須﨑が優勝、小玉が2位に入賞も悔し涙

レクリング

 昨年のジュニアクイーンズカップ、2人のルーキーが早大でのデビュー戦に臨み、そして優勝を果たした。小玉彩天奈(社2=高知東)、須﨑優衣(スポ2=東京・安部学院)。1年の歳月を経て様々な経験を重ねた2人は、それぞれが複雑な心境を抱えながら今大会に臨んでいた。


決勝で敗れた小玉

 昨年はルーキーながらジュニアクイーンズカップ、世界ジュニア選手権、全国社会人選手権の3タイトルを獲得した小玉。「階級の中では自分が一番学年も上で、絶対優勝しなければならない」と今大会に臨んだ小玉は初戦の準々決勝、続く準決勝と無失点のテクニカルフォール勝ち。しかし、昨年度の天皇杯全日本選手権59キロ級女王の稲垣柚香(至学館高)との対戦となった決勝では試合序盤から攻撃の糸口を見出せず。小玉はパッシブによるペナルティとテークダウンによる3点のビハインドを追う苦しい展開で前半を折り返した。第2Pの終盤にはタックルから右足を捉え2点を追い上げた小玉だが、直後に攻めに出たところでカウンターを受け万事休す。2−5で敗戦し、大会連覇を果たすことはかなわなかった。
 「組み合わせが出てからずっとプレッシャーを感じていた。絶対負けられない中で2位という結果は本当に悔しい」と涙ながらに話した小玉。「次の明治杯(全日本選抜選手権)予選は今日の相手も出場すると思うので、この悔しさを忘れずに取り組んで、次当たったら必ず勝ちます」。今大会の屈辱をバネに、小玉は次なる戦いへ臨む。


試合後の表彰式で目を潤ませる須﨑

 けがの影響により昨年の世界選手権以来実戦から遠ざかっていた須﨑にとって、今大会は約半年ぶりの復帰戦となった。初戦となった2回戦から準決勝まで10−0のテクニカルフォールで危なげなく勝ち進み、決勝まで駒を進めた須﨑。しかし、けがの影響、試合勘のブランク、計量システムの変更など、様々な要因が絡み合っていた須﨑の動きは明らかに本来のものではなかった。
 迎えた決勝、須﨑は大苦戦を強いられることとなる。試合序盤から幾度となく組手での崩しやタックルを試みるも攻めあぐね、ポイントを奪うことができず。逆にパッシブによるペナルティで1点を献上して第1ピリオド(P)を折り返した。それでも、その後も攻撃の手を緩めなかった須﨑が第2Pに二度相手のパッシブを誘い逆転に成功。2−1で勝利を収め、優勝を果たした。
 しかし、決勝では最後までテクニカルポイントを奪うことができずに終わった。試合直後の表彰台で須﨑は悔し涙を流していた。「初めてプレッシャーを感じた。自分の理想や周りの期待に実力が追いついていない。最後まで自分のレスリングができなかった」と声を震わせた。それでも「この大会に出て本当に良かったなと思います。現状の課題も含め、本当に勉強になる大会でした」と須﨑。5月下旬の明治杯予選から再び始まる東京五輪の代表選考レースへ向けて、「あとは改善して這い上がっていくだけ。東京五輪は自分の目標なので、一つ一つ勝って必ず目標を達成します」と改めて決意を語った。

(記事、写真 林大貴)


★須﨑が大会MVPを獲得!

MVPの表彰の際には笑顔を見せた須﨑

 50キロ級で優勝を果たした須﨑は今大会最優秀選手に選出され、JOC杯とクイーンズ杯を授与された。2009年からジュニアクイーンズカップに出場していた須﨑は、今年度の優勝でキッズ3〜4年の部から通算して大会11連覇となった。

結果

ジュニアの部
▽50キロ級
須﨑優衣 優勝

2回戦 ◯10-0[TF 2:06]  片岡梨乃(日体大柏高)
準々決勝 ◯10-0[TF 1:33] 笠井梨瑚(芦屋学園)
準決勝 ◯10-0[TF 3:36] 平田彩夏(日大)
決勝 ◯2-1 吉本玲美那(至学館大)


▽62キロ級
小玉彩天奈 2位

準々決勝 ◯10-0[TF 2:30] 福井紀夏(芦屋学園)
準決勝 ◯10-0[TF 2:56] 本荘美菜(館林商工高)
決勝 ●2-5 稲垣柚香(至学館高)

コメント

小玉彩天奈(社2=高知東)

――2位という結果について率直にどう受け止めていますか

悔しいです。階級の中でも自分が一番上級生で、高校生ばかりだったので、絶対に優勝しなければいけない立場だったんですけど、すごくプレッシャーを感じていて。すごく悔しいです。

――決勝を振り返って

構えも低くて、なかなかタックルに入りにいけなくて、自分の足が止まっていたのもあるんですけど、足を取られてから尻もちをついたりして苦手な体勢になってしまうこともあって、試合もずっと相手のペースでした。内容的には悪くはなくて、組手の部分などでも成長を感じた部分はあったんですけど、結果が伴わなかったので・・・。

――今大会全体を振り返っていかがですか

初日は試合が遅かったのもあって、自分で納得できる内容ではなかったです。タックルも力だけで取っていたというのもあって。でもきょうはグラウンドとかを返せなかったのは反省なんですけど、今取り組んでいる崩しとかもうまくできて、成長しているのかなっていうのは感じましたね。

――今大会へのプレッシャーというのはずっと感じていたのでしょうか

エントリー表を見てからずっと。一階級下の天皇杯チャンピオンと言えど年齢的には下で、絶対自分の方が上だと思いながらも、その相手が勝った選手とかを見ると向こうも力を付けていて、自信がないときもあって。ずっとそういう思いで1ヶ月具体練習してきたので、プレッシャーもあったんですけど、それを乗り越えないといけないなというのは感じました。

――今後へ向けて、今大会をどう活かしていきたいですか

次の相手も五輪を目指しているのであれば予選に出てくると思うので、次当たったら自分が明治杯に出るんだっていう気持ちで、この悔しさを忘れずに、絶対に勝てるように取り組んでいきたいです。

須﨑優衣(スポ2=東京・安部学院)

――表彰台の上から涙を流していましたが、どういった心境だったのでしょうか

自分の思うようなレスリングができなくて、すごく悔しいし、東京五輪に向けてこのままではいけないと思いましたし、もっと頑張らないといけないという思いでした。

――「初めてプレッシャーを感じた」とおっしゃっていました

世界選手権の時はすごく調子が良くて。自分も世界選手権の時以上を求めていたし、自分が思っている理想と周りの方々の期待に自分の実力が追いついていなくて、プレッシャーというのをレスリングをしていた中で初めて感じて。でもこのプレッシャーはチャンピオンにしか味わえないものだと思うので、その先にさらに強くなった自分がいると思うので、しっかりこのプレッシャーを乗り越えていきたいと思います。

――大会を通じてコンディションは良くなかったのでしょうか

体のコンディションは足も動いていて、体重調整も良かったんですけど・・・。一から頑張らないといけないなと本当に思います。

――決勝は苦戦を強いられましたが振り返って

決勝は本当に自分の攻めるレスリングが出し切れなかったので、悔しかったですし、どんな相手にどんな対策をされても自分のレスリングをして勝つ選手にならないといけないなと思います。

――復帰戦となりました今大会全体を振り返って

復帰戦ということもあって、この大会を通じてたくさんのいいところも反省点も見つかったので、全て5月、6月に活かして、必ず東京五輪の代表になりたいと改めて強く思いました。

――今後に向けて一言お願いします

5月に明治杯予選、6月に明治杯、7月にプレーオフと続きますが、自分の目標を達成するために、大切な1年になると思うので、必ず目標を達成したいと思います。