1日目に多胡島伸佳(スポ4=秋田・明桜)が男子フリースタイル(フリー)70キロ級で優勝と、流れに乗りたい早大。2日目、フリー74キロ級では山崎弥十朗(スポ1=埼玉栄)が準決勝で2014年フリー70キロ級の世界選手権代表である保坂健OB(平26スポ卒=現・自衛隊体育学校)に勝利を挙げる。決勝ではラスト4秒に逆転を許し2位となった。最終日、唯一の出場となった吉川航平主将(社4=秋田商)は2回戦敗退となった。
2日目、早大の先陣を切ったのは男子グレコローマンスタイル66キロ級に出場した宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)。この春階級を上げたばかりではあるが、初めての明治杯出場となった。先にポイントを取れる好機が回ってきたのは宇井だった。相手選手のコーションにより、上からの攻撃を選択。相手選手を持ち上げはしたものの投げ技にはつなげられず、チャンスを逃してしまう。後半には場外ポイントなどを取られ0-6での1回戦敗戦となった。フリー74キロ級の山﨑は1回戦でリーチの長い相手にも難なく勝利を収める。迎えた準決勝では保坂OBとの攻撃の仕掛け合いが続いた。前半にはタックルを決め、パックポイント、ローリングポイントを連取。また後半にも背後をとり、7-2で勝利を挙げ迎える。迎えた決勝では奥井眞生(国士館大)との対戦に。昨年のJOCジュニアオリンピックカップの決勝で奥井に勝っている山﨑。約1年を経ての再戦となった。試合は両者とも一歩も引かない展開に。前半にアクティビティタイムで両者無得点となり、山﨑が先制する。奥井に1点を返されるもののその後山﨑が場外ポイントを決め、2-1に。試合は終盤に差し掛かり、勝負は決まったように思われた。しかし、残り10秒のところで足を触られると、残り4秒で場外に押し出される。攻撃する間もないまま試合終了の合図が鳴り、最後に得点を決めた奥井の優勝が決まった。「ああいう展開にしてしまった自分が悪いが、悔しい」(山﨑)。この悔しさを今後の国際大会での糧にして欲しい。
保坂OB相手に試合の主導権を握った山﨑
最終日にフリー61キロ級では吉川が出場。2回戦からの出場となった。試合開始早々、相手のタックルで崩されバックポイントを取られてしまう。その後も仲間から「自分のスタイルでいいんだぞ」などの檄が飛ぶなか0-2で前半を折り返した。後半でも、思うように攻撃を仕掛けられない吉川。途中足をかけ、返そうとする場面も見られたが、ノーポイントのまま試合終了。「精神、技術すべての面において0点」と言い放った吉川。チームのためにも大黒柱の復活を待ちたい。
苦しい戦いが続く吉川
表彰台に3人が上るなど、攻撃の仕方を確立してきた選手が結果を残した今大会。「修正してポイントの取り方を明確にしていけば、間違いなくいい結果を残せるような試合の内容」(太田コーチ)と結果を残せなかったメンバーの課題もはっきりとしてきた。全日本学生選手権まであと約3か月。そのあとに行われる全日本グレコローマン選手権や内閣杯全日本大学選手権といった団体戦に向けても、1人でも多く表彰台に上りたいところだ。夏の鍛錬期間が始まる。
(記事・写真 杉野利恵)
表彰台に上る山﨑
結果
2日目
▽男子グレコローマンスタイル66キロ級
宇井 1回戦敗退
▽男子フリースタイル74キロ級
山﨑 2位
3日目
▽男子フリースタイル61キロ級
吉川 2回戦敗退
コメント
2日目
山方隆之監督(平4人卒=福岡・築上西)
――山﨑弥十朗選手(スポ1=埼玉栄)の決勝戦は悔しい形となりましたが、いかがでしたか
相手も学生で学年も上なのですが、去年のJOCの決勝で弥十朗が勝っている相手でした。相手としても弥十朗の研究をしたり、上級生としての意地があったのかなという感じですね。
――準決勝での山﨑選手の動きはすごく良かったように思えますが、その点はいかがでしょうか
準決勝で対戦した保坂(健、平26スポ卒=現・自衛隊体育学校)は早大のOBで、高校と大学と弥十朗の先輩にあたるので、保坂も弥十朗とやりづらいのかなと感じる部分がありました。弥十朗はそういったものなく動けて、いい動きができたと思います。決勝でも決して動き的に悪いわけではなくて、ちょっと相手に合わしてしまった感じがあったのかなと思います。最後に残り20秒で足を触らせたというところが敗因だと思います。
――宇井選手についてはいかがでしょうか
大和もJOCジュニアオリンピックのときもまだ体ができていないということでしたが、同じくさされて、さされたあとに何もできない。ささしてはいけないのですが、ささしたあとにどうするのかというところがまだできていませんね。グラウンドで1回先にコーションを取って、ポイントを取らなくてはいけないところを取りきれなかったというところで、まだまだこれからなんだろうなというのを感じました。大和自身もまだまだなんだろうなと思っていると思いますし、簡単に勝てる試合ではないのでいい経験もできたのかなと思います。
――3日目に出場される吉川航平主将(社4=秋田商)について一言お願いします
吉川はグレコローマンの方が得意なのですが、あしたはフリースタイルに出ます。思いっきりやってほしいなと思います。
太田拓弥コーチ
――山﨑弥十朗選手(スポ1=埼玉栄)は決勝戦ではかなり悔しい展開となってしまいましね
5分50秒までは完璧に相手の攻撃を見切っていたので、ちょっと油断したわけではないですが2ー1で勝っている時点でもうひとつ取りに行かなかったですよね。いこうと思えば行けたと思うのですが、そこで守れるだろうと思ったのかどうかは分かりませんが、5分間ほぼ見切っていたのでもう1個取りに行かないともうひとつ上のステージでは勝てませんし、そこが課題かなと思いますね、
――5分過ぎたくらいから守りに入ってしまったように見えましたか
2ー1で場外押し出しして、守りの気持ちが入ったような動きをしていましたね。それまではいつでも入ることができるような動きをしていて、相手の動きもほぼ完璧に見切っていたので、それが守りの気持ちが入ったことによって後ろに重心がかかって足を取られた感じがします。
――準決勝では保坂健選手(平26スポ卒=現・自衛隊体育学校)との戦いになりましたが
チャレンジャー精神みたいなもので、高校、大学の先輩に対して向かっていく姿勢があったので、あれだけいい動きができたと思います。自分の攻撃スタイルがしっかりとできていたので、ああいう結果になったと思います。
――保坂選手との試合はここ最近の試合で一番キレがあるように感じたのですか
左構えに対して苦手意識があるなかで、何回かタックルに入りましたし、JOCジュニアオリンピックカップのときに出た課題を克服しているなと思いましたね。
――宇井大和選手(スポ1=和歌山・新宮)についてはいかがですか
まだ相手のディフェンスの仕方によって返る持ち上げのディフェンスの仕方であったり、基本的にスタンドでの攻撃の仕方が足りていませんし、課題が見えた試合でした。そう簡単にはこのレベルでは勝てないと分かったと思います。
――最終日に向けて一言お願いします。
吉川(航平主将、社4=秋田商)はリーグ戦で調子が悪かったので最後の方は使えなかったので、そういう悔しさをぶつけて欲しいです。学生として出場するのは吉川だけなので、最後の試合で弥十朗が勝てば雰囲気も良くなっていたと思いますが、気持ちがなえるような終わりかただったので、最後にしっかりとそうでないような終わりかたをしてほしいですね。
宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)
――シニアの全日本レベルの大会は初めてとねりますが、緊張感などは違いましたか
違いましたね。何回か見たことはあるのですが、いざ出てみると学生の大会とは違う緊張感がありました。
――相手のコーションで点数を取りきれない部分がありましたが、その点についてはいかがでしたか
あそこから返すというのは自分の流れだったのですが、返しきれなくて残念です。
――階級を上げたばかりと話されていましたが、差などは感じられましたか
まだ階級に見あった体になっていないし、力がついていないなと思います。
――収穫点や課題点などは見つかりましたか
リフトで決めきれない、返しきれない部分があったので、そこが課題点ですね。
――夏に向けて強化していきたい部分はありますか
スタンドでの技がまだ、さされたりしてからが弱いので、さされないようにして、自分からどんどん前にさしていくのを練習していきたいと思います。
――東日本学生春季新人戦(新人戦)に向けての意気込みをお願いしまう。
新人戦はフリースタイルとグレコローマンスタイルの両方で出るのですが、どっちも上位入賞できるように頑張りたいと思います。
山﨑弥十朗(スポ1=埼玉栄)
――きょうはどういった目標で挑まれましたか
目標としては1回戦でしっかりと勝って、2回戦は保坂先輩(健、平26スポ卒=現・自衛隊体育学校)だったので、勝てたらいいなと思っていました。勝って決勝までいけて、相手に1回勝ったことがあったので絶対に優勝しようと思ったのですが、最後の最後に負けてしまいました。
――決勝戦は残り4秒で逆転される結果となりましたが、振り返ってみていかがでしたか
正直、ああいう展開にしてしまったのが悪いのですが、悔しいですね。
――5分過ぎてしまったところで守りにはいってしまっただとかはありますか
2ー1だったのでもう1点取ろうと思って攻めていったのですが、なかなか取れなかったです。
――準決勝はいかがでしたか
自分の動きがしっかりとできて、勝てたので良かったです。
――世界ジュニアの目標をお願いします
当然優勝なのですが、そのなかで外国人選手にどう対処するかというところが大切だと思います。
3日目
太田拓弥コーチ
――吉川航平主将(社4=秋田商)の試合を振り返っていかがですか
たまたま運良く2回戦で日体大、勝てば準決勝で山梨学院大ということで、東日本学生リーグ戦(リーグ戦)で外されたところのチームが相手でした。試合前に吉川にリベンジというか、俺を使っていたら優勝できたのにと思わせるような試合をやってくれと言いました。攻めあぐねてしまいましたね。
――リーグ戦から調子が上がっていないように思えますが
自分の取るパターンがあるのですが、またまだポイントにつなげられてないですね。もっともっと突き詰めていかないといけないのかなと思いますね。
――明治杯を総括していかがですか
結果的に多胡島(伸佳、スポ4=秋田・明桜)の優勝という形で終わりましたが、1人1人がしっかり課題を克服していけば階段を上がっていけるような試合の展開だったので、それを修正していけばいいかなと思います。
――この3日間で成長を感じた選手はいますか
1番は多胡島ですね。リーグ戦で負けてわずか2週間で結果を残しましたし、優勝できなかった弥十朗(山﨑、スポ1=埼玉栄)もこういう攻撃をすれば勝てるなというのが見えてきましたし、それは伊藤駿(スポ2=京都・網野)も同じように思います。それ以外のメンバーはまだまだなところがあったかなと思いますが、まだ修正してポイントの取り方を明確にしていけば、間違いなくいい結果を残せるような試合の内容だったので、全体としては収穫だったかなと思います。
――次は新人戦となりますね
1年生は弥十朗だけが結果を残していて、それに続いていく1年生が吉村(拓海、スポ1=埼玉栄)なり宇井大和(スポ1=和歌山・新宮)なり、リーグ戦のメンバーに入りながらも試合に出れなかった岩澤(侃、スポ1=秋田商)だとかがもっと結果を残して、チーム内のライバル争いというものを、階級とスタイルが違えども、全体として底上げとなるかなと思いますね。1人でも多く、優勝、3番以上にいれたいなと思いますね。
吉川航平主将(社4=秋田商)
――東日本学生リーグ戦からあまり調子が上がっていないように思えますが
リーグ戦とは切り替えてやったつもりなのですが、全然試合でもうまくスイッチが入らなくてダメでした。
――気持ちの面で思うようにいっていないのでしょうか
技術も圧倒的に足りないのですが、気持ちもうまく乗らなくて、技術・精神すべての面において0点です。
――相手との距離感の取り方などはいかがでしか
相手は飛び込んでくるスタイルなので、つめるとしてももう一歩強いところで押していく気持ちだとかが去年自分が持っていたものがリーグ戦から全然発揮できてなくて、技術も足りないですが、気持ちがダメならダメだと思います。
――夏に向けてどういった部分から立て直していきたいですか
正直立て直しとかではなくて、なにすればいいのか分からなくて、1度無になって考えるところから。なにをすればいいのか分からないです。
――インカレに向けての目標をお願いします
チームとしては、インカレでいい成績を残すことによって、グレコ選手権であったり、内閣杯であったりの結果につながってくると思うので、インカレでは1人でも多く優勝や入賞ができるように、去年から言ってる底上げを含めできるだけたくさんの選手が表彰台に上がって次の団体戦へのステップにできるようにしたいです。個人としては、なにも言えません。目標を見失って、初戦突破とかそういうレベルになってしまったので、去年のぼくの勢いがないので、目標を考えられません。