年に1度しかない団体戦。東日本学生リーグ戦には他大会とは違った選手たちの特別な思いがある。8年ぶりの優勝を目指し、予選リーグが行われた。1回戦の法大戦、2回戦の神奈川大戦ともに6−1で勝ち進む。そして勝負の日大戦。結果は5−2で勝利。3年ぶりの決勝リーグ進出を決めた。
主将としての役割を果たした山﨑
初戦は法大戦。リードオフマンとして57キロ級に登場した岩澤侃(スポ4=秋田商)は第1ピリオドで勝ち越されてしまう。第2ピリオドで少しずつ得点し追いつくも、ビックポイント差で敗北し黒星スタートとなってしまった。しかし、その後は6連続勝利。6−1と快勝した。なかでも70キロ級の鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)と86キロ級の山﨑弥十朗(スポ4=埼玉栄)はテクニカルフォール勝ち。ともに無失点に抑えた。続く神奈川大戦。法大戦とはメンバーを変え、57キロ級に岩澤から坂井剛光(社3=福岡・小倉南)、125キロ級に松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)から山崎祥平(商1=茨城・土浦日大)が出場した。しかし、神奈川大戦もまた57キロ級で敗北。よいスタートを切ることができない。それでも、それを支えるかのように後の6戦は全員無失点。61キロ級の吉村拓海(スポ4=埼玉栄)、70キロ級の鈴木、125キロ級の山崎は第1ピリオドで勝負を決めた。
大一番の日大戦前、円陣を組む早大レスリング部
そして最後に迎えた大一番の日大戦。オーダーは大きく変わった。軽量級は初戦と同じ布陣を組んだが、70キロ級に米澤凌(スポ2=秋田商)、74キロ級に山﨑、86キロ級に野本洲汰(スポ3=群馬・館林)が起用された。試合前、部員全員で円陣を組み気合いを入れる。「岩澤は3回戦で出すため2回戦は休ませ気持ちを切り返えさせて試合に挑ませたかった」と太田監督。こうして先鋒を任された岩澤は1点ずつ確実に得点を重ね、4−0で勝利。法大戦からきちんと気持ちを切り替え、よいスタートを切った。岩澤の勝利により早稲田は勢いに乗る。61キロ級の吉村は8−0と第1、2ピリオドを通して圧倒し続け勝利。続く65キロ級の安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)は苦戦を強いられた。取られては取り返すシーソーゲームの末、2−2で決着。判定勝ちにより安楽は貴重な勝ち点を早稲田にもたらした。次勝利すれば決勝リーグ出場が決まる。そんな中70キロ級に登場したのは前の2試合とも無失点に抑えた米澤凌(スポ2=秋田商)。米澤はこの日大戦でも守りの堅さを見せる。攻撃面ではバックポイントと4点の大技を決め、8−0と快勝し、決勝リーグ出場を決めた。続いた山﨑は今試合も圧巻のテクニカルフォール勝ち。86キロ級の野本、125キロ級の山崎が連続で敗れるも5−2で勝利しDグループ1位となった。
日大戦で完勝し、雄たけびをあげる吉村
太田監督の「4年生が活躍できなければ優勝はできない」という期待にしっかり応え、岩澤、吉村、山﨑、松本がきちんと勝利してチームを支えた。4年生の勝利はチームの士気もあげるに違いない。また、そこに着実に勝ちをあげる下級生の力が合わさって強い早稲田を作り上げるだろう。「優勝は後からついてくるものでとにかく1戦1戦の積み重ね」と太田監督は言う。1ポイント1ポイントを大切にして強豪たちとの決勝リーグで勝利を掴みたい。
(記事 北﨑麗、写真 林大貴)
結果
▽1部リーグ予選
早大 1位
1回戦 ◯早大 6−1 法大
●57キロ級 岩澤 4−4 堤
◯61キロ級 吉村 6−1 谷口
◯65キロ級 安楽 2−0 鏡
◯70キロ級 鈴木 10(TF)−0 西舘
◯74キロ級 米澤 5−0 竹沢
◯86キロ級 山﨑 10(TF)−0 林
◯125キロ級 松本 7−0 大岩
2回戦 ◯早大 6−1 神奈川大
●57キロ級 坂井 0−10(TF) 山口
◯61キロ級 吉村 10(TF)−0 岩永
◯65キロ級 安楽 8−0 時田
◯70キロ級 鈴木 10(TF)−0 福岡
◯74キロ級 米澤 10(TF)−0 北条
◯86キロ級 山﨑 10(TF)−0 池田
◯125キロ級 山崎 10(TF)−0 佐川
3回戦 ◯早大 5−2 日大
◯57キロ級 岩澤 4−0 左京
◯61キロ級 吉村 10(TF)−0 矢後
◯65キロ級 安楽 2−2 逆井
◯70キロ級 米澤 8−0 本間
◯74キロ級 山﨑 10(TF)−0 赤萩
●86キロ級 野本 0−10(TF) 石黒隼
●125キロ級 山崎 10−0(TF) 石黒峻
コメント
太田拓弥監督
――3年ぶりの決勝リーグ進出が決まりました
2年間指導してきたのでそういう点では内容も含めてすごいよかった試合でしたし、選手もこれで満足していなかったので明日すごく楽しみだなというのが率直な気持ちです。
――日大戦をふりかえって
軽量級から「自分のかたちで」というのがすごく発揮されていましたし、当初からこのリーグ戦にかけるところで、組み手で追い込む→チャンスあったらタックル→グラウンドという流れがしっかりそれぞれ確立してました。侃に関しては1回戦で負けて、3試合目で使う予定だったので2試合目は休ませて、気持ちを切り替えさせてから試合に挑ませようと思っていたのでしっかり気持ち切り替えて臨めていたのがよかったなと思います。全般的に74キロ級までは練習でやってきたことが出せていたなと思います。最後に山崎が学生チャンピオンクラスの相手に積極的に自分から攻めていって、結果負けましたけども、自分から攻撃していくという面ではいい内容の試合だったんじゃないかと思います。
――山崎主将は全3試合テクニカルフォール勝ちをおさめました
毎年言ってるんですが弥十朗、拓海、侃、4年生が活躍しないとチームがまとまらないですし優勝もできないので、うちに限らず他のチームもやっぱり4年生がしっかりリーダーシップ図っているチームが必ず優勝しているので、そういった意味で弥十朗はよくチームをまとめて、結果もついてきてますし、練習の時から声だして練習しているので、この結果に対しては弥十朗の実力が存分に出た試合だったんじゃないかと思います。
――初日特に印象に残った選手は
やっぱり弥十朗と拓海は高校時代に団体優勝を経験している選手なので、そういったことを経験してる選手がいることですごくプラスになることが多いよって話を1年生で入学した当初から言ってたんで、そういった意味でこの二人がしっかり全勝してるってことは、「お前ら二人が勝たないと団体優勝はないよね」と常々言ってきたのでとても印象的でした。しかし、坂井と野本に関してはもっと自分から積極的に、やっぱりこのリーグ戦って年に1回の団体戦で特別なものなので自分の思い通りに体が動かなかったりするんですが、マットの上で闘って得られるものはとても大きいので、来年のことを考えるとメンバーがそろってるということもあってここは起用したんですが、それがああいったかたちで負けてしまったんでそこは来年以降の課題なんじゃないかなと思います。ただ1年生が歩夢にしても祥平にしても思いっきりやれててすごくいいのでプラスになりましたね。
――明日へ向けてひとこと
そうですね、優勝とかはあとでついてくるものだと思うので、とにかく一戦一戦1ポイント1ポイント大事にしてその積み重ねで明日の山梨学院大戦、拓大戦で勝って最終戦の日体大戦に向かって総合優勝したいなと思います。
山﨑弥十郎主将(スポ4=埼玉栄)
――3連勝で決勝リーグ進出を決めました。今の率直なお気持ちはいかがですか
安心という気持ちが大きいですね。1日目の目標を達成することができましたし、みんなすごい動きが良くて、課題を持ってやっていたので、バッチリだったと思います。
――チームとして山場の日大戦を振り返っていかがですか
4年生の力が大きかったです。57、61は結構減量がきつかったことと、4年生という立場で迎えるリーグ戦ということで最初は動きが硬かったんですけど、最終的に勝負どころで力を発揮できるっていうのは大きかったです。そこで先輩として背中を見せられたのは、あしたにつながるいい試合だったと思います。2年生がしっかり勝ってくれたのも大きかったです。
――ご自身の出来としてはいかがですか
自分としてはすごく安定していたかなと思います。自分の前で勝負が決まっていたのも大きくて、落ち着いてリラックスしてプレーできたと思います。
――あすはきょう以上に厳しい戦いとなります。意気込みをお願いします
そうですね、楽な試合はないと思います。ただ2試合だけなので、そこはしっかり集中して臨みたいと思います。