天皇杯全日本選手権(天皇杯)の出場資格をかけた最後の戦いとなる今大会。この日行われた選手権の部では多くの上級生選手が最高峰の舞台への切符をつかむために激闘を繰り広げた。早大からはフリースタイル61キロ級の橋本星良(人4=茨城・土浦日大)と74キロ級で山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)が出場した。
★山﨑、磐石の強さを誇り見事優勝!
山﨑は相手を寄せ付けず、圧巻の優勝
天皇杯では五輪階級の74キロ級で出場するため、調整も兼ねて出場したという山﨑。普段の79キロ級からの大幅な減量もあったが、「コンディションはすごく良かった。普段通りの動きができて、(減量は)成功だと思う」と本来の実力を発揮して見せた。1回戦は不戦勝となり、迎えた初戦の準決勝。試合を通して攻めあぐねる展開が見られたものの、パッシブや場外押し出しによりポイントを積み重ね、6−0で手堅く勝利。決勝でも第1ピリオド(P)を3−0で折り返すと、第2Pでは組手での崩しから立て続けにテクニカルポイントを奪い、10—0のテクニカルフォール勝ちで優勝を決めた。「崩しと相手へのプレッシャーをかけるっていうことを意識して、体力、フィジカルの部分で戦おうと思っていました」と自身のプランを徹底して優勝を飾った山﨑。減量についても「体力が落ちなかったので、自分のペースで減量すれば十分に戦える。気持ちの面でプラスになりました」と手応えは十分。磐石の体制で最高峰の舞台・天皇杯へ照準を合わせた。
★橋本は悔しさ残る準々決勝敗退。その思いは未来の戦士たちへ
天皇杯出場はかなわなかったが、最後の試合を戦い抜いた橋本
最後のチャンスとなる天皇杯の出場資格を目指し今大会に臨んだ橋本。1回戦は試合開始直後から片足タックルやがぶり返しで大きくリードを奪うと、第1P1分59秒にテークダウンからフォール勝ちで突破。続く準々決勝も1−2で迎えた第2P開始後に場外ポイントで同点に追いつくなど接戦の様相を呈した。しかし、「スタミナの部分が足りなくて、第2P以降で体力がなくなってきてしまった」と、ここからは一方的な展開に。立て続けにタックルやローリングを決められてしまい、終わってみれば2−12のテクニカルフォール負け。天皇杯の出場資格を得ることはかなわず、今大会で引退となった。橋本は悔しさを噛み締めながらも、「後悔はしていない。やってきてよかったなと思う。早大でなければここまで強くはなれなかった。他の大学では味わえないような経験をたくさんさせてもらえた」とこれまでのレスリング人生、そして早大での4年間を振り返った。今後はサポートや指導者という立場でレスリングに携わりたいという橋本。そのレスリングへの思いは、未来へ紡がれていく。
(記事、写真 林大貴)
結果
男子フリースタイル
▽61キロ級
橋本 準々決勝敗退
▽74キロ級
山﨑 優勝
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コメント
太田拓弥監督
――きょうの選手権の部を振り返っていかがですか
弥十朗は1回戦攻めあぐねたところもありましたけど、手堅く勝ってくれましたね。久しぶりの74キロ級での減量できつかった点もあったと思うんですけど、よく動けていたと思います。星良は後半ちょっと足が止まってしまって、相手も実力者だったのでなかなか攻めきれなかったんですけど。それでも一般受験から入ってきて、よく4年間頑張ってくれたと思いますね。
――橋本選手の4年間を振り返っていかがですか
一番最初のJOCの試合がすごく良かったというのがすごい印象的で。少し頑固なところがあって、スタイルを変えようとしなかったりもあって意見がぶつかったこともあったんですけど。それでも真面目にコツコツやっていればここまでの実力になると証明してくれたので、その点については本当によくやってくれたと思いますね。
――山﨑選手は組手で崩そうという意図が感じられましたが
ちょっと動きが単調でつながっていなかった印象がありますね。決勝の残りの2分の試合運びなんかはすごい良かったと思うので、それを前半に持ってこれるようになれば全日本選手権でもいい戦いができるんじゃないかなと思います。
――天皇杯では山﨑選手にどのような戦いを期待しますか
実力的には藤波(雄飛、山梨学院大)が一番だと思うんですけど、その藤波とどれだけ戦えるかっていうのはすごい楽しみですね。もちろん藤波だけに限らず強い選手は何人もいるんですけど、そこをしっかり勝った上で藤波に挑戦してほしいと思いますね。
橋本星良(人4=茨城・土浦日大)
――今大会の意気込みとしてはいかがでしたでしょうか
優勝して全日本の出場権を取るつもりだったので。今回は最後のチャンスだったのでそこを目指していたんですけど、結果としてはだめでしたね。
――やはり悔しさは残りますか
そうですね、だいぶ残りますね。
――初戦はタックルなども決まっていました
自分の中でも動けていたと思います。ただ2回戦の方はスタミナの部分が足りなかったのが大きくて。第1Pではそこまで点数差がなかったんですけど、第2P以降で体力がなくなってきたのもあって、点を取られてしまったっていうのが敗因だと思います。
――今大会で引退となりますが、思うことはありますか
社会人で出ることもあるかもしれないですけど、選手としてはこれが最後だという気持ちで挑んだんですけど。もしこれからレスリングに携わるとしたらサポートであったり、指導者の立場として関わっていくかなと思います。
――これまでのレスリング人生を振り返っていかがですか
思うように結果が出ないときもあったんですけど、それでも後悔はしてないですね。やってきてよかったなと思います。
――早大での4年間はいかがでしたか
他のチームだったらここまで強くはなれなかったというのはよく感じますし、団体戦でも早大だったからこそよかったと思えることが多くあったので、他の大学だったら味わえないような経験をさせてもらえたと思います。
山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)
――優勝おめでとうございます
ありがとうございます。
――今大会は天皇杯への調整という側面が大きかったのでしょうか
そうですね。74キロ級で天皇杯に出場するので、その前に1回減量しておきたいというのがあって。この新人戦の1ヶ月前に74プラス2キロで、すごいちょうどいいタイミングだったので、調整も兼ねて出場しました。
――74キロ級への減量は久しぶりだったと思います
そうですね、ここまで多く落としたのは初めてでしたね。
――コンディションの方はいかがでしたか
すごい良くて。試合中もバテるかなと思ったんですけど、そんなことはなくて。普段通りの自分の動きができたので、今回はすごく成功だと思っています。
――今大会は組手から崩していくプランだったのでしょうか
そうですね、崩しと相手へのプレッシャーをかけるっていうことを意識してやっていました。テクニカルポイントは取らなくてもいいので、相手にプレッシャーをかけて崩してという心掛けでした。どちらかというと体力、フィジカルの部分で戦おうと思って、そんなにレベルも高くなかったので、いつも自分が練習していることをやろうかなと思いました。
――タックルもあまり仕掛けていませんでしたね
相手もタックルを警戒していて、下がって防御していたので、入る必要もなくて。相手にどんどんプレッシャーをかけて、相手がバテてきたところに合わせて技を展開していくという意識はしていました。
――今大会を通じてプラスになる部分はありますか
減量してもそんなに体力が落ちなかったので。いつも減量バテとかしてしまうんですけど、このまま自分のペースで減量すれば十分に戦えるっていう、気持ちの面でプラスになりました。
――天皇杯への意気込みをお願いします
自分は決してチャンピオンではないので。周りはみんな強いので、チャレンジャーの気持ちで臨んで、1試合1試合気負うことなく全力で自分のやりたいレスリングをやった方が結果も残せると思うので。全力を出して頑張ります。