米澤が優勝!多胡島、伊藤駿は一歩届かず3位に

レクリング

 早大から3名の選手が出場した内閣総理大臣杯全日本選手権(内閣杯)2日目。米澤圭(スポ2=秋田商)65キロ級で優勝、全日本学生選手権(インカレ)に続き学生2冠を達成した。70キロ級の多胡島伸佳(スポ4=秋田・明桜)、74キロ級の伊藤駿(スポ2=京都・網野)はあと一歩のところで及ばず3位に。団体優勝を目指していた早大だが結果は5位。初日の8位から順位を上げるも、昨年の4位から1つ順位を落とす結果となってしまった。

 「自分が練習していることが思い通りにできた」と振り返る米澤。初戦は開始1分10秒にフォールでの快勝。米澤が最も苦しかったという2戦目も、粘り強い守備と攻撃で勝利を収めると準々決勝、準決勝とテクニカルフォールで勝ち、決勝に駒を進める。決勝は高谷大地(拓大)との戦いになったが、フォール勝ちで勝利。学生2冠王者に輝いた。2年生の伊藤駿は74キロ級で出場。準決勝では最後の攻撃でポイントを取り切ることができずに惜敗するも敗者復活戦で勝ち進め、3位入賞を果たした。

決勝でフォールを決める米澤

 優勝が期待されていた多胡島は、初戦から全日本学生選手権準決勝で敗れた相手である藤波勇飛(山梨学院大)との対戦となった。前半は両者譲らない戦いだったが、第2ピリオド(P)で連続してローリングを許してから藤波のペースとなってしまい、リベンジを果たすことはできなかった。敗者復活戦に回った多胡島だが初戦の第1Pはなかなか思うように自分のペースに持ち込めない。アクティブタイムで1点リードするも前半終了の直前に2点返されてしまう。「完全に気持ちが入っていないから自力で勝つしかない」と気持ちを切り替えた多胡島。第2Pでは連続ポイントを獲得し、勝利を収めることができた。そこからいつもの調子を取り戻した多胡島は3位入賞という結果で大会を終えた。

多胡島は次戦となる世界選手権に向けて気持ちを切り替える

 優勝できるほどの力を持っていながら、その力を出し切れない選手が多かった今大会。1、2年生が結果を残すなか、上級生にとっては悔しい結果となってしまった。今大会で4年生は引退となり、現3年生中心の新体制が始まる。「チームのまとまりがないと総合優勝ができない」と太田拓弥コーチが語るように、優勝を目指すためにはチームの団結力がカギとなっていく。来季は団体力を高めた新体制のチームで内閣杯総合優勝を期待したい。

(記事 大久保美佳、写真 杉野利恵、寺脇知佳)

表彰台に上った選手たち。早大は総合5位入賞となった

結果

男子フリースタイル

65キロ級 米澤 優勝

70キロ級 多胡島 3位

74キロ級 伊藤駿 3位

早大 総合5位 

コメント

山方隆之監督(平4人卒=福岡・築上西)

――2日間を振り返っていかがですか

全日本大学グレコローマン選手権でいい感じの雰囲気になれたと思いますし優勝を目指して臨んだんですけど、やっぱりなかなか勝たせてもらえませんね。優勝というのはすべてがそろわないと勝たせてもらえないと改めて感じた試合になったかなというのが第一印象ですね。

――きょう出場された3選手の試合についてはいかがですか

米澤(圭、スポ2=秋田商)は当然優勝しなくてはならないとは思ったんですけど、強豪選手がいるなかでどこまでどういう試合をしてくれるのかなと楽しみにしていました。正直、予想していた以上に内容も良くて、伸びてるなというのを素直に感じました。多胡島(伸佳、スポ4=秋田・明桜)は1回戦が事実上の決勝戦というところで、インカレ(全日本学生選手権)のリベンジというところでした。最初は僅差でしたが、どうしても足を触らせて過ぎている部分があって、攻めてるというよりも、攻められてしのいでいたというところがあったので、多胡島の方から積極的に攻めていってくれたらなというところはありました。ただ終わって、気持ちを立て直して最低限の3位になったのは4年生としての責任を果たしてくれたと思います。伊藤駿(スポ2=京都・網野)は決勝にいかなくてはいけない選手なので、実力はあるのにちょっと甘さを感じましたね。優勝できるということをもっと自覚して普段の練習からまたやってほしいと思いました。

――4年生に取っては学生最後の試合となりますが、4年生に何かメッセージなどあればお願いします

優勝できるメンバーがいるなかで、優勝させて上げられなかったというところはやはり監督としても考えないといけないところはあるのかなと思いますね。ただ、下級生が結果を残すなかで4年生が成績だけじゃなくていろいろな面でもうちょっと引っ張っていっもらいたかったなというところはあります。4年間お疲れさまでした。

――今季は東日本学生秋季新人戦(新人戦)、早慶戦、天皇杯全日本選手権(天皇杯)が残っていますが、残りの試合に向けての意気込みをお願いします

新人戦は天皇杯の出場資格を取れる試合なので、優勝して天皇杯の出場権を取って欲しいです。早慶戦は伝統の試合なので、気を抜くことなくきっちりとやってほしいと思います。天皇杯はチームというよりも個人として自分たちのやってきたことを全部出してほしいと思います。

太田拓弥コーチ

――米澤圭選手(スポ2=秋田商)が学生2冠を決められましたが、いかがでしたか

圭は練習でやっていることを出せましたし、終始安心して見てられましたね。決勝戦は相手がケガをしていて無理しないでいこうというところだったので、ちょっと中途半端というか不完全燃焼に終わっちゃいましたけど、相手の選手も全日本のトップに上るような選手なので、次は元気なときにしっかりと勝って欲しいなと思いますね。

――多胡島伸佳選手(スポ4=秋田・明桜)は初戦から藤波勇飛選手(山梨学院大)と当たられましたね

決勝で当たってもどこで当たっても基本的には一緒だと思いますし、本人も弥十朗(山さき、スポ1=埼玉栄)がきのうの試合の準決勝で松阪誠應(日体大)で当たっても負けたときに、「どこで当たっても一緒だろ」というアドバイスを多胡島自身がしていたので。ただ実力を出しきれなかったかなと思うような試合内容でしたね。インカレのときとは内容も含めてもっとガツガツ積極的に最初からいってほしかったかなと思います。ちょっと見合っている時間が長かったかなと思います。1回戦で負けても気持ちを切り替えて、団体優勝も個人優勝もないなか最低限の3番入ったので、それはそれで良しだったのかなと思います。

――伊藤駿選手(スポ2=京都・網野)は惜しくも準決勝で敗れてしまいました

実力的にも越えないといけないところだったんですけど、簡単にポイントを取られてしまったところが敗因ですよね。そのあともよく場外際でポイントを取りましたけどももう優勝できる実力は持っているので、もったいない試合だったかなとは思いますね。でもそのあともきっちり敗者復活戦で勝って3位になったので、全日本のトップ学生のトップの実力は持っている証だと思います。

――2日間を終えて総合的に見ていかがですか

総合は5位ですね。初日にあそこまでこけてしまって、きのうは4年生1人、1年生4人というなかで外から見たら1年生で4人も出してるというのへすごいと思います。でも1年生4人にも話をしたんですけど、実力的に弥十朗は優勝できる力を持っていますし、侃(岩澤、スポ1=秋田商)も最低限決勝にいく力は持っているということが確認できました。ただ拓海(スポ1=埼玉栄)が1つ上の階級で失点が多かったというところが敗因で、松本直毅(スポ1=神奈川・横浜総合清陵)もインカレから改善しようとしているところが見てとれましたし、外から見たらすごいなとはおもうでしょうけど、中から僕が一緒にいるなかでもっともっと実力は(今回の成績より)上のレベルに来ていると思います。1年生にはあんだけ出させてしまっている上級生がふがいないというところもあると思うんですけど、そういった意味も含めてチームを1つにさせてやれなかったというところが僕としても敗因だと思いますね。

――4年生とってはチームとして最後の試合になりますが、何かメッセージなどありますか

とにかく4年生お疲れさまでした。レスリングで経験したことを生かしてもらいたいと思いますけど、まだまだ大学4年生って半分大人で半分子供なので、これから厳しい社会のなかで頑張ってもらいたいと思います。多胡島は現役を続けるので厳しい世界ですけどオリンピックを目指して、みんなの気持ちもしょって東京オリンピックの代表になってもらいたいなと思いますね。

――具体的にチームとしてやっていきたいことを教えてください

今回の試合で改めて思ったのはチームのまとまりがないと総合優勝ができないということですね。3年前に総合優勝したときは4年生も試合出れなかったものとかがいろんな配慮をしたりだとか、自己犠牲の精神でいろいろとやってくれたところが間違いなく優勝につながったと思います。うちの場合は人数も少ないですし、目標においてみんなが足並みをそろえていかないと、チームって強くならないんだなと改めて強く感じたので、らいねんチームをまとめていけるようにしたいなと思います。

多胡島伸佳(スポ4=秋田・明桜)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

調子は可もなく不可もなくという感じだったんですけど、一回戦がヤマ場だったので、そういう意味で、スコア的には7-0なので大敗なんですけど、まあそれはそれで受け止めなきゃいけないんですけど、そんなに悲観的には捉えてないですね。

――組み合わせを見たときの感想は

まあいずれやらなきゃいけない、どこでやるかっていう問題だったんで。こうなった以上切り替えて、集中してやろうというふうに決めていましたが、負けてしまいました。

――その次の試合はどういう心境で臨みましたか

まだ気持ち切れてないなと思ってたんですが、あ、気持ち切れてるわ、って試合の途中で気づいて。これ完全に気持ち入ってないから自力で勝つしかないな、と思ってなんとか勝ったっていう感じですかね。

――早大として最後の試合となりましたが、3位という結果については

貢献できなかったということに関しては反省して受け止めるべきだし、やっぱり学生の間に学生タイトルとるっていうのが役割なのでそこは反省しなきゃいけないんですけど、ただまあ選手個人としてはいまが終わりじゃないんで、いかにこれを改良していけるかっていう切り替えが大事になるかなと思いますね。

――気持ちを切り替えた先は世界選手権です

このタイミングで世界選手権に出れることは有益なことだと思うんで、ただ行って帰ってくるだけじゃなくてどう結果残せるかが大事になってくると思いますね。

――年末には天皇杯(天皇杯全日本選手権)もあります

学生のタイトルは取り逃がしたんですけど全日本(天皇杯全日本選手権)への出場権はなんとかとってるんで、全日本ちゃんととって(勝って)、勝つところは勝つっていうところを見せないと、ただの半端な選手で終わっちゃうんで、大事なところはちゃんととって、勝ち切れる選手になるためにも優勝したいですね。

伊藤駿(スポ2=京都・網野)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

決勝に行きたかったんですけど、準決勝で負けちゃって。でも最低限のメダル持って帰れたんで、良かったです。

――組み合わせを見たときの感想は

正直組み合わせは最悪で(笑)、見た瞬間ヤバいなと思って。でも一回戦は勝てて、二回戦もギリギリ勝てたので、組み合わせを見たときはヤバいと思ったんですけど実際やってみたらもっといけたなという感じでしたね。

――手ごたえあった部分と苦戦した部分はありましたか

グランドはいつも通り今回も返りましたね。苦戦した部分はタックルで、4点入ったと思っていたら2点だったりとか。難しかったですね。

――今回得た課題を踏まえて次の天皇杯(天皇杯全日本選手権)に向けての意気込みをお願いします

今回微妙な判定のラインで負けてしまったので、そうならないように確実な、誰が見ても勝っている試合ができるようこれから残り練習して、全日本はこないだの明治杯(明治杯全日本選抜選手権)が3位だったので、さらに上目指せるように頑張ります。

米澤圭(スポ2=秋田商)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

そうですね、自分が練習していることが思い通りにできたかなというところです

――全日本選手権(インカレ)と今回の内閣総理大臣全日本大学選手権(内閣杯)で学生王者2冠を達成しましたが、いかがですか

ことしの目標は学生タイトルを獲るっていうものだったので、それが今回また取れたっていうことで今年の目標を達成できたので、自分としては満足しています。

――1番苦戦した試合はどこでしたか

日体大の中田陽さんと当たった2回戦ですかね。その試合では相手がガンガン攻めてきて。結構ガンガンきて、しかもこの大会は試合間隔が短いので、体力消耗が激しくて体力面がきつかったです。

――次の試合の意気込みをお願いします

今年度の学生の試合は最後だったんですけど、 天皇杯全日本選手権(天皇杯)があるので、そこで少しでも勝って入賞できればいいなと思います。