大会期間後半を迎えた天皇杯全日本選手権(天皇杯)。早大からは3日目に臼池優月(社4=茨城・鹿島学園)と梅林太朗(スポ4=東京・帝京)、4日目に片岡梨乃(社1=千葉・日体大柏)が出場した。梅林は昨年と同じく男子フリースタイル79キロ級で3位に入賞。一方、臼池と片岡は惜しくも初戦敗退に終わった。大会の全日程を終了し、出場した梅林太朗、安楽龍馬(スポ3=山梨・韮崎工)、小玉彩天奈(社3=高知東)の3人がメダルを獲得。優勝者は出ずも、来シーズンにさらなる進化を予感させる締めくくりとなった。
★梅林、3位入賞も「まだまだ実力不足」
3位入賞の梅林
昨年3位に終わった1年前から、今年の天皇杯に照準を合わせていた梅林。今大会には、「4年間で一番準備していた、コンディションも整えきれた」と万全を期して挑んだ。その初戦、開始30秒で相手を場外押し出し先制に成功。その後投げ技を決めて第1ピリオド(P)序盤で相手を突き放す。昨年王者を相手に「思い描いた通り」の展開で試合を進め、6-1と快勝を収めた。続く準決勝では吉田隆起(自衛隊体育学校)と対戦。「先制点を簡単に取られてしまった」と、第1ピリオド(P)序盤にテークダウンを奪われ劣勢に。その後も流れを変えることができず、足にタックルを受けてさらに2点を献上、同時に膝に異変を感じ、試合は一時中断した。処置を終えて再開してからは「あまり力が入らない状態でやっていました」という梅林。それでも終盤、場外押し出しによるポイントを重ねたが及ばず。2-5で敗れ、目標としていた優勝への道はここでついえた。表彰台を争って行われた3位決定戦、梅林は相手のパッシブ(消極的な選手に与えられる注意)で点を積み重ねた。第2P終盤にはテークダウンを奪うなど、5-0と手堅く勝利。3位入賞を決めた。
昨年と同じ3位という結果について「まだまだ実力不足」とふり返った。大学卒業後も競技を続ける梅林。4年後のパリ五輪を見据え、今後は五輪階級のフリースタイル74キロ級で勝負すると語った。まだ見ぬ髙みへの挑戦が続く。
★臼池、全日本の舞台で「やり切れた」。片岡は下野(育英大)に連勝ならず
ラストイヤーの臼池は「やり切りたいという気持ち」で今大会に臨んだ。初戦、第1Pで投げ技とテクニカルポイントを決められ序盤から苦しい展開に。前半残り15秒で左足へのタックルを決めたものの、2-6と4点ビハインドで試合を折り返した。第2Pも相手の強攻が続く。「ポイントをやりすぎてしまった」と、テークダウンとローリングを決められ一気に6点を失った。しかし、ほぼ同時に獲得した場外押し出しによるポイントでテクニカルフォール負けを回避すると、「最後までやり切らないとだめだ」と自らを奮い立たせた。臼池は最後の最後まで攻めの姿勢を貫き、ラスト1分半でバックポイントを奪取。途中の9点差が痛手となり勝利には届かなかったが、目標としていた天皇杯の舞台で全力を出し尽くした。
今回早大勢唯一の1年生、片岡は最終日に出場した。初戦の相手は東日本学生秋季選手権でも対戦した下野佑実(育英大)。第1P、先に相手に1回目のパッシブを与えるも、終盤テークダウンを奪われ相手に先制を許してしまう。さらにローリングも返され点差は4点に。片岡が追いかける展開で迎えた第2P、またもテークダウンを決められると、相手のローリングに耐えることができず。一連の攻撃で10点差をつけられ、開始4分で0-10とテクニカルフォール負けを喫した。下野を相手に連勝とはならず完敗。悔いの残る結果で大会を終えた。
(記事 鬼頭遥南、写真 提供=日本レスリング協会)
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結果
男子フリースタイル
▽79キロ級
女子
▽53キロ級
コメント
梅林太朗(スポ4=東京・帝京)
――試合を終えた心境をお聞かせください
準決勝に負けて悔しかったという部分が、一番の今の気持ちです。
――組み合わせが決まったときのお気持ちは
自分の中ではけっこういいところを引いたなと。1個頑張って、準決勝はどっちが勝ってきても左構えだったので、左の対策、準備はしてきました。組み合わせはよかったと思います。
――準決勝までの試合内容をふり返っていかがでしたか
初戦は自分が思い描いた通りに展開が進んで行きましたが、足をさわられたり、とられそうになるシチュエーションっていうのが多かったので、もうちょっとできたかなと。でも調子はだいぶ良いと感じました。準決勝は強い相手というのはわかっていたんですけど、最初の先制点を簡単に取られてしまって、もう少し粘れたんじゃないかなと。そこで流れが相手に行ってしまったと自分では感じています。1点、2点の重みという部分で、慎重に出来たらよかったと思いました。
――試合中に膝を痛める場面がありましたが、その後なにか影響はありましたか
もともと手術しているほうの膝だったのですが、ちょっとパキッと音がして。1個目のタックルは問題なかったんですけど、タックルに入った後の動きとか1個踏み込んだ後の動きとか、あまり力が入らない状態でやっていました。相手もそれをわかっていてああいう展開になりました。でもそもそも足をとられてしまったのが悪かったので、反省点はいろいろとあります。
――3位決定戦はどう挑みましたか
早稲田として出る大会が最後だったので、勝って終わりたいという気持ちがありました。とれるところはとる、無駄なところはやらないということを徹底して、こつこつと点数を取っていけたので良かったと思います。
――3位という結果をどのように受け止めていますか
納得はいってない部分が。優勝目指して1年間やってきたので。去年も3位だったので、1個も成長していないとはいわないですけど、まだまだ実力不足、力不足だと感じました。
――学生最後の天皇杯となりましたが、これからも競技を続けられるということで、今後の目標をお聞かせください
今回が4年間で一番準備していた、コンディションも整えきれた大会だったので、そこで3位だったということは1回受け入れて。来年からは五輪階級の74キロ級に体を絞って、無駄なものを落として、本来の実力が発揮できる階級で勝負したいと思います。パリを目指して頑張ります。
――最後に後輩の皆さんへ向けて一言お願いいたします
自分自身怪我で出られなかったり、コロナで試合がなかったりということがあって、満足にレスリングができなかったという経験から、その時その時の大会で全力を出し切ってほしいし、後悔がないように、目の前のことに全力で取り組んでほしいな、というふうに思います。
コメント
臼池優月(社4=茨城・鹿島学園)
――試合を終えた心境をお聞かせください
今回最後の個人戦ということで、やり切りたいという気持ちと楽しみたいという気持ちで臨みました。負けてしまったんですけど、悔しといういうよりは、やり切れたかな、という感じです。
――試合内容をふり返っていかがでしたか
やっぱり、ポイントを相手にやりすぎてしまいました。
――第2ピリオドで3点目を返しテクニカルフォール負けを逃れましたが、そこからどのような気持ちで終盤を戦いましたか
ポイントを取っていなかったらその時点で試合終了になっていたので、何としてもテクニカルフォール負けを避けないと、という気持ちで場外ポイントを獲得しました。その後は大差はついていましたが、攻め続けようと。中継を見てくれている家族のことを考えたら、最後までやり切らないとだめだという気持ちになりました。
――学生最後の天皇杯となりましたが、早大レスリング部での4年間をふり返っていかがでしたか
早稲田は高校時代に活躍している選手が多い中で、自分は高校の時に全国タイトルとかもなく入学して、入学してからもなかなか勝てなかったり怪我でずっと試合に出ることができなかったりした時期が長くて。そういう期間もあったんですけど、女子2人の後輩、彩天奈(小玉、社3=高知東)と優衣ちゃん(須﨑、スポ3=東京・安部学院)という勢いのある後輩が入ってきたときに、自分の中で切り替わった部分が大きかったです。また、同期の剛光(坂井、社4=福岡・小倉商業)もなかなか勝てなかったのですが、2人で負けては、次頑張ろうと練習後、一緒に補強をしてくれました。柚貴野(織部、スポ4=東京・文化学園大杉並)も怪我した時期に支えてくれて。大学での目標は全日本(天皇杯全日本選手権)に出場することだったのですが、その目標を達成できたのも、モチベーションをなくすことなくここまでやってこられたのも、女子の絆と同期の存在のおかげだと思います。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。