上級生3選手が最終日の戦いへ駒を進める!

レクリング

 フリースタイルでの激闘の興奮も覚めやらぬ全日本学生選手権(インカレ)3日目は男子グレコローマンスタイルの3回戦までの試合が行われた。上位進出が目される齋藤隼佑(スポ4=群馬・館林)、宇井大和(スポ3=和歌山・新宮)、松本直毅(スポ3=神奈川・横浜清陵総合)の3人はそれぞれが持ち味を発揮し、準々決勝へと駒を進めた。一方で小西拳(スポ1=青森・盛岡工)が1回戦敗退、野本州汰(スポ2=群馬・館林)は3回戦敗退で大会から姿を消すこととなった。

 この日のインカレが大学でのデビュー戦となった小西は最重量級の130キロ級で出場した。しかし、「全体的に押し込まれた体勢で、不利な状況になってしまった」と思うように攻めることができず、0−5の完封負けで1回戦敗退。膝のケガにより1年ほど実戦から離れていたこともあり、技術面やフィジカルの面でも課題は多いが、小西は「思ったよりいい試合はできた」と振り返った。早大における重量級の貴重な戦力として、今後の成長に期待がかかる。初日のフリースタイルで2回戦敗退に終わった雪辱を果たしたい野本は72キロ級で出場。初戦では2点ビハインドで迎えた試合終了間際に土壇場でバックポイントを奪い逆転勝利を収める。勢いに乗りたい野本だったが、3回戦では一本背負いをかわされカウンターを受けるなど、攻撃でのミスが目立ち2−5で敗戦。最終日に残ることはかなわず、悔しいインカレの幕切れとなった。

この日が大学デビュー戦となった小西(右)

 太田監督も優勝候補と期待する齋藤、宇井、松本の3人は自身の強みを存分に発揮し、完璧とも言える試合運びで準々決勝進出を決めた。67キロ級の宇井は豪快な投げ技を連発。2、3回戦ともに第1ピリオド終了を待たずして8−0のテクニカルフォール勝ちを収めた。97キロ級で出場した松本はパッシブを取りグラウンド技で得点を返す確立されたスタイルを貫き、2回戦をテクニカルフォール、3回戦を5−1で快勝。危なげなく初日を突破した。最後のインカレを迎えた齋藤は初戦、相手の攻撃をいなしながら余裕を持った試合運びで4−0で突破。続く3回戦では一転して試合開始1分20秒でフォール勝ちを収め、インカレ制覇に向けこの上ないスタートを切った。

宇井は豪快な投げ技を連発し、2試合連続のテクニカルフォール勝ち

 前日まで行われていたフリースタイルでは岩澤侃(スポ3=秋田商)、吉村拓海(スポ3=埼玉栄)、山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)の3年生3人が結果を残した。同級生の宇井と松本は彼らに続き、さらにはそれを上回る成績を残せるか。また、早大から4年生の優勝者は出ていない。齋藤は最終学年の意地を見せ、有終の美を飾れるか。3日間に渡り激戦が繰り広げられたインカレもいよいよ大詰め。表彰台の頂点を目指し、早大戦士は最終日の戦いへ臨む。

(記事 林大貴、写真 藤岡小雪)

※グレコローマンスタイルは8点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる

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結果

男子グレコローマンスタイル
▽67キロ級
宇井 準々決勝進出

▽72キロ級
野本 3回戦敗退
齋藤 準々決勝進出

▽97キロ級
松本 準々決勝進出

▽130キロ級
小西 1回戦敗退

コメント

太田拓弥監督

――今日の試合を見て、やはりチーム内の実力差が顕著だと感じましたがいかかでしょうか

そうですね。あとはやっぱりセオリーがないですね。こういう崩しをして、こういう攻撃をして、こういうポイントを取るというのが行き当たりばったりなんですよね。どう攻めていくのかっていうのを、自分の体型や持ち味を理解した上で自分のスタイルっていうのを確立していけばいいとは思うんですけど。まあ直毅なんかも1年生のときのこの大会は全然何やっていいかわからないような感じで1回戦ですぐ負けてしまっていたので、1年生のうちは経験を積む。2年生になったら自分のかたちっていうものを作っていって、力をつけて結果を残していくというふうにやっていかないと上の物と下の物の差が空いているので、どうやってこの差を詰めていくか。そこが埋まってくればおのずと全日本大学選手権(内閣杯)での総合優勝っていうのも見えてくると思うので、二極化をできるだけ上の方に一極化していくような取り組みをやっていかないといけないなと思いますね。

――野本選手は1回戦は試合終了間際に逆転勝利を収めましたが

正直負け試合だったので、相手がミスしてくれたからよかったんですけど、その試合でも相手をどうやって崩すかっていうのがなかったので、もっとかたちづくりっていうのをしていかないといけないですね。

――野本選手はどういったスタイルを確立させていくつもりですか

1本背負いを得意としているんですけれども、やっぱり何やっていいか自分でもまだわかっていないので、それが腕取りなのか差しなのか、大和みたいに持ち上げるのか。それをもっと確立していかないといけないかなと思います。

――小西選手が大学でのデビューとなりましたが、振り返ってみていかがですか

そうですね、膝をケガしていて1年ほど出ていなかったので、まだまだ力をつけていかないと。復帰して1試合目だったのでスタイルなんかはまだないんですけど、もともと相撲上がりなので腰の重さはありますね。ただもっと体を鍛えないといけないのは確かなので、もっと体も大きくさせていきたいですね。試合をすれば課題っていうのはすごくよく見えてくるので、そこをしっかり見つめ直して、力を付けさせて、後期の大会に臨ませたいと思いますね。

――齋藤選手、宇井選手、松本選手は危なげない戦いで準々決勝に残りましたが

そうですね、やっぱり自分のかたちっていうものを持っていますし、優勝争いに加わるような力を持った3人なので、ほぼ完璧に勝ってくれたのでよかったと思いますね。あしたにつながったと思いますね。

――あすの戦いに挑む3選手にはどのような結果を期待しますか

4年生が(フリーで)一人も優勝できなかったので、隼佑にはそのチャンスが最後にあるので、しっかり優勝させて。3年生もフリーで拓海、侃、弥十朗といい結果を残しているので、あとの二人もそれを上回る成績を残して欲しいなと思いますね。それぞれ十分優勝を狙える力を持っていると思いますので。

小西拳(スポ1=岩手・盛岡工)

――きょうが大学でのデビュー戦となりましたが、振り返っていかがですか

デビュー戦だったのでだいぶ緊張はしたんですけど。ケガ明けだったんですけど、思ったよりいい試合はできたんじゃないかなと思います。

――1年間ほどケガをなさっていたようですが、その間はどういった取り組みをしていましたか

ケガの間は筋力トレーニングをメインに行って、上半身を強化して、復帰して足を動かせるようになってから体力トレーニングを入れました。技術的な練習はまだそれほどできていないですね。

――デビュー戦でいきなりインカレという大舞台でしたが、目標はありましたか

今回はとりあえず1回戦は突破できるように頑張ろうというのと、できるところまで自分のスタイルを貫きたいなと思って臨みました。

――1回戦では思うように攻撃させてもらえませんでしたが、原因はどこにありますか

技術面もそうですけど、力の伝え方っていうのがうまくいっていなくて、全体的に押し込まれた体勢で、不利な状況になってしまったので、そこはもっと練習が必要かなと思います。重量級で押せないってなると勝負でも後手後手に回っちゃうので、押しの技術が必要かなと思いました。

――元々は相撲選手だったそうですが、レスリングにつながっている部分はありますか

高校から転向したんですけど、足をケガする前は、プレッシャーとかにはあまり負けませんでしたね。

――大学4年間での目標などはありますか

学生チャンピオンになって、全日本の舞台でも活躍できるような選手になりたいです。