グレコローマンスタイルでは表彰台に上れず

レクリング

 明治杯全日本選抜選手権の激闘から2週間。若手選手の登竜門とされる東日本学生選手権が、東京・駒沢体育館で開催された。優勝すれば天皇杯全日本選手権(天皇杯)の出場資格が得られることもあり、多くの選手たちによりその表彰台の頂点を目指す戦いが繰り広げられる。グレコローマンスタイル(グレコ)のみが行われた初日、早大からは55キロ級に坂井剛光(社2=福岡・小倉商)が、72キロ級に野本州汰(スポ2=群馬・館林)が出場したが、いずれも2回戦で敗退。この日の表彰台に早大戦士が上ることはなかった。

 専門ではないグレコで出場した坂井だが、1回戦は健闘を見せた。相手の消極的なプレー(パッシブ)によるペナルティで先制すると、第1ピリオド(P)後半には差しから相手の体勢を崩し、バックポイントで得点を重ねる。第2Pは拮抗(きっこう)した試合展開となったが、前半の3点を守りきり、無失点で初戦を突破した。続く2回戦の相手は全日本の大会でも結果を残している稲葉海人(日体大)。試合序盤は互角の戦いを演じたが、パッシブによるペナルティで不利な体制からのリスタートを強いられると、そのまま5ポイントの投げ技を決められ、大きくリードを許す。その後、第2P開始早々にバックポイントを奪われ、この時点で8ポイント差が付いたことによりテクニカルフォールで敗戦。実力のある選手との差を痛感する結果となったが、「フリー、グレコ問わずあれぐらいのレベルの選手といい勝負ができないとこの大会は優勝できないってことがわかったと思う」と太田拓弥監督。あす行われる本職のフリースタイルでの躍進に期待したい。

専門外のグレコローマンスタイルで健闘した坂井

 昨年の東日本学生春季新人選手権で3位入賞を果たし、優勝を目指し臨んだ野本は2回戦から出場。第1Pは連続で場外への押し出しによるポイントを奪われ、2点のビハインドで折り返すが、第2P序盤に投げ技とバックポイントを決め、一気に逆転に成功する。しかしその直後、「自分がリードしているにも関わらず、その状況判断ができていなくて、変に攻めて、逆に点を取られて、そのまま持っていかれてしまった」(野本)とカウンターからデンジャーポジションまで追い込まれると、そのままフォール負け。「二度としてはいけない試合」と振り返った野本。逆転した直後のフォールによる敗戦だっただけに、悔しさと反省が多く残る試合となった。

逆転のフォール負けを喫した野本。「二度としてはいけない試合」と悔やんだ

 坂井、野本ともに2回戦敗退と、悔しい結果に終わった東日本学生新人選手権初日。太田監督は自身のスタイルの確立や、試合運びを含めた試合での経験値を目下の課題として挙げた。今一度自身の課題や長所を見つめ直し、今後行われるインカレ、そして関東学生秋季新人選手権で雪辱を果たしたい。あすは坂井が本職のフリーで出場するほか、先日の明治杯の舞台にも立った梅林太朗(スポ2=東京・帝京)、安楽龍馬(スポ1=山梨・韮崎工)、米澤凌(スポ1=秋田商)が出場。実力のある選手たちのメダルラッシュに期待がかかる。

(記事、写真 林大貴)

結果

グレコローマンスタイル
▽55キロ級
坂井 2回戦敗退
▽72キロ級
野本 2回戦敗退

コメント

太田拓弥監督

――今大会はどういった位置付けで臨んでいますか

全日本選手権の出場資格を取るためというところで、1、2年生に関しては新人戦で優勝、3、4年生に関しては東日本学生選手権で優勝というところの位置付けで。3、4年生で全日本選手権に出れている者は、出場の可否は本人の意思に任せました。全日本選手権の出場資格を持っていない者は必ず参加ということころで、優勝して資格を得るという位置付けです。

――出場する選手にどういったアドバイスをしましたか

なかなかやっぱり新人戦レベルで、きょうの試合もそうだったんですけど、自分の武器っていうのが出せていなかったので、思いっきり行くようにということは言っていたんですけど。やっぱり経験値の方が、きょうの二人は特にそうだったんですけど、試合運びの経験値が足りないなと。場外際であったり、自分が取る形だったり、そこらへんの武器がないなっていうのは感じました。

――坂井選手は本職ではないグレコローマンスタイルで初戦を突破しましたが

そうですね、右の差しの展開からポイントを取れたのでよかったんですけど、バックを取ったときにもっともっとグラウンドでポイントを取って欲しかったなと。そこが課題として残ったのかなと思いますね。

――なかなか技が出ない場面が目立ちました

まだまだきょうの二人は実力不足ですね。ポイントを取る形っていうのがまだまだはっきりしていないので、もっともっと精度を上げるような、ポイントを取れるようなかたちっていうのを身につけないと、秋にも新人戦があるのでそこで勝てるようにしていきたいですね。

――2戦目は力のある選手にテクニカルフォール負けを喫しましたが

やっぱり力の差がありましたね、相手もグレコを専門でやっている選手だったので。かなり差が付いちゃいましたけれども、フリー、グレコ問わずあれぐらいのレベルの選手といい勝負ができないとこの大会は優勝できないってことがわかったと思うので、もう一回鍛え直さないといけないなと思いますね。

――野本選手は投げ技で一時逆転する場面もありましたが、試合を振り返っていかがですか

その前に同じようなかたちで場外に出て失点してしまっていたので、そのところが試合慣れしていないというか。1回目は仕方がないんですけど、2回目も全く同じようなかたちでポイント取られてしまったので、あれはもっと場内でポイントを取ってグラウンドを取って、グラウンドを返していければ、もっと無難に勝てるような内容だったので、試合の経験値というか、試合慣れというのがうまくないですね。なのでもっともっと試合を通して勝てるようなレスリングをしていかないとこの大会での優勝だったり、上位入賞はまだまだ厳しいと思いますね。

――その直後にフォール負けを喫するかたちとなりましたが、課題などはどこにあると思いますか

無理に変なかたちで体を入れ替えられて抑えられたので、やっぱりしっかりグラウンドでローリングで返して、確実に点を上積みしていけばなんてことはなかったんですけど、そこら辺も含めて試合の運びがうまくないですね。相手のどういうところが強いのか、弱いのかとか、自分の良さが何なのかがわかっていなかったので、そこを含めて試合で勝てるかたちっていうのをつくっていきたいですね。

――目下の課題は自身のスタイルの確立と試合の経験値であると

そうですね、はい。

――あすは新人戦のフリーと女子部門が行われますが、そこへ向けては

やってきたことを全て出すというところですね。龍馬、凌、太朗に関しては優勝してもおかしくないレベルなので、しっかりこの3階級で優勝するところと、剛光がどこまでやれるのかというところですね。優衣もプレーオフを控えている中でどうしても試合に出たいということだったので、ケガさせないように十分配慮しながら試合をさせたいと思いますね。

坂井剛光(社2=福岡・小倉商)

――今大会はどういった意気込みで臨みましたか

トーナメントが出たときに2回戦で強い選手と当たるっていうのはわかっていたので、そこでどういうふうに自分の動きを出して、どういうふうに勝とうかっていうのを考えてとして試合に臨みました。

――JOCジュニアオリンピックカップ以来の出場となりましたが、ブランクなどは感じませんでしたか

それは特になかったですね。JOCから体重管理などをしっかり気をつけていたので、動き自体は悪くなかったと思うんですけど、やっぱりグレコは全然練習していなかったので、力不足かなっていうのは感じました。

――専門ではないグレコでしたが、初戦は勝利しました

フリースタイルでは差しっていうのを、密着するっていうのを自分のスタイルとしているので、そこがしっかり出せた試合かなとは思います。

――2回戦ではテクニカルフォール負けを喫するかたちとなりましたが、敗因はどこにあると思いますか

グラウンドで返されてしまったんですけど、そこで返されなければもっとやれたかなと思います。あとはもっと積極的に攻めていくべきだったかなと思います

――あすへ向けての意気込みをお願いします

あしたは専門のフリースタイルなので、一戦一戦集中して、表彰台に上れるように頑張ります。

野本州汰(スポ2=群馬・館林)

――今大会はどういった意気込みで臨みましたか

前回は3位だったので、優勝を目指して頑張ったんですけど、2回戦敗退という残念な結果になってしまって。負け方も負け方で、リードしている状態で相手に取り返されて、しかもフォールまで持っていかれてしまったので、二度としてはいけない試合だなと思いますね。

――投げ技を決めて一時は逆転しましたが、試合を振り返っていかがですか

投げ技については普段から練習していて。一つ一つ今大会でもやっていこうと思ったんですけど、最後の最後で欲が出てしまって、こういうかたちになってしまって。ただ、あの投げに関しては普段通りのかたちで一つちゃんと取れたところではあります。

――フォール負けを喫してしまった原因というのはどこにあると思いますか

やはり不安定な状態で、自分がリードしているにも関わらず、その状況判断ができていなくて、変に攻めて、逆に点を取られて、そのまま持っていかれてしまったところですね。

――今後レベルアップしていくために必要な部分というのは

やっぱり、自分の場合は少し気持ちのぶれが大きいので、練習でできていることが試合でできないというのがかなりあるので、練習不足でもあるんですけど、一つ一つ油断せずに勝っていけるぐらいの力を付けていけないと思いました。

――インカレへ向けての目標はありますか

去年がベスト8だったので、今年はそれ以上を目指していきたいです。