鈴木、接戦の末優勝!天皇杯の切符をつかんだ!

レクリング

 迎えた東日本学生春季新人選手権2日目。男子フリースタイルが行われたこの日は早稲田から鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)が出場した。二回戦から登場した鈴木は準決勝まで順調に勝ち進み、準決勝からも接戦となりながら白星をあげ優勝を果たした。大学に入学してわずか3ヶ月でタイトル獲得。12月の天皇杯全日本選手権の出場権を獲得した。

 迎えた初戦。相手が何度も足元をつかみにかかるが鈴木は流し、カウンターで得点。ひとつひとつバックポイントを取り、ポイントを重ねて7−0と危なげなく勝ち進んだ。3回戦でも鈴木の優勢は変わらず、場外とパッシブで2点獲得して折り返す。第2ピリオドでは足を取られ耐えなければならない場面があったものの、確実に処理して得点を許さず、隙を突いてバックポイントで得点差を広げた。結果5−0で準決勝に勝ち上がった。「あんまりポイントを取りにいくタイプではないので、しっかり守って勝てたというのは良かったです」と振り返るように両試合無失点で抑えられたことは鈴木の自信につながった。しかし、ここまでは実力、経験ともに一枚上手の鈴木が真価を発揮したといえるだろう。

守りを徹底しながらもバックポイントを着実に重ねた鈴木

 ここまで余裕を持って勝ち進んだ鈴木だが、準決勝では苦しい戦いとなる。相手は今年のJOCジュニアオリンピック杯の準決勝で戦った伊藤朱里(中央大)。その時は2−2のビックポイント差で鈴木が勝利している。接戦を演じた相手が今回もまた立ち塞がってきた。第1ピリオドではお互いに守りの展開が続く。そんな中でも相手のパッシブを誘い得点。1点のリードで折り返す。第2ピリオドでは鈴木もパッシブを献上してしまい得点が追いつかれてしまうが、終了1分前に押し出して得点。2−1と僅差で準決勝を突破した。「JOCのときよりも自分の流れで戦えたと思います」と語ったように最後の押し出しは主導権を握って試合を運べたことからチャンスが訪れたに違いない。そして迎えた決勝。鈴木は堅実な守りが仇となりパッシブポイントを相手に取られると、1点ビハインドで折り返す。第2ピリオドでも攻めあぐねる展開が続き着々と時間が過ぎていく。「相手がすごく強くて、取れないかなって思いもあったんですけど、やっぱり最後にかけました」と語ったように残りわずか10秒で守りに入った相手の隙を突き猛攻を仕掛け、バックポイントを獲得。そのまま相手をしっかりと抑え込み試合終了。最後に大逆転を演じ見事優勝を成し遂げた。ブザーが鳴ると鈴木は勝利の雄叫びをあげ、満面の笑みを見せた。

鈴木は初戦、守りに入った相手に残り10秒でテークダウンに持っていった

 今大会を優勝すると12月の天皇杯全日本選手権に出場することができる。全日本への出場経験がない鈴木にとって今回の優勝は貴重なものだ。また、鈴木は大学に入って早々タイトル獲得を成し遂げた。この良い流れに乗り、次に迎えるはアジア・ジュニア選手権。「メダルどうこうの話じゃないと思うのでまずは自分のレスリングをして、できれば一勝したいなと思います」と鈴木は意気込む。日本とは違うスタイルを持つ海外の選手たちとより多く戦い、更なるレベルアップを期待したい。

入学後初のタイトル獲得を成し遂げた鈴木

★小玉が最優秀選手賞を獲得!

女子の部の最優秀選手賞を受賞した小玉

 前日の女子62キロ級で圧巻の優勝を成し遂げた小玉彩天奈(社2=高知東)はこの日の表彰式で、東日本学生女子選手権の最優秀選手賞を獲得した。小玉が今大会では計2試合行い、両試合とも無失点でテクニカルフォール勝ちを収めていた。

(記事、写真 北﨑麗)

結果

男子フリースタイル
▽70キロ級
鈴木歩夢 優勝

コメント

鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)

――優勝おめでとうございます

ありがとうございます。

――今の率直な気持ちは

本当に嬉しいです。

――5月の東日本学生リーグ戦から約1ヶ月と少しの間重点的に練習してきたことは

やっぱり攻めを練習してきたんですけど、今回はロースコアの試合がほとんどだったんで。でもその攻めがあるからこそロースコアでも自分のレスリングができたということがあると思います。

――今大会の位置付けは

この大会優勝すると12月の全日本(天皇杯全日本選手権)の出場権が取れるので、やっぱりそこを目指して。全日本出たことないのでまずはそこを目指して頑張りました。

――2回戦と3回戦は無失点で抑えました

かなり自分の中では練習の成果が出てたなと思います。あんまりポイントを取りにいくタイプではないので、しっかり守って勝てたというのは良かったです。

――無失点だったのはやはり大きかったと

大きいですね。準決勝と決勝もバックポイントは取られてないので、それはすごく良かったなと思います。

――準決勝の相手は4月のJOCジュニアオリンピック杯で接戦の末勝利した伊藤朱里選手でしたが今回の戦いはその時と比べてどうでしたか

JOCのときよりも自分の流れで戦えたと思いますね。最初にパッシブを取れましたし、そこはかなり大きかったと思います。相手もそれで入ってきて、最後押し出して勝ったので、自分が主導権を握ってて展開できたかなと思います。

――決勝では先にパッシブポイントを献上して最後逆転した形でしたが、バックポイントをずっと狙っていましたか

相手がすごく強くて、取れないかなって思いもあったんですけど、やっぱり最後にかけました。最後足がひっかかったところで点入ったかなって思ったんですけど、入ってなくて。ちょっと焦りはあったんですけど、ラストかけて得点して良かったです。

――次戦はアジア・ジュニア選手権となりますが、そこへ向けた意気込みをお願いします

本当にメダルどうこうの話じゃないと思うので、まずは自分のレスリングをして、できれば一勝したいなと思います。