1年の髙橋、大学入学後初の国際大会で銀メダル獲得!

レクリング

 ビル・ファーレル国際大会へ、髙橋海寿々(スポ1=東京・大森学園)が日本代表として赴いた。髙橋にとっては大学入学後初の、またシニアとしても初の国際大会。総計20選手が出場した63キロ級でしのぎを削り、銀メダルを獲得した。「練習している技術が海外の選手相手に少しでも通用したことは、大きな自信になりました」(髙橋)と振り返るように、実りある経験になったようだ。

 「正直、悔しい気持ちと安心感が半々です」(髙橋)。1回戦から海外の選手相手に4連勝。しかし振り返ると、「攻め切れなかった」。自らポイントを取りに行ったのは1試合で2回程度だった。決勝戦では急きょ同じ階級で出場することになった1階級下の伊藤彩香(東新住建)との日本選手同士の対決を繰り広げる。0-8で敗れた要因として、「無意識的にビビってしまい、格上相手に何もできなかった」と語る髙橋。ここでも攻め切れなかったという点が悔やまれた。とは言え、決勝戦以外では最終的に差をつけての勝利を挙げているのだ。悔しさの一方で、「勝つべきところでは勝てた」と、結果を肯定的にも捉えている髙橋。自身の技術がきちんと通用したことを実感した。

 また、この大会はアメリカ国内の代表選考会も兼ねており、アメリカ国内からはいくつものチームが参加した。髙橋の階級に出場した20選手のうち、アメリカとカナダの選手の数は総計17。日本選手と異なる点はレスリングスタイルだけではなかったようで、レスリングに対する思い・考えもまちまち。髙橋はそこに文化の違いを感じたという。今後も様々な国の選手と戦う機会が増えるであろう髙橋。「多様なスタイルに対応しつつも、自分のレスリングを発揮していきたい」と頼もしく話した。

 この1年、東日本学生女子選手権、全日本社会人選手権、全日本女子オープン選手権と3つの大会で優勝を飾った髙橋。そして今回の国際大会でも大健闘を見せ、国内のみならず国外での自分の位置も確認することができた。次に控えるのは12月末に開催される天皇杯全日本選手権(天皇杯)。「格上の選手を相手に自分のレスリングがどこまで通用するか、自分の実力がどこまで発揮できるか」というように、髙橋の貪欲さは止まることを知らない。天皇杯ではどのようなレスリングを披露してくれるのか。まだ1年生、今後の活躍からもますます目が離せない。

(記事 寺脇知佳)

結果

▽63キロ級 髙橋     2位

コメント

髙橋海寿々(スポ1=東京・大森学園)

――今大会に向けて、どのような目標や意気込みを持って臨みましたか

大学入学後の初めての、またシニアとしても初めての国際大会だったので、思い切り、できることを試そうと思って臨みました。

――銀メダル獲得という結果について、率直な気持ちをお聞かせください

正直、悔しい気持ちと安心感が半々です。決勝は急遽同じ階級として出場することになった1階級下の日本人選手でした。実力差は比べ物にならないくらい先輩(相手選手)のほうが上ですが、そのような相手に何もできなかったので、無意識的にビビっていたんだと思います。ですが、決勝戦まで戦った4人の選手にはポイントを数点あげてしまったものの最終的に差をつけて勝てたので、自分の技術が少しずつ通用している実感もあり、大会結果を肯定的に捉えれば、勝つべきところで勝てたので少し安心しました。

――では試合内容を振り返ってください(主に準決勝、決勝について)

全試合で共通する点はやはり攻めきれなかったことですね。1試合2回程度しか取りに行けませんでした。特に決勝戦ではやみくもに攻めてしまったり、相手に入らされたりとペースを相手に持っていかれがちでした。そんな中でも、勝っている負けているどちらの状況にいても、大学に入ってから練習している組み手や、レスリングスタイルそのものも、少しですが発揮できたとは思います。

――今大会全体を振り返り、収穫点は

練習している技術が海外の選手相手に少しでも通用したことは、大きな自信になりました。また攻めにいくための組み手は何となくですが形になってきましたが、そこからポイントに繋がる攻撃ができなかったので、立ち技から組み手、崩して攻撃、というルーティンを作りたいです。そして何よりも、日本代表として今回の遠征に赴くことができたことが、今後の自分にとって大きな糧になりました。

――国際大会を経験した感想、また国内大会と違った部分は

今回の大会はアメリカ国内の代表選考会を兼ねていたそうで、アメリカ国内からいくつものチームが参加していました。女子は大半がアメリカ、カナダの選手が参加しており、日本や近隣諸国のチームが少数参加していました。やはり、アメリカの選考会であったためか小さい会場にも多くのアメリカ人の方々が観にいらしていました。私の階級は計20選手の出場でしたが、うち2選手が日本、1選手がブラジル、他の17選手はアメリカとカナダの選手でした。私が対戦した選手もアメリカの3選手とカナダの1選手でした。やはり、アメリカ選手との対戦時はアウェイでした。セコンドの声や応援してくださっている先輩方の声も聞こえないくらいの声援でした。私はそれによる精神的なものがなかったので良かったです。応援にも物凄い団結力というかそれに近しいものを感じました。国や地域によってレスリングが親しまれているアメリカは、そこにいる方々のレスリングに対する興味が日本と比べものになりませんでした。そこに文化の違いをも感じました。

――今大会はご自身にとってどのような大会になりましたか

この大会だけでなく、海外遠征に行くことそのものは毎度毎度良い経験になります。現地での様々な選手と手合わせをし、様々な言語(今回ならばアメリカ英語)で交流することもできるからです。その国その国によって選手の体格やそれによるレスリングスタイル(戦い方)も変わってくるので、全身で様々なことを学ぶことができました。また、この大会で初めて欧米諸国の選手と試合をしました。アジアや欧州諸国の選手とはまた微妙な違いがあり、そのような差異にも対応できるような選手になりたいと思いました。

――次戦に向けて

次は天皇杯(天皇杯全日本選手権)です。私の階級は来年の五輪の代表が決まってしまいましたが、そのような格上の選手相手に自分のレスリングがどこまで通用するか、自分の実力がどこまで発揮できるか、というのが課題であり目標でもあります。また、今回の天皇杯は内閣杯(内閣総理大臣杯全日本大学選手権)で出場権利を獲ってきてくれた同期の選手も出場するので、一層の励みになります。私が言えることではありませんが、同期や先輩方と一丸となって、少しでも良い成績を残したいです。

――最後に、今後の国際大会での目標を教えてください

次の遠征はまだ決まっていませんが、大会規模にかかわらず優勝したいです。再三述べていることではありますが、多様なスタイルに対応しつつも、そこに自分のレスリングを発揮したいと思います。