天皇杯全日本選手権(天皇杯)第3日。早大からは男子フリースタイル65キロ級に米澤圭(スポ4=秋田商)と安楽龍馬(スポ1=山梨・韮崎工)が出場したがそれぞれ準決勝で敗退、70キロ級で出場した米澤凌(スポ1=秋田商)も準決勝で敗れ決勝進出を逃した。敗者復活戦では出場した全選手が未勝利に終わり、早大から表彰台に上る選手は現れず。最終日を前にして、早大戦士たちの全日本の挑戦は幕を閉じた。
★米澤圭、準々決勝敗退で早大での戦いを終える
五輪メダリストと対等に渡り合った安楽
米澤圭と安楽は五輪階級の中でも最も熾烈な男子フリースタイル65キロ級に出場。初戦でインカレ決勝で接戦の末に破った榊大夢(山梨学院大)と対戦した安楽は試合序盤から小刻みにポイントを積み重ね主導権を握る。終盤には追い上げを許したものの、リードを守りきり勝利を収めた。今季4度目の対戦のなった榊に対し、「いつも僅差の試合なんですけど、その中で3回勝ったっていうのは自信になりました」と振り返った。続く1回戦も突破し、迎えた準々決勝の相手はリオ五輪57キロ級銀メダリストの樋口黎(日体大助手)。2点ビハインドから第2ピリオド(P)1分54秒にバックポイントを奪い、リードして試合終盤の攻防を迎えた。しかし「攻めるか守るかで迷いが出たところで点を取られてしまった」と試合時間残り20秒でテークダウンを決められ、3−5で準々決勝敗退となった。
米澤は準々決勝敗退。早大での最後の戦いは悔しさの残るものに
早大での最後の大会となる第3シードの米澤圭は、1回戦を8−0で危なげなく突破。しかし、清水洸希(拓大)との対戦となった準々決勝、2点リードで迎えた第2P中盤に4ポイントのテークダウンからローリングを返され絶体絶命の劣勢に追い込まれる。「ここで負けるわけにはいかない」と試合終盤に怒涛の追い上げを見せたが及ばず。7−8の惜敗で準々決勝敗退となり、米澤圭の早大での戦いは幕を閉じた。「ワセダのシングレットを着てるうちに全日本で優勝したかった」と悔しさをにじませた米澤圭。今後は社会人として選手を続ける。早大培ったレスリングを胸に、まずは来年6月の明治杯全日本選抜選手権での逆襲を期す。
「五輪非階級なので優勝を目指したい」と今大会に臨んだフリースタイル70キロ級の米澤凌は初戦をフォール、準々決勝を6−0で順調に勝ち進む。準決勝は今年1勝1敗の志賀晃次郎(拓大)との3度目の対決となった。試合は相手のパッシブによるアクティビティタイムにより米澤凌が先制に成功。その後は互いに場外押し出しによるポイントを取り合い、1点リードで試合終盤の攻防へ。しかしこの場面でテークダウンを奪われ逆転を許し、2−3で惜敗。志賀に東日本学生春季新人選手権の雪辱を許し、決勝進出を逃した。3位決定戦では3−4で敗れ、米澤凌は5位で今大会を終えた。
★敗者復活戦は未勝利。巻き返しは図れず
初出場の天皇杯を戦い抜いた岩澤
大会規定により決勝進出選手に敗れた選手が回る敗者復活戦に男子フリースタイル57級の岩澤侃(スポ3=秋田商)、61キロ級の吉村拓海(スポ3=埼玉栄)、男子グレコローマン67キロ級の宇井大和(スポ3=和歌山・新宮)が出場した。しかし、岩澤が2回戦で荒木大貴(専大)に1−5で敗れると、宇井も2回戦で河名真寿斗(クリナップ)に敗戦。3位決定戦へ臨んだ吉村も中田陽(三重県朝明高校教員)相手に1−2で惜敗し、早大から表彰台に上る選手は現れなかった。
(記事 林大貴、写真 関谷瑠聖、皆川真仁)
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結果
男子フリースタイル
▽57キロ級
岩澤 8位
敗者復活2回戦 ●1-6 荒木大貴(専大)
▽61キロ級
吉村 5位
3位決定戦 ●1-2 中田陽(三重県朝明高教員)
▽65キロ級
安楽 準々決勝敗退
予備戦 ◯3-2 榊大夢(山梨学院大)
1回戦 ◯11(Tフォール)-0 中西敦也(日本文理大)
準々決勝 ●3-5 樋口黎(日体大助手)
米澤圭 準々決勝敗退
1回戦 ◯8-0 金城希龍(自衛隊)
準々決勝 ●7-8 清水洸希(拓大)
▽70キロ級
米澤凌 5位
予備戦 ◯4(フォール)-0 坂本栄裕(須玉中教員)
準々決勝 ◯6-0 木村優太(専大)
準決勝 ●2-3 志賀晃次郎(拓大)
3位決定戦 ●3-4 原口伸(国士舘大)
男子グレコローマン
▽67キロ級
宇井 8位
敗者復活2回戦 ●1-5 河名真寿斗(クリナップ)
コメント
米澤圭主将(スポ4=秋田商)
――まずは今大会を総括していただけますか
今大会は東京オリンピックの予選も絡むということで、すごい自分自身もちゃんと減量とかもしっかり準備してきて、動きもそんなに悪くはなかったんですけど、まあただ単に実力不足かなと思います。あと試合の運び方、判断力がまだちょっと足りてないのかなと思いました。
――今年はケガや体調不良が試合に影響することもありましたが、今大会はそのような面はありませんでしたか
今大会はいつもに比べたら全然なくて。ケガとか減量のミスとかがなかったので、その分「とりあえず決勝にはいくぞ」という気持ちで臨んだんですけど、そこで勝ち切れなかったのが自分的にはショックでしたね。
――先を見てしまった面はありますか
いや、そういうわけではないんですけど、やっぱり取り切れないというか一つ一つの技の精度がまだちょっと足りてないのかなと思いました。
――初戦の戦いを振り返っていかがですか
足結構取られてしまったんですけど、自分との相性が良かったので。その分しっかり守って相手の攻撃を自分の点数にできたので、点数取られなかったことは良かったかなと思います。
――敗れた試合の6点取られて逆転された場面を振り返っていかがですか
自信のある、もつれてぐちゃぐちゃになったところで相手に点数を取らせてしまって、そこからまたグラウンド返ってしまったのが、結構自分の中で大きな敗因かなと思います。
――終了間際は追い上げを見せましたが、最後の場面はどのような気持ちでプレーしていましたか
ここで負けるわけにはいかないと思って。動きも良かった分しっかりこの大会では成績残したいという気持ちが強かったので、そこでしっかり点数取り切れなかったというのはちょっと残念でした。
――早大最後の試合ということで、思い入れもありましたか
そうですね。ワセダのシングレットを着るのが最後なので、やっぱりワセダのシングレットを着てるうちに全日本優勝したかったというのはありますね。
――今大会は下級生の活躍が目立ちますが、チーム全体としてはいかがですか
本当に実力もある中で今年1年チームを盛り上げてくれて、自分の刺激にもなったのでとてもありがたいなという思いもありつつ、自分はOBになってしまうんですけど、来年もすごい楽しみだなという気持ちはあります。
――早大での4年間を振り返っていかがでしたか
考え方もレスリングスタイルも大きく変化したと思うので、この4年間で学んだことをもっともっと広げていけるように、社会人では自分でやっていかなければいけないので、まずは東京オリンピックに向けてどうやったら勝てるのか、トップの選手に追い付けるのかというのを残り時間が少ないので、しっかり考えていきたいなと思います。
――次の目標は明治杯全日本選抜選手権優勝ですか
そうですね。もう試合数も多分少なくなってくるので明治杯までにしっかりもう今から準備して、取り組んでいきたいと思います。
――最後に後輩たちと同期の4年生へそれぞれメッセージをお願いします
後輩には、自分一応主将だったので付いてきてくれてありがとうというのと、来年からまた1年間新しい学生生活が始まるので、しっかり自分たちが成し遂げられなかったリーグ戦(東日本学生リーグ戦)優勝に向かってとりあえずは頑張ってほしいですね。同期たちには、やっぱり生活面でも結構遊んだりしてた仲なので、本当にそういう支えがあったから自分も頑張れたなというのがあって。他の同期みんなはレスリング続けないので、会う機会も少なくなってしまうと思うんですけど、離れてもこれからも定期的に会って遊びましょうという感じですね(笑)。
吉村拓海(スポ3=埼玉栄)
――今大会の結果をどのように受け止めていらっしゃいますか
うーんまあ微妙だなという。微妙です。とても微妙です。
――きょうの試合を振り返って
本当微妙だなというのが率直な感想です。内容としては今大会通じてやってきた技術はついてきてるんですけど、まだその技術が一つ一つバラバラなので、一貫性がなかったなと。つながりがなかったので、守ってくる相手にああいう展開になってしまったのかなというのはあります。
――昨日はかなり状態が良さそうでしたが
体の状態はきょうも昨日もとても良くて。その中で負けたので、実力不足、技術不足というのが今あるので、しっかりこれからの練習で反映できてればいいかなと思います。
――昨日敗れた準決勝の戦いを振り返っていかがでしたか
5分50秒くらいは自分のペースで組み手も展開できたんですけど、取れそうなところで2回ほどあって取れなくて2-1でいいやと思ったのが甘いところで。そこで最後逆転されてしまったのかなと思います。
――今年1年間の戦いを総括していかがですか
やってきたことは少しずつかたちになってきてるなと思ったので、来年最上級生になる、もうなってるんですけど、4年生として正式に代替わりしてリーグ戦(東日本学生リーグ戦)から始まると思うので、しっかりと今年1年間の反省点というか甘い部分をなくして、リーグ戦優勝して春のこの大会(明治杯全日本選抜選手権)でもしっかり優勝して、頑張っていきたいなと思います。
安楽龍馬(スポ1=山梨・韮崎工)
――天皇杯終わって率直な気持ちというのは
樋口選手に負けて、何が足りないかって言ったらメンタルですね。心理的にも戦術も考えて工夫しないと。ラスト1分でリードして、気が緩んだ瞬間にポイントを取られたので。
――リードを奪うのが早すぎたということでしょうか
そうではなくて、もう1回ポイントを取りに行くべきだったなと思います。攻めるか守るかで迷いが出たところで点を取られてしまったので。樋口選手がめちゃくちゃうまかったですね。組手の技術やテクニックも全部うまくて、さすがだなと思いました。
――今大会を振り返っていかがですか
楽しみでしかなかったですね。昨日の夜に組み合わせが出た瞬間にワクワクして。初戦もインカレ決勝の相手で4回目だったんですけど、そこはもう突破するつもりで上のステージを見ようと思って。実際樋口さんとやって楽しかったですね。相手を過大評価しすぎた部分があって、その部分でも負けていたなと思います。
――樋口選手との対戦は自信になった部分もあったのではないでしょうか
そうですね、タックルの正確性はすごい良かったですね。そこの部分をもう少し数を増やしても精度を維持できれば楽に試合を運べたと思います。あと一歩だったぶん終わってみてもすごい悔しいんですけど。次やるのが早くて6月なんですけど、そこまでに勝てるように練習したいですね。もうちょっと工夫をしたいですね。
――初戦は今年4回目の榊選手との対戦となりましたが、振り返っていかがですか
いやまたかよみたいな(笑)。相手も多分そう思っているんですけど。いつも僅差の試合なんですけど、その中で3回勝ったっていうのは自信になりました。
――ルーキーイヤーの今年1年を振り返っていかがですか
まだまだだなと思いました。視点を日本から世界に変えて考えていきたいですね。自分が小さすぎました。国際大会にも挑戦できるようにこういった大会で勝っていかないといけないので、練習あるのみですね。悔しい思いが多かったですね。
――来年へ向けて抱負はありますか
来年は痩せる(笑)。痩せたいっすね、減量がきついので。今回も調子乗りすぎちゃって、体重を一気に落としてきつい部分があったので、体重の減量を7キロから5キロぐらいにできるようにしていこうと思いますね。
米澤凌(スポ1=秋田商)
――今大会振り返っていかがですか
70キロ級は五輪非階級だったので優勝を目指していたんですけど、準決勝で負けてしまって。敗者復活戦では少し気持ちが落ちてしまいました。
――準決勝まではコンディションも良さそうでした
準決勝までは気持ちをキープしていたんですけど、いつもやってる選手に僅差で負けてしまいました。
――志賀選手とは今年3度目の対戦でしたが、意識したことはありましたか
足を取ってくるのが上手かったり、返し技もうまいので、そういった部分は気をつけようと思っていました。
――敗因としては何が上げられるでしょうか
敗因としては最後の焦りで、やってくるってわかっていた技にかかってしまったことですね。そこをしっかり対処できてれば勝機があったんじゃないかと思います。
――今大会の結果をどう受け止めていますか
優勝を目指していたので、3位決定戦もうまく気持ちを上げられなくて。気持ちの面で反省する部分が多いかなと思います。
――今回の天皇杯は高校生の時と気持ちの面で変わった部分はありますか
高校の時は相手が大学生だから負けてもしょうがないと思う部分もあったんですけど、大学生になったからには大学生相手には負けられないと思って臨みました。
――ルーキーイヤーの今年1年を振り返っていかがですか
色々と得るものが多かったですね。大学の大会とかにも出て、技術面でもまだまだ足りないところが多いなと思いましたね。
――来年度へ向けての抱負をお願いします
後輩も入ってきて、階級が近い選手もいるので、一緒にワセダを強くしていきたいと思います。