日体大に敗れ決勝リーグ全敗。「本当にあと一歩がすごく遠いなと」

レクリング

 前日の決勝リーグで拓大、山梨学院大に惜敗し、早大の優勝はついえた。だが、東日本学生リーグ戦(リーグ戦)はまだ終わっていない。早大の意地を見せるため、そして笑ってリーグ戦を締めくくるため。最終日を迎えたこの日、早大は昨年のリーグ戦で敗れ、決勝リーグへの道を絶たれた因縁の相手、日体大との最終戦に臨んだ。

 早大の布陣は前日の拓大戦と同様。先陣を切る57キロ級には岩澤侃(スポ4=秋田商)が起用された。岩澤は試合開始直後にタックルからバックポイントを奪い先制に成功し、幸先の良いスタートを切る。しかし、第1ピリオド(P)終盤に同点に追いつかれると、第2Pは一方的な展開に。着実に相手にポイントを積み重ねられ、2−12のテクニカルフォール負けを喫した。続く61キロ級の吉村拓海(スポ4=埼玉栄)も第1Pを0−3のビハインドで折り返すと、その後も流れを引き寄せることはできず。終わってみれば4−11の大差での敗北となった。

接戦を勝ち切り、チームに大きな一勝をもたらしたルーキーの鈴木

 4年生が勝ちをもたらすことができず、2勝を先行されるかたちとなった早大。しかし、ここから中量級を担う下級生が意地を見せた。前日の2試合をいずれも1点差で落としていた65キロ級の安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)だったが、この日は接戦をものにしてみせた。前半に相手のパッシブにより先制すると、第2P半ばにも1ポイントを追加。試合終了間際に場外ポイントを許したものの、2点のリードを守りきり、早大に貴重な1勝をもたらした。70キロ級の鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)も1−1で迎えた試合時間残り35秒に相手の2度目のパッシブでリードを奪うと、その後は相手の猛攻をしのぎ勝利。ルーキーが僅差の試合を勝ち切り、早大は勝利数をタイに戻した。続く74キロ級はここまでリーグ戦5戦5勝の米澤凌(スポ2=秋田商)。前半を3−0とリードして折り返した米澤だったが、試合時間1分を切ったところで立て続けに失点し、同点に追いつかれる。それでも試合時間残り12秒でバックポイントを奪い勝ち越しに成功。ついに早大は勝利数で日体大を上回った。

獅子奮迅の活躍を見せた米澤(左)は勝利後安楽と抱擁を交わした

 勝利に王手を掛けた早大はここで主将の山﨑弥十朗(スポ4=埼玉栄)を迎えた。しかし、山﨑は前年度全日本学生選手権70キロ級王者の基山仁太郎に対し、思うように攻め入ることができず、パッシブによるペナルティで先制を許し第1Pを終える。第2Pに入ると、攻勢に転じた基山に突き放され、その後も反撃の糸口を見出せないまま、試合終盤にバックポイントを奪われ万事休す。主将が勝負を決めることできず、早大の命運はルーキーの山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)に託される。一方の日体大は勝てば7年ぶり優勝、負ければ拓大に優勝を譲るという状況の下、JOC杯男子グレコローマン97キロ級優勝の仲里優力を送り込んだ。試合は互いにパッシブによる1点を分け合う拮抗(きっこう)した展開となったが、第2P終盤に山崎が2度目のパッシブを取られ、勝ち越しを許す。山崎も気力を振り絞り猛攻を仕掛けたが及ばず、1−2で惜敗。3年ぶりの決勝リーグでの戦いは3戦全敗という屈辱的な結果に終わった。

主将の山﨑は勝負を決めることができなかった

 「ここまでチームが1勝するのに厳しい戦いになるとは思わなかった。本当にあと一歩がすごく遠いなと感じました」(太田拓弥監督)。山梨学院大には2−5で敗れたものの、優勝した日体大、2位の拓大に対しては僅かに1勝差での敗戦。やはり勝負どころで勝ち切れなかった。そしてチームを引っ張る4年生が勝利を届けられなかった。決勝リーグでは勝利を挙げられずに終わった主将の山﨑は「情けないですね。気持ちの面で4年生が負けていた」と悔しさをこぼした。一方でチーム唯一の6戦6勝と気を吐いた米澤を始め、下級生の勝負強さが光った。太田監督も「優勝できる下地はできたんじゃないかなと思う。すごく手応えは感じた」と話す。実力では決して劣っていなかった。チームが悲願とするリーグ戦優勝は手の届く位置にあるはずだ。今回の敗戦を糧に、この悔しさは必ず来年晴らしてみせる。

(記事、写真 林大貴)

表彰式後の集合写真

結果

▽決勝リーグ
3回戦 ●早大 3−4 日体大
●57キロ級 岩澤 2−12 新井
●61キロ級 吉村 4−11 山口
◯65キロ級 安楽 3−1 小川
◯70キロ級 鈴木 2−1 上野
◯74キロ級 米澤 6−3 三輪
●86キロ級 山﨑 0−6 基山
●125キロ級 山崎 1−2 仲里


▽最終結果
早大 4位

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コメント

太田拓弥監督

――3日間のリーグ戦をふりかえって

決勝リーグ上がって、厳しいというのは重々分かっていたんですけど、ここまでチームが1勝するのに厳しい戦いになるとは思わなかった、というのが実感で。本当にあと一歩というのがすごく遠いなと感じたリーグ戦でした。

――勝てなかった要因としては

敗因はやはり4年生が勝ちきれなかったことですかね。でも弥十朗を中心に練習も本当によく頑張ってくれていました。まあ他の大学と比べて部員数が少ないなかでやりくりしなくてはならなかったということもあるんですけど、そういったなかでも優勝した過去何年かあって、その過去と比較したらコーチ陣・OB会、学生みんなが足並みをしっかり揃えてなかったという部分もあったんじゃないのかなとは思いますね。

――下級生の活躍が目立ちました

来年以降のことを考えればすごくプラスになった部分はもちろんあったんですけど、まあただ1年生2年生にあそこまでプレッシャーのかかる内容を4年生が与えてしまいましたね。「俺が勝つからお前らはただ思いきってやるだけだから。」と声をかけて欲しかったです。そういった意味も含めて4年生中心にまとめていかないと総合優勝はまだまだ厳しいかなと。まあただ優勝できる下地はできたんじゃないかなと思います。すごく手応えは感じました。

――今大会で最も成長した選手は

やっぱり米澤凌ですね。あとは安楽、鈴木、山崎祥平。この4人ですかね。まあ龍馬は大事なところで負けてしまいましたけど、すごい悔しい思いをしてましたし、そうした中でも今日の試合勝ってくれたんで。米澤凌も上の階級で出場して勝ったんでその点についてもよかったと思います。1年生の二人もよい経験ができたと思うので。来年以降ものすごく楽しみになる経験ができましたね。

――次の大会は明治杯全日本選抜選手権になりますが、そこへ向けて

この全日本選抜が東京オリンピックの予選のスタートの大会でもあるんで、とにかくその大会に向けて一人でも多く出場すること、そして全日本選抜のほうで一人でも多く優勝することを頑張らせたいなと思います。

山﨑弥十朗主将(スポ4=埼玉栄)

――リーグ戦を終えて、今の率直な気持ちは

情けないですね。僕自身としてはあそこで決めなければならないところで決め切れなくて。今まで何をやってきたんだという感じですね。

――日体大戦は勝利に王手を掛けて迎えましたが、そこで勝てなかった敗因としては

敗因としては自分の気持ちが前に出ていないというか前に出ようとしても体が後ろに行ってしまうというのが感じられて、その中で噛み合わない部分がありました。せっかく後輩が3つ連続で取ってくれたのに、不甲斐ないですね。

――決勝リーグはご自身勝利を挙げることができませんでした

昨日はすごく動けていたんですけど、今日は逃げ腰になってしまったのかなと思います。負けていたんでしょうね、気持ちが。安定を求めていた部分があって、点数を取れたらいいという。そこでチャレンジ精神を持っていかなければいけないところで前に出られませんでした。

――プレッシャーを感じる部分もあったのでしょうか

そうですね。イケイケムードの中でその流れに乗れなくて、そこで勢いに乗れる人が本物だと思うので。自信がなかったんだと思います。

――4年生が思うように勝てませんでした

最初の2つを落としているっていうのは、厳しいですね。ただ序盤の難しさもある中でよくやってくれたかなと思います。やっぱりそこで自分が後から勝たないといけないな、後半は自分がいるから任せろっていう安心感がなければいけないと思っていたんですけど。情けないですね。気持ちの面で4年生が負けていたんだと思います。

――後輩の活躍ぶりはどのように映っていましたか

1、2年生は本当にガッツがあって、頼もしかったです。自分も下級生の頃はあんな感じだったなと思って、上級生になってチャレンジ精神を失ってしまったのかなと思うと、そこは初心に帰らないといけないなと思いますね。

――3年ぶりに決勝リーグ進出を決めたことに関しては

決勝リーグに行けたのも結局後輩の活躍があってなので。嬉しいですけど、4年生の活躍では決してないので、後輩におんぶに抱っこでした。内閣杯こそは4年生が引っ張れるようにしたいです。

――これからも重要な大会が控えていますが、今後へ向けて

ここまで負けて、大きい口は叩けないので、練習量と態度で引っ張っていくしかないなと思います。その上で明治杯予選、明治杯に照準を合わせていきたいと思います。