2日目を迎えた全日本選手権。ワセダの先陣を切ったのは男子グレコーマン59キロ級の青木佑聡(スポ3=岐阜・岐南工)。消極的な試合と見なされ、相手に点数を与えてしまい0―2で4回戦敗退となってしまう。男子グレコーマン80キロ級の堀江一馬(社3=富山・高岡商)は2回戦、1分も経たぬうちにテクニカルフォール勝ちを収めるも、3回戦では互角の試合が続く中で最後にバックポイントを決められ敗北を喫す。一方、女子は3人が表彰台にあがる結果に。53キロ級の金子和(社4=群馬・大泉)は2位。63キロ級では香山芳美(スポ2=東京・安部学院)が金メダル、髙橋海寿々(スポ1=東京・大森学園)が銀メダルを手にした。
女子53キロ級の金子は1回戦・2回戦をテクニカルフォール勝ちでしめる圧倒的な強さを発揮した。しかし、優勝を狙った決勝ではまさかのフォール負け。4年生最後の全日本学生選手権を2位という結果で終えることに。「自分から仕掛けることができなかった」というように、終始自分の良さを出せずに相手のレスリングをさせてしまう形となった。女子63キロ級の1回戦では、髙橋は開始39秒、香山はローリングを連発し開始24秒でテクニカルフォール勝ち。2回戦も順当に勝利を収め、ワセダ同士での決勝に持ち込んだ。
金子は今回で最後のインカレとなった
注目が集まった香山と髙橋の先輩・後輩対決。世界ジュニア選手権を終えたばかりの香山は疲労のためか、いつものようにタックルをくり出すことができない。一方の髙橋も「自分から積極的に攻めることができなかった」と振り返った。互いに仕掛けきれず、両者どちらが勝つか予想できない試合に。しかし、第1ピリオド開始2分頃に香山が髙橋に攻撃を仕掛けるなど数少ないチャンスをものとし、貴重なポイントを手に入れる。結果、香山が先輩の意地を見せ0―4で優勝。「シニアで活躍できるように頑張りたい」と話す香山。その目は遠くない未来を見据えていた。
香山と髙橋、ワセダ同士の決勝に
女子の活躍が光った2日目。1回戦・2回戦ではテクニカルフォール勝ちを収めるなどワセダの強さを表す結果となった。あす3日目は男子フリースタイルにワセダから13選手が出場。学生二冠王者多胡島伸佳(スポ3=秋田・明桜)は今回も優勝を狙う。また、65キロ級ではインカレ初出場となる米澤圭(スポ1=秋田商)や、太田コーチが最近伸びてきたと語る矢野富三家(スポ2=島根・隠岐島前)らの活躍も期待される。チームのため、一人でも多く上位に食い込めるように――。男子も女子に続き健闘を見せてほしい。
(記事 杉野利恵、写真 寺脇知佳)
63キロ級の二人がそろって表彰台に
結果
男子グレコローマンスタイル
▽59キロ
青木 4回戦敗退
▽80キロ
堀江 3回戦敗退
女子
▽48キロ
須崎麻衣(スポ2=千葉・鎌ヶ谷) 2回戦敗退
▽53キロ
金子 2位
▽55キロ
小林奏音(スポ1=長野・佐久長聖) 1回戦敗退
▽63キロ
香山 優勝
髙橋 2位
コメント
太田拓弥コーチ
――グレコローマンスタイル(グレコ)を振り返って
正直、不甲斐ない結果でしたね。あと1試合2試合勝てたような内容だっただけに何が足りないのかというのをもっとしっかり落とし込んで全日本大学グレコローマン選手権に向けてしっかりやりたいと思います。
――青木選手(祐総、スポ3=岐阜・岐南工)の敗因について
フリースタイルだと57キロ級でグレコだと59キロ級になるので、2キロの違いってすごく大きいです。普段の体重も61キロくらいしかないですから。大半の選手は65キロくらいから59キロに落としているので体つきも(青木選手は)他の選手と一回り違うので力技に差が出ますね。特にグレコは攻める場所が上しかないので、力の差がハッキリわかるスタイルなんですよ。そういった意味で力不足や前に出るパワーだったり、グラウンドで返す力だったりいろんな意味で力をつけないといけないなと。
――女子の試合を見て総括をお願いします
女子は全体的に良かったと思いますし、和(金子、社4=群馬・大泉)も決勝で負けちゃいましたが正直歩けるような状態でもなかったんで、腰を痛めていて。でもそういった中でも決勝まで最低限の事はできましたし、芳美(香山、スポ2=東京・安部学院)も世界ジュニア選手権の疲れがある中でよく頑張ってくれました。まあもっとしっかり勝って欲しかったですけど優勝することができましたし。優勝した芳美との良い勝負ができた海寿々(髙橋、スポ1=東京・大森学園)は結構な手応えを感じることができたと思いますし、麻衣(須崎、スポ2=千葉・鎌ヶ谷)ももうちょっと冷静に判断できればあの試合勝てた内容だったんですけど、奏音(小林、スポ1=長野・佐久長聖)も麻衣も組み手で相当追い込まれていたので、麻衣に関してはラストのところでは勝てた試合だったんですけど組み手で追い込まれたという部分は反省点ですね。仮にあれで勝てたとしても次にはつながらない勝ちなので、そういった意味でも負けて良しとして欲しいと思いますね。
――髙橋選手のレスリングのセオリーについていかがですか
彼女の手足の長さを生かしたタックルや守りかたであったり、なんとなくこう確立してきたかなとは思いますね。準決勝でもタックル取りましたし。決勝では取れなかったですが、取る力がないだけなのでしっかり取れるように力つけて欲しいですね。
――決勝の先輩・後輩対決は遠慮というものはなかったように感じますか
なかったと思いますね。普段だったらもっと差があるようなスパーリング内容なので、この決勝だけ見れば海寿々が良く踏ん張ったなと思いますね。
――女子の今後に向けて
10月の頭に全日本女子オープン選手権がありますし、12月には全日本選抜が控えているのでそ、の大会に上位一人でも多く入れるようにもう一回しっかり練習させたいなと思いますね。
――あすの男子フリースタイルの見どころについて
黒澤(翔、スポ4=茨城・鹿島学園)をはじめとする6名が57キロ級に登録していますし、特に矢野(富三家、スポ2=島根・隠岐島前)なんかが特に最近伸びてきて手応えを感じているところです。他のメンバーも夏合宿で相当追い込んできました。この大会で3番以内に入ることができれば12月のオリンピック予選に出ることができます。その大会に一人でも多く出すことによってチーム力もあがると思うので、最低でも3番以内に入ってオリンピック予選に出てもらいたいなと思いますね。
金子和(社4=群馬・大泉)
――今回の試合を総括していかがですか
優勝を狙っていたので、悔しいの一言です。
――それぞれの試合を振り返っていかがですか
1回戦と2回戦に関してはしっかり自分の動きができて、テクニカルフォールという形で勝てたので良かったです。ですが、決勝では自分から仕掛けていくことができず、相手から結果的にやられてしまったという印象です。
――具体的な反省点はどのようなところでしょうか
やはり相手に良いところを取らせてしまったというのが一番だと思います。自分から良いところを取って、すぐそこから技をかけていけるように今後も頑張っていきたいです。
――コーチから何か声を掛けていただきましたか
4年生で最後だったので、深い話というよりは、コーチとしても仕方ないなという一言でした。
――何か収穫はありましたか
決勝戦はすぐに負けてしまったので、収穫というものはあまりなかったです。4年生として、やってきた姿が後輩に少しでも良い形で映ってればと思います。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
4年生で出られたとしてもあと1回くらいですが、そこで良い成績が残せることがコーチや監督への恩返しになると思います。後輩たちにも何かしら残せていけたらと思います。
香山芳美(スポ2=東京・安部学院)
――優勝して、今の気持ちはいかがですか
出場しているメンバーを見ると(自分が)優勝して当たり前だったので、ホッとしている気持ちです。
――きょうの試合を振り返って
先日まで世界ジュニア選手権があったので、1つ上の階級で出場しました。時差があり、あまり良くないコンディションで臨んだ試合だったので、内容にはあまりこだわりませんでした。世界学生選手権がかかっている大会だったので、勝つことにこだわって試合をしました。とりあえず優勝できて良かったです。
――コンディションはいかがでしたか
前日の夜にあまり寝られなかったり、疲れていたので会場に着いてからも朝にアップが終わって、1度寝てから試合をしたり、ケガもあったりして、あまりコンディションは良くなかったです。ですがその中で勝てたのでいい経験になったと思います。
――決勝の手応えはいかがでしたか
本来であれば、もっと差がつけられるので、圧倒的に勝たなくてはいけなかったと思います。しかし、勝ちにこだわる試合をしたかったので、確実にとれたという意味では良かったと思います。
――決勝では後輩の髙橋選手(海寿々、スポ1=東京・大森学園)との対戦でしたが、いかがでしたか
確実に勝たなくてはいけないと思っていましたが、特に気負いはせずできたと思います。
――もっと得点をとれた部分とかあると思いますか
いつもの練習ならタックルをしてどんどん点数を取ります。疲れなどがあった上に準決勝が接戦だったので息が上がったり腕が張ってくるのも(いつもより)早かったです。途中で息が上がるのが怖くなったときがあり、海寿々はあまりタックルなどしないタイプなのであとは守りでいいかなというのもありました。これは戦い方なので、今回はこれで良かったかなと思います。
――次の試合に向けて意気込みをお願いします
優勝はできましたが、インカレが目標ではないので、シニアで活躍できるように頑張りたいと思います。
髙橋海寿々(スポ1=東京・大森学園)
――きょうを振り返って
自分の距離で試合ができたのが準決勝の試合だけでした。初戦と決勝戦は相手にペースをもっていかれてしまっていたので大きな反省点です。特に決勝戦の香山選手との試合では自分から積極的に攻めることができなかったです。課題がはっきり見えた試合でした。
――試合前、緊張しているとおっしゃっていました。その緊張感とはうまく付き合うことができましたか-
知らない間に緊張はなくなりました。試合に上手く入っていくことができました。
――香山先輩(芳美、スポ2=東京・安部学院)との決勝戦となりましたが、手応えはありましたか
最後にタックルが決まったのですがそこからポイントを取ることができませんでした。監督、コーチから具体的なアドバイスを頂いたので、改善したいです。いま自分ができることがわかりました。香山先輩はいずれ越えていかなければいけない存在です。そういった点でもいい経験になりました。。
――最後に、今後への意気込みをお願いします
ここまで、新人戦(東日本学生女子選手権)、全日本社会人選手権と優勝を取ってきたので、今回負けた経験をバネにして頑張りたいと思います。