主将・洞口の復帰戦、結果は5位

レクリング

 グレコローマンスタイルが行われる唯一の大会、全日本大学グレコローマン選手権。初日と同様にこの日も4階級が実施され、59キロ級・吉川航平(社3=秋田商)は7位、80キロ級・今村聖(スポ4=群馬・太田商)、98キロ級・洞口幸雄主将(スポ4=岐阜・岐南工)が共に5位という結果で幕を閉じた。また、団体戦としての早大の大学対抗得点は9点に終わり、8位となった前年の19点にはほど遠い結果だった。

 3回戦まで順当に駒を進め、惜しくも準決勝進出とはならなかった吉川。試合後はまず、2試合目までの内容について反省の弁を述べた。同点勝ちとなった1回戦。そしてきょねんも顔を合わせた相手にテクニカルフォール勝ちした2回戦。いずれも勝ち切ったものの、投げ技やがぶり技の詰めが甘かったという。それでも2回戦はローリングがさえわたり、気持ちの良い白星を挙げた。また、3回戦と敗者復活戦について「立ち上がりでポイントをすぐ取られてしまわないように最初から自分のかたちに上手く持っていけるよう仕上げていきたい」(吉川)と立ち上がりの悪さも反省。計4試合を通して課題があぶり出されたようだ。同じく3年の多胡島伸佳(スポ3=秋田・明桜)は2回戦、グレコローマンを専門としている相手に許したのはたったの2点。負けた多胡島はわずかに悔しげな表情を見せたものの、「あのスコアで試合をできたのは良かった」とポジティブに振り返った。

序盤での防御が課題点となった吉川

 今大会が半年ぶりの復帰戦となった主将の洞口。初戦は強豪・志喜屋正明(国士館大)に1点差で見事な勝利を収め、主将としてチームを勢いづけた。格上の相手を制したのは、気持ちを出し切った結果といえるだろう。一方、2回戦では高身長の相手にひるんだ様子を見せ、そのままポイントのチャンスを失って無得点。敗者復活戦に回った。3位決定戦では1ピリオド早々に先制点を与えるも、後半開始30秒で同点機をつくる。しかし再び逃げられてしまい、1点リードを許して試合は終了。「接戦になると負けてしまうので、まだまだ力が必要」(太田拓弥コーチ)。いざというときに勝ち切る力の有無が3位と5位の分かれ目だったのかもしれない。洞口と同様に最終的に5位につけた今村は、世界選手権代表の選手相手に1回戦で敗退したものの、敗者復活戦にまわって計3回の試合をこなした。3位入賞まであと一歩まで迫った今村は「最後に決め切れなかった」と悔しさをにじませた。

今大会が復帰後初の実戦となった洞口

 厳しい結果に直面し、苦汁をなめた早大。「今回の試合ではチームとして戦っているという雰囲気が薄かった」と山方隆之監督(平4人卒=福岡・築上西)が言うように、まだ団体戦で良い結果を残せていない早大にとってはチーム力こそが大きなカギとなるだろう。次に控える大舞台・内閣杯全日本大学選手権は、今季最後の団体戦だ。4年生にとっては早大として戦う最後の大会でもある。残り1ヶ月に迫ったこの大会に照準を合わせ、チーム一丸となって総合優勝を狙いたい。

(記事、写真 寺脇知佳)

結果

▽59キロ級

 吉川   7位

▽71キロ級

 多胡島  2回戦敗退

▽80キロ級

 今村   5位

▽98キロ級

 洞口   5位

コメント

山方隆之監督(平4人卒=福岡・築上西)

――2日間を振り返って

全般的には反省することばかりの、結果の通りの2日間でしたね。

――きょう出場した4選手の試合を振り返って

吉川航平(社3=秋田商)については敗者復活戦であたった相手が強い選手でしたが、最初の方を防いでいればまた試合展開も変わってきたと思うので、グラウンドを守らなければならなかったというのは反省点ですね。多胡島伸佳(スポ3=秋田・明桜)については相手はグレコ(グレコローマンスタイル)専門にやっている選手なので、どこまでやれるか楽しみにしていました。点数的には紙一重で、最後の一発勝負だったので、多胡島自身も自信になったのかなと思います。敗者復活戦に進めなかったというのは残念で、もう1、2試合してほしかったというのがありましたけれども。今村聖(スポ4=群馬・太田商)については1回戦の相手が世界選手権代表の選手だったので、これもどこまでやれるか、というのがあったのですが、負けたのは仕方がなかったですね。敗者復活戦は何で先にいかないのか、という点でもちょっと内容の悪い負け方で、最後の試合に負けたというのはちょっと残念でしたね。後半で攻めはしたんですけど、何でそれを前半からやらないんだというところを感じました。洞口(幸雄主将、スポ4=岐阜・岐南工)は組み合わせ的にかなりきついブロックにいて、1回戦がまず勝負だったんですけども、そこで気持ちを出して勝ったので、その次も期待をしていたのですが、やはりちょっと体力面というのと相手の体格という点で劣っており、もうちょっと攻めてほしかったですね。あと体力もすこしバテていた感じだったので、まだまだ練習が必要だと感じました。

――洞口主将は復帰戦となりましたが

それを考えるとよく試合に勝つまでに仕上げてきたのは褒めてやりたいと思うんですけど、やはり練習不足というのが要因で、短時間の試合についていけませんでしたね。

――内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)までに強化したい部分は

個々のレスリングという部分は当然なんですけれども、今回の試合ではチームとして戦っているという雰囲気が薄かったというのを感じました。なので、内閣杯はチームとして戦っているという自覚を持って臨んでほしいです。

太田拓弥コーチ

――2日間を振り返って

全体的に厳しい戦いでしたね。やはり3位以内にひとりも入れていないというのは悔しいですし、内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)に向けてステップを踏む、そういった位置づけの大会で、あとインカレ(全日本学生選手権)の反省を踏まえて、というところだったので。内容的には米澤圭(スポ1=秋田商)、斎藤隼佑(スポ1=群馬・館林)、洞口幸雄(スポ4=岐阜・岐南工)の1回戦が良かったんですけど、勝ちきれないというところが課題として残りました。

――印象に残った試合は

まあ1年生の2人が良く頑張ったと思いますね。斎藤は5月のリーグ戦でかけられた技を守ることができましたし、ただあともう一歩力をつけないと勝てないかなと思いますね。米澤に関しても良い勝負はしましたがグラウンドの守りが課題として残りました。フリー(フリースタイル)だったら65キロ級、グレコ(グレコローマンスタイル)だったら66キロ級の体にまだまだなっていないので、しっかり体をつくっていきたいですね。

――きょう出場した4選手の試合を振り返って

洞口が1試合目に国士館大の志喜屋正明によくぞ勝ってくれた、そこまでは良かったのですが、接戦になると負けてしまうので、まだまだ力が足りないなというのは改めて感じましたね。

――内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)までに強化したい部分は

おのおのの磨こうとしている部分を磨き、欠点をしっかり穴埋めしてほしいですね。総合優勝できるメンバーがそろっているのにも関わらず、チームとして一丸となりきれていない部分があるので、4年生もあと1ヶ月ですけどその1ヶ月でしっかりまとまってもらいたいなと思いますね。

――内閣杯への意気込みをお願いします

個人の総合ではありますが、チームがまとまらないと良い結果というのは絶対につながってこないので、出場する選手はもちろん出場しない選手もみんなでまとまって、総合優勝目指したいと思います。

洞口幸雄主将(スポ4=岐阜・岐南工)

――試合を振り返って

1試合目は格上の相手だったので思い切りやろうと思いました。2回戦は負けましたが、思ったより自分の良さが出たと思います。敗者復活戦では背の高い相手に攻めれなくて終わってしまいましたね。

――課題は見つかりましたか

先輩とかにいろいろアドバイスをもらいました。自分自身が身長が低いので、やっぱり自分より身長が高い選手を相手にすることのほうが多いんですけど、そういう選手を相手にしてもがぶれるようになることが課題ですね。

――団体戦でしたが、主将として意識したことは

主将なのでいろいろ考えなければならないのですが、まずは自分が勝たなければ始まらないので、勢いづける気持ちで臨みました。

――内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)までに強化したい部分は

1ヶ月で急激に強くなることはできないので、自信をつけることができるように、みんなでこの1ヶ月間でやることを決めて優勝できるように仕上げていきたいと思います。

――内閣杯への意気込みをお願いします

がぶりをちゃんと仕上げて、そこから攻められるレスリングをしたいです。やっぱり最後なのでキャプテンの意地を見せつけたいと思います。

今村聖(スポ4=群馬・太田商)

――試合を振り返って

自分のかたちは出たんですけど、最後に決め切れなかったのが敗因ですね。

――収穫点は見つかりましたか

どの相手に対してもかかることのできる技を覚えなきゃいけないと再認識しました。

――良かった点、悪かった点は

プレッシャーをかけることを重点的に練習していたので、それはできたんですけど、点数につながることが少なくて、良くも悪くも、練習通りになってしまいました。

――フリースタイル(フリー)をグレコローマンスタイル(グレコ)に生かしたりは

ローリングが得意で、フリーだったらタックルからのテイクダウン、それからのローリングという流れでいつも勝ってるんですけど、グレコは今回、ルール改正でグラウンドの機会が減り、自分から点を取りにいかないとグラウンドにならないというのがあって得意技が出せなかったので、インカレ(全日本学生選手権)から比べると良い流れではなかったのかなと。コンディション自体は良く調整できたと思います。

――内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)に向けての意気込みを

自分は本来なら74キロ級なのですが、今回は80キロ級で出場し、内閣杯はさらに1階級上の86キロ級で出場します。実質もとの階級から2階級分上でパワー負けするのが予想されるので、しっかり力をつけて、相手に耐えうる力をつけたいですね。自分の本来の階級のほうが下ということは、相手より早い動きができると思うので、相手のパワーに耐えつつ自分の持ち味の動きだったり交わしだったりで、攻めていけたらなと思います。また、74キロ級で出場する天皇杯全日本大学選手権に向けて練習したいので増量はしませんね。筋量を増やすという感じで、ウエイトトレーニングで力を上げて、そこまで意識して体重増やそうという気はないですね。体重はいまのままで、パワーを上げて勝負したいです。

――内閣杯に向けての意気込みをお願いします

今回はグレコチームがあまり点数も取れずに良い結果ではなかったので、それを払拭できるように頑張っていきたいと思います。

吉川航平(社3=秋田商)

――試合を振り返って

2回戦の相手はきょねん負けている相手だったので、絶対勝たないといけないと思いました。最初に投げとかでポイント6-0と、結構がっつり取れたんですけど、投げももっときれいにハメて一気にテクニカルフォール狙わないといけなかったし、その後2点取ったがぶり返しという技の決まりも微妙でしたね。相手がもうちょっとレベル高い選手だったら取れなかったのでまだちょっと詰めが甘いなと。1試合目は2ピリオド目で自分の足も止まってしまって追い上げられちゃったんで、勝ちはしたんですけど内容としてはまったく良い試合ではなかったです。

――得意としているローリングについては

2試合目の相手にはローリングで試合を決めたですけど、1試合目で体動かしてたので緊張とかはなく自分の得意技にうまく持っていけたので、2試合目はそれなりに自信のつくというか自分がやってきたことがうまく出せたかなと思います。

――課題点は見つかりましたか

はい、課題がすごく良く見えた試合でした。負けた2試合を振り返ると、立ち上がりでポイントを一気に取られてしまって、そのあと拓殖大の選手と対戦したときは2ピリオド目に結構追い上げる感じだったので、立ち上がりでポイントをすぐ取られてしまわないように最初から自分のかたちに上手く持っていけるよう仕上げていきたいです。普段の練習でも試合を意識して、立ち上がりからどんどん攻めて、自分のかたちであるローリングとかがぶり返しとか、そういうかたちに持っていけるようにするのが課題です。

――内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)までに強化したい部分は

チームを引っ張っていくくらいの気持ちで、かつ4年生に負担をかけないように、また1、2年生には背中で上手く伝えていけるように、来年度に向けても自分たち3年生が中心となって、ことしは団体戦で全然良い結果残せてないので、しっかり先輩たちに恩返しするつもりでもう一回気合い入れ直してまた頑張りたいと思います。

――プレーで意識したいことは

自分は器用なことが苦手なので、不器用ながらも自分らしさをどんどん出せるように、どんどん前に出てって、泥臭い試合をして勝つという自分のスタイルを貫き通せるように練習頑張りたいと思います。

多胡島伸佳(スポ3=秋田・明桜)

――今大会を振り返って

本職じゃないグレコ(グレコローマンスタイル)の試合なので、楽しくやるというのが目標だったんですけど、ただ団体戦である以上、流れは壊したくないな、というのがありましたね。そういう意味では楽しくできたし、相手も強かったので、そこで接戦することによってチームの流れも崩さずにつなぐことができたので、まあ良かったんじゃないかなと。相手が強いって分かってたので、その中であのスコアで試合をできたのは良かったんじゃないかなと思います。

――内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)までに強化したい部分は

また70キロ級でのエントリーで、周りの対策の面なども厳しくなってくると思いますね。そうすると僕対策でやってくる選手も出てくると思うので、そういう意味で、対策で上をいくというか、弱点を突かれても大丈夫なように、どっちかというと長所より短所にフォーカスしてやっていこうかな、と思ってます。

――団体戦という点については

内閣杯はフリースタイルでの出場なので、自分が軸になってというか、自分は流れにチームを乗っける立場の人間だと思うので、そういう立場を理解しながら試合に臨みたいと思います。

――内閣杯への意気込みをお願いします

インカレ(全日本学生選手権)で優勝をこぼしてしまったので、インカレと同じようなメンバーの中でリベンジできるようにしたいです。そのあと国際大会も控えているのでそこにつながるようにも頑張っていきたいです。