女子は早大から2名が優勝

レクリング

 東日本学生春季新人戦の2日目には、並行して東日本学生女子選手権が行われた。ワセダからは48キロ級に須崎麻衣(スポ2=千葉・鎌ヶ谷)、58キロ級に小林奏音(スポ1=長野・佐久長聖)、そして63キロ級に髙橋海寿々(スポ1=東京・大森学園)が出場。須崎と髙橋が金メダルを獲得した。それでも、それぞれの試合内容は良好なものとは言えず、多くの課題を残した大会となった。

 1回戦で当たるはずの相手が棄権をし、いきなり決勝を迎えるかたちとなった須崎。その相手はきょねんから苦手としており、幾度と負け続けている天敵であった。それだけに、「リベンジしたいという気持ちが強かったので、残念な気持ちが大きい。次こそ本気で戦いたい」とこぼした。決勝戦では開始数秒でフォールを決め優勝はつかんだものの、強い相手を抑えての勝利ではない。「まだまだ未知数というか、どれくらい伸びているのかわからない」と太田拓弥コーチ。手放しでは喜べない結果となってしまった。一方で、レスリング競技に1年間のブランクを抱えた小林は、初戦から試合を優位に運ぶことができずテクニカルフォール負け。「安定感がない」(小林)と振り返るように、実力が足りていないことを改めて実感した。改善点が明確であるだけに、今後の練習により一層励む良い機会になったのかもしれない。

須崎は表彰台での笑顔が輝いた

 髙橋が決勝で当たったのは、高校のときから勝ち切れなかった相手、鈴木紅夏選手(東洋大)だった。「(鈴木選手と)どういう試合ができるかということがこの大会へのモチベーションだった」。髙橋はこの一戦に懸けていた。先週の明治杯全日本選抜選手権にも出場した髙橋だったが、自ら積極的に仕掛けることができず、悔しさを味わっていた。その気持ちを切り替え、「自分で仕掛けて、ポイントを取る」ことを意識して臨んだ今大会。決勝では苦手を克服し、タックルで得点することに成功する。最終的にテクニカルフォール勝ちで宿敵を倒し、ガッツポーズで喜びを表してみせた。

喜びがあふれた髙橋

髙橋はいままで勝つことができなかった相手に勝利した

 今大会を戦い抜いた3人が次に控えるのは、7月の全日本社会人選手権。レベルの高い相手にどう自ら攻撃を仕掛けていけるか。今回の反省点を改善し、また一つレベルアップした姿を見せてほしい。また、今大会には出場しなかった香山芳美(スポ2=東京・安部学院)も、応援席から同期と後輩の試合を観て、「(私も)もっと頑張らなきゃいけない」、「このままではいけない」と、自らを奮い立たせた。ルーキーたちが層を厚くしつつある女子部からも目が離せない。

(記事、写真 寺脇知佳)

結果

女子

48キロ級 須崎   優勝

58キロ級 小林   1回戦敗退

63キロ級 髙橋   優勝

コメント

山方隆之監督(平4人卒=福岡・築上西)

――東日本学生女子選手権を振り返って

須崎(麻衣、スポ2=千葉・鎌ヶ谷)は1回戦で当たる予定だった相手が棄権で、ずっと負けている選手だったので今回どういう試合をしてくれるのかな、とリベンジしてくれることを期待していたので残念だったんですけれども、優勝は優勝ですから結果的には良かったです。髙橋(海寿々、スポ1=東京・大森学園)に関しても、ずっと負けていた選手に勝ったということで、それは大学に入ってからの練習の成果が出ていると思うんですけれども、本人にも言いましたがこのレベルで満足していてはダメだよ、と。もっと改善されるところも見つけられると思うのでもっともっと練習をして欲しいな、と思います。

――小林(奏音、スポ1=長野・佐久長聖)選手についての課題は

小林については1年間レスリングから離れていたなかでだいぶ体力的には戻ってきていると思うのですが、まだまだな部分が多いので今回負けたことに腐らず、やっていることは間違っていないと思うので、継続してやってもらいたいな、と思います。

――7月の全日本社会人選手権へ向けて

まずは出る3人については試合経験を積むというのが何よりの練習だと思うので、思いきりやってもらいたいということに尽きます。

太田拓弥コーチ

――東日本学生女子選手権を振り返って

須崎は結果的には優勝しましたが、1回戦は相手が棄権してしまい、決勝戦もろくに大学からやっていない選手だったので、やっぱり高校の時に勝てなかったとかそういう選手に勝つことによって実力がついてくるのがわかるので、そういう選手に勝って優勝というと評価になるんですけど、まだまだ未知数というか、どれくらい伸びているのかわかっていないですね。結果的には優勝は良かったのですが、手放しでは喜べないですね。髙橋も自分の取る形ができていないので、それがしっかりできた上で戦ってほしいです。

――髙橋選手について、明治杯全日本選抜選手権からの改善点はありましたか

自分で仕掛けて、ポイントを取って、というのができていたのでそこは良かった点かな、と思います。

――小林(奏音、スポ1=長野・佐久長聖)選手についての課題は

高校時代にブランクがあり、中学の延長でやっていた感じなので、ただ感覚というのは若干つかめてきたのかな、とは思いますね。組み手からタックルに入る流れとかを中学高校でしっかりやれていなかったのですが、そういったものが本人の感覚として、なんかこう見えてきたかな、とは思います。

――7月の全日本社会人選手権へ向けて

今回の反省点を改善し、自分のやろうとしているレスリングを試合で出してもらおうと思います。

須崎麻衣(スポ2=千葉・鎌ヶ谷)

――今回の試合に対する意気込みは

組み合わせが1週間くらい前に出ていたのですが、1回戦の相手がきょねんずっと勝てなかった相手でした。すごく気合が入っていたのですが、まさかの棄権ということをきのう知って。リベンジしたいという気持ちが強かったので、残念な気持ちが大きいです。

――次に対戦する機会があれば

本気でやり合って勝ちたいですね。

――決勝はすぐに試合を決めました。どのようなことを意識していましたか

自分の得意なタックルを決めて、ローリングで返そうと思っていましたが、そのままフォール体勢になったという感じです。すぐに勝ててよかったのですが、ローリングをかけてみたかったという気持ちがありましたね。

――それはどうしてですか

普段あまり上手くかけられないので。

――決勝であってもそれほどの余裕があったと

そうですね。1回戦の相手に勝てれば(優勝は)狙えると思っていたので。

――7月の全日本社会人選手権へ向けて

目標は優勝ですね。この大会で2位以上に入れば、全日本の出場権を得るので、しっかり決勝戦までいけるように頑張りたいです。

髙橋海寿々(スポ1=東京・大森学園)

――今大会を振り返って

決勝で当たった先輩に勝つことが目的でした。その先輩とどういう試合ができるかということがこの大会へのモチベーションだったので、その試合を目指して一戦一戦やっていきました。結果として勝つことができたので、このまま(調子を)落とさずに、もっと良い試合ができるように、日々の練習に励みたいという気持ちになりました。

――先輩というのは

同じ高校だったというわけではありませんが、高校生のときから試合をすることがあった方で、そのときは2回とも負けていて、代表に選ばれていたりだとか、すごく上の人というか、強い先輩だったので、印象に残っています。

――そんな相手に勝つことができて、いかがですか

びっくりしました。

――今大会での収穫と課題は

試合でできたことは、今まで苦手だった、攻め続けて自分から仕掛けていってタックルを取る、ということです。今回はそれをやってみようという思いで臨んで、全日本に引き続きタックルで得点を取ることができたので、今回はそれが良かったかな、と思います。改善すべきこととして見つかったのは、やはり組み手ですね。先輩方の試合を見ていて組み手がとても上手だなと感じたので、これからも他の選手の試合を見て少しでも参考にできたらな、と思います。

――明治杯全日本選抜選手権(明治杯)から改善した点はありますか

明治杯ではタックルに入った回数が少なくて、相手の攻めを待っていることが多くて、自分からアクションをかけてポイントを取ることがなく、最終的に組み手で負けたと思っているので、新人戦(東日本学生女子選手権)では気持ちを切り替えて、自分から攻撃をしていってタックルを入れてポイントを取ろう、という気持ちで臨もうと思いました。

――まだ積極性が足りないと感じているのですか

そうですね。タックルに自信がないので、まだ怖いというか。どうしても変に持っていってしまいますね。

――次戦までにその部分を改善したいと

そうですね。

――7月の全日本社会人選手権、その後の全日本学生選手権(インカレ)に向けて

全日本社会人選手権では胸を借りて大胆に戦おうと思っています。レベルの高い大会で、そのレベルの高い相手にいかに自分から攻撃できるか、ということがカギになってくると思うので、そこはやるだけです。インカレは初めての舞台なので、そこはしっかりと決められるように勝てる試合を勝っていきたいです。

小林奏音(スポ1=長野・佐久長聖)

――今大会への意気込みは

格上の相手だとわかっていたのですが、3月から一生懸命練習してきたので、諦めないで成果を出そうと思っていました。

――負けてしまいましたが、その敗因はどのような部分にあるとお考えですか

安定感がないというところですね。優位に試合を展開できずに、どうしても相手に合わせてしまいました。

――では課題は「自分のレスリングを貫く」ということですか

そうですね。自分のスタイルは、崩して崩して、相手が崩れたところでタックルで取りにいくのですが、きょうはそれができなかったので、そこの甘さの改善ですかね。

――収穫はありましたか

自分のできないことがはっきりと見えてきたことですね。どういう練習をすべきかということがわかった気がします。

――7月の全日本社会人選手権へ向けて

今回足りなかった自分のスタイルを出せていけるように、残りの期間はしっかり練習をして、本番ではしっかり攻めきれるように頑張りたいです。

香山芳美(スポ2=東京・安部学院)

――同期と後輩の試合を見ていてどう思いましたか

自分自身がきょうは試合に出ないので、いつもより客観的に見ることができました。同期と後輩が活躍する姿はとても刺激になって、前回の試合で自分は負けているので、もっと頑張らなきゃいけない、と感じましたし、東日本の大会ということで、高校の同期が試合をしている姿も見ることができて、改めてレスリングに対する気持ちが高まったように思います。(明治杯全日本選抜選手権でのまさかの初戦敗退に関して)まだ落ち込んでいるのですが、このままではいけないな、という原動力になりましたね。

――技術的にご自身にも取り入れた方が良いと思うところはありましたか

男子の試合を見ていて、フリー(フリースタイル)が専門の選手がグレコ(グレコローマンスタイル)で出ていたのですが、グレコで活躍するのを見て、フリーにも生かせるのではないかと思いました。グレコが強ければフリーでも強いと思うので、やはりグレコの強さというものもフリーに効いてくると思いました。自分自身もコンタクトレスリングをするので、どんどん取り入れていけたらなと思います。

――きょうは多くの選手の試合を見たと思います。今度はご自身が魅せる側だと思いますが、どのような試合を心がけますか

インカレ(全日本学生選手権)の直前に世界ジュニア選手権があります。インカレというのは出場する全選手が上を目指している大会だと思うので、それに向けて勢いをつけられるようなレスリングをしたいです。勝っても負けても、攻めて攻めて、ワセダのレスリングというか、とにかく攻め続けることをしていきたいです。