を受けて

 良かったです。一番警戒していた佐藤匡記選手(山梨学院大)だったり、決勝で当たるはずだった山田脩選手(日体大)だったりが負けて、僕の中では少しやりやすい相手が出てきてくれて、そういった面では運も良かったと思います。2連覇という結果を残したことに対してはホットしていますね。僕の結果ですが、僕じゃないみたいな結果なのでうれしいです。

――2連覇が懸かるということでプレッシャーはありましたか

 気負っていたというのはあまりなくて、逆に昨年優勝しているからくらいの気持ちで自分の中ではリラックスしてできたと思います。キャプテンという立場で深田(深田雄智、スポ4=千葉・日体大柏)がずっと僕たちのことを引っ張ってきてくれたので、僕は伸び伸びとやることができました。さらに、同期がセコンドに付いてくれたりして、チームのサポートに本当に感謝ですね。

――深田主将は悔しい結果となりましたが、その思いも背負って戦っていたのですか

 本当は一緒に優勝するのがベストだったのですが、勝負の世界は何が起こるか分からなくて、こういった結果になったので、深田が負けた分も何としてでも勝たなくてはいけないという気持ちはありました。

――準々決勝と準決勝は想定よりも厳しい展開となりましたが、振り返っていかがですか

 厳しい展開が続いて、相手に研究されているなというのもあってちょっと気持ちがぐらついた部分もあったのですが、何としてでも勝たなくてはいけないという気持ちがありました。日頃の練習の成果がああいう瀬戸際で出せたのは良かったです。

――決勝では終始試合を優位に進めているように思いましたが、振り返っていかがですか

 もう優勝以外の選択肢は見えていなくて、ずっと「(ポイントを)取れるな」という意識はあったので、落ち着いて自分のレスリングができたと思います。

山倉孝介副将(スポ4=千葉・日体大柏)※グレコローマンスタイル終了後

――2位という結果を受けて

 勝つつもりでやっていたので悔しいですが、決勝まで行けるか分からない中でこうして決勝で玉岡とできたことはうれしいです。結果は負けましたが、ここで思った以上の力を発揮できたので良かったです。

――決勝では競った展開が続きましたが、どんな心境で戦っていましたか

 正直もっとボコボコにされるのではないかという恐怖はあったのですが、(実際は)戦えていたということで、どう取ろうかというビジョンをもっと明確化しておけば良かったなというのが一つの後悔です。

伊藤海(社3=京都・網野)

――優勝という結果を受けて

 勝つことは自分の中で当然で、どういった内容で勝てるかということを目標にしていたので、いろいろ課題は見つかったのですが、とりあえず優勝できてホッとしています。

――決勝も優位に進められたと思いますが、勝因はどこにあったと思いますか

 今回の大会で全体的に意識していたことが、ファーストコンタクトで前に出るスタイルをしていこうということだったので、最初のアタックで前に出れたことが優位に進められた要因かなと思います。

――課題も見つかったということですが、具体的にはどんな点ですか

 崩しでは相手を詰めて崩せたのですが、その後のアタックの回数に関してもっと入れるタイミングがあったなと思うので、アタックの回数を増やすというのを今後の大会までに克服できたらなと思います。