10月19・20日の2日間にわたって、全日本大学グレコローマン選手権が開催された。グレコローマンスタイルとは、攻防に全身を使うフリースタイルとは異なり、上半身の攻防のみが許されている種目である。今大会は、各大学から各階級に1人ずつがエントリーし、順位に応じて得点が付与される方式を取り、その合計点を大学ごとに競う。早大は、55キロ級に尾西大河(スポ1=佐賀・鳥栖工)、60キロ級に谷口虎徹(社3=和歌山北)、63キロ級に島谷侃主将(スポ4=秋田商)、77キロ級に山路健心(社1=和歌山北)、87キロ級に玉岡颯斗(スポ3=群馬・館林)、97キロ級に北脇香(スポ1=山梨・韮崎工)、130キロ級に山崎祥平副将(商4=茨城・土浦日大)の7人が出場。早大は、合計点32.5点で5位という成績で今大会を終えた。
55キロ級の尾西は、危なげなく決勝まで進むと、決勝では岡本景虎(専大)と対戦。第1ピリオドでパッシブで1点を失ったものの、その後は相手の攻撃をかわし0-1で折り返す。第2ピリオドで1点を返して追いついたものの、パーテールポジションから勝ち越しを許すと、その後も失点を重ねて1-5で敗戦となった。優勝も狙える位置にいただけに、悔しい敗戦となった。
相手を持ち上げる尾西
60キロ級の谷口は、1回戦を着実に得点を重ねて勝利し、2回戦をテクニカルフォール勝ちで突破すると、準々決勝では塩谷優(拓大)と対戦。強敵相手に自分のペースに持ち込むことができず、テクニカルフォールでの敗戦となった。
タックルをする谷口
63キロ級の島谷主将は、1回戦を無事突破すると、準々決勝では赤荻清志郎(日大)と対戦。「グレコローマン特有の投げ技からの寝技の展開に持っていかれ、自分の勝負する前に試合が終わってしまった」と振り返るように、投げ技から連続で体を返され、28秒でテクニカルフォールでの敗戦となった。
準々決勝で敗れ、悔しい表情を浮かべる島谷主将
77キロ級の山路は、初戦、準々決勝とテクニカルフォール勝ちで突破すると、準決勝では水口竣介(拓大)と対戦。最終的にこの階級を制した相手に力負けし、0-9でテクニカルフォールで負けを喫する。3位決定戦に回ると、そこでは山田脩(日体大)と対戦。第1ピリオドを1-0とリードした状態で折り返す。しかし、第2ピリオドに入ると、ローリングと投げ技などで大量失点し、1-9でテクニカルフォールでの敗戦となった。
相手と組み合う山路
87キロ級の玉岡は、普段からグレコローマンを専門としており、全日本学生選手権(インカレ)で準優勝という実績も持っている。1回戦、準々決勝をテクニカルフォール勝ちで突破すると、準決勝では内田貴斗(専大)とぶつかる。第1ピリオドで相手のパッシブと、相手が投げ技をかけようとしたところから相手の背後に回って合わせて3点を奪う。その後相手のチャレンジ失敗もあり、スコア4-0で決勝へと駒を進めた。決勝では高橋夢大(日体大)と対戦。投げ技などで5点を奪い、5-0で第1ピリオドを折り返す。しかし、第2ピリオドに入ると、連続で失点を許し、5-9で惜しくも準優勝に終わった。試合後、玉岡はマット上で倒れ込み、悔しさをあらわにした。
相手の体を回転させる玉岡
97キロ級の北脇は、得意の投げ技を中心として得点を重ね、決勝まで駒を進める。決勝では宮本海渡(日体大)と対戦。あと少しでフォール勝ちという非常に惜しい場面もあったが、2-11でテクニカルフォールで敗戦。「1年生チャンピオンを目指していた」という北脇にとっては、悔しい敗戦となった。
得意の投げ技に入る北脇
130キロ級の山崎副将は、初戦で山田康瑛(山梨学院大)とぶつかる。山崎は本来フリースタイル97キロ級を専門としているため、体格で相手に劣ったものの、互角な戦いを見せた。1-1で試合終了となったものの、最終ポイントを取っていた相手が勝利。山崎副将は初戦敗退となった。
大きな相手と組み合う山崎副将
団体で3位入賞を目標に臨んだものの、結果は5位と「悔いの残る大会」(島谷主将)となった。しかし、実力差が大きかったのではなく、詰めの甘さや一瞬の油断からの失点など、課題は明白だ。11月には、全日本大学選手権が控えている。全日本大学選手権では、フリースタイルで、今大会と同じように大学ごとの得点を競う。また、島谷主将が率いる早大は、この大会が最後になる。5月の東日本学生リーグ戦は4位、今回の全日本大学グレコローマン選手権は5位と、目標へはあと一歩届いていない。早大はフリースタイルを専門としている部員が多いだけに、雪辱を果たせるかに注目だ。
(記事 齋藤汰朗 写真 齋藤汰朗、星野有哉)
※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません
結果
早大 32.5点 5位
▽55キロ級
尾西 準優勝
▽60キロ級
谷口 8位
▽63キロ級
島谷 8位
▽77キロ級
山路 5位
▽87キロ級
玉岡 準優勝
▽97キロ級
北脇 準優勝
▽130キロ級
山崎 1回戦敗退
コメント
島谷侃主将(スポ4=秋田商)
――早大は5位という結果でした。この大会全体を振り返って、感想を教えてください
全員が実力を出し切ることが出来れば、3位入賞もあったと思います。早稲田はフリースタイル専門が多い中で、普段からグレコローマンに取り組む3人が決勝に進んでくれたことは良かったです。しかし、実力や試合展開的にも、3人とも優勝できるチャンスがあっただけに3人とも準優勝だったことは悔しいです。その他にも勝てる試合を落とした階級があったので、全体としては悔いの残る大会になりました。
――今大会は、早大としてはどのような目標、位置づけとして臨んだのでしょうか
グレコローマンを専門にやっている選手は優勝、フリースタイル専門の選手も最低限入賞することを目標にして、団体で3位以内入賞が目標でした。
――島谷主将個人の成績、試合内容を振り返っていかがですか
僕はフリースタイルを普段からやっており、グレコローマンはほとんど練習してなかったのですが、フリースタイルの技術を活かせれば十分入賞できると考えていました。しかし、グレコローマン特有の投げ技からの寝技の展開に持っていかれ、自分の勝負する前に試合が終わってしまいました。グレコローマンの試合の経験不足だと思います。入賞するつもりだっただけに、悔しいです。
――次は全日本大学選手権が控えていると思います。目標や意気込みをお願いします
チーム一丸となって、リーグ戦の雪辱を果たします!
北脇香(スポ1=山梨・韮崎工)
――今大会全体を振り返って感想をお願いします
1年生チャンピオンを目指していたので、とても悔しい結果でした。1年生で出られるグレコローマンの大会は、今回が最後だったので、今までのどの大会よりも気持ちは入っていたと思います。決勝戦では、あと一歩で勝てるという場面もあり、その中で勝ち切れなかった自身の実力不足を痛感しました。
――全日本学生選手権3位、そして今大会も2位という好成績を残していると思いますが、大学生との対戦はどうですか。高校生の時と違いを感じたりはするのでしょうか
高校の大会に比べて、力任せに強引な技をかけたり、試合を上手く運ぼうとしすぎたりする人が多いように感じました。注目選手のレベルはとても高いのですが、それ以外の選手はかえって戦いやすかったと思います。
――決勝を振り返っていかがですか
試合の動画を振り返ると、数え切れないほど反省点が出てきました。決して勝てない相手ではなかったように感じました。判定に不満がないかと言われたら嘘になりますが、それも含めて実力不足だったと思います。
――次の目標を教えてください
来年以降は1年生チャンピオンになることはできないので、全試合フォールかテクニカルフォールや無失点など、圧倒的な優勝をしたいです。