香山、まさかの初戦敗退で気持ちの面を見直す

レクリング

 明治杯全日本選抜選手権。3日間に渡って繰り広げられるこの大会に、早大勢の先陣を切って香山芳美(スポ2=東京・安部学院)が女子60キロ級で出場した。結果はまさかの1回戦敗退。4月にジュニアクイーンズカップで優勝を果たし、アジア選手権でも銀メダルを手にした香山だったが、今大会ではその輝きを放つことはできなかった。

 第1ピリオド序盤、早々に先制点を奪って優位な試合運びをする香山。首脳陣の思惑通り、このまま勝つであろうと思われた。しかし、第2ピリオド開始30秒でバックポイントを許してしまうと流れを相手につかまれる。その1分半後も同じように点を取られて劣勢に立たされた香山だったが、いつものような意地でポイントを取り返すという姿勢も見られない。「いつものような必死さが出ていなかった」(香山)。スコア2-4でこのまま試合は終了し、誇り痛すぎる敗戦を喫してしまった。

香山はこの日本調子ではなく、隙をつかれた

 「格下相手だった」。香山は試合後にこのように話した。実績も十分、実力も確かなはずではあるのにもかかわらず、初戦にして自らが「格下」と振り返る相手に勝ち切ることができなかった。だがそれは、もう本人が何度も口にするように、「気持ちの問題」(香山)。今後は8月に行われる世界ジュニア選手権に照準を定め、精神の調整を図っていきたいところ。メンタル面の整備ができさえすれば、女王復活もすぐそこに見えるはずだ。「きょねんもこの大会では初戦で格下相手に負けていたのですが、そこからリベンジして天皇杯(天皇杯全日本選手権)で3位という結果を得ることができました」(香山)と語るように、未来はそう暗くもないだろう。素直にレスリングと向き合い直し、次こそは明るい結果をもぎ取りたい。失敗を経て、香山の再出発がいま始まる。

(記事、写真 寺脇知佳)

★OB3選手も優勝!

 あす以降も早大勢は登場する。そんな中で現役レスリング部員を後押しするかのように大車輪の活躍をみせたのが早大OB勢だ。所属は違えど、ほとんどの選手がいまもなお早大で練習を続けている。きょうは5名の選手が出場した。

 花山和寛(平26社卒=現自衛隊体育学校)はグレコローマンスタイル71キロ級で優勝。2点ビハインドの第1Pから巻き返しを図り、点差を離して逆転勝ちを披露した。

ローリングの体勢に持ち込む花山

 フリー65キロ級で出場した石田友嗣(平24スポ卒=現警視庁第六機動隊)は1点差に迫られるも逃げ切りに成功。接戦の末、優勝を飾った。山口剛(平24スポ卒=現ブシロード)はフリー97キロ級に登場し、6-0で圧勝。堂々と表彰台に上った。

なんとか逃げ切り安どする石田

山口は表彰台で満面の笑みを見せた

 以上3名がそれぞれの階級で1位へ。かつてのエンジ戦士たちは、その背中で後輩たちを力強く鼓舞した。

結果

▽女子60キロ級        香山 1回戦敗退

コメント

山方隆之監督(平4人卒=福岡・築上西)

――香山芳美(スポ2=東京・安部学院)選手の試合を振り返って

アップが足りないのと、決して負ける相手じゃないのに相手に合わせてしまったとう点が反省点ですね。一言で言うと残念な結果でした。

――アジア選手権からの調整が効かなかったのでしょうか

香山本人の明治杯(明治杯全日本選抜選手権)にかける思いというのはあったと思います。普段の練習も良かっただけに、その練習した結果を試合に出しきれなかったのが一番残念だな、と思います。

――特に強化すべき点は

タックルを入られたときの切りですね。どうしても横を向いてしまいそれが癖になってしまっているので、横を向かないでしっかり切ることを意識してもらいたいです。

――あすへ向けて

全日本のトップの試合なので、特に1年の髙橋(海寿々、スポ1=東京・大森学園)に関しては思いっきりやってほしいです。勝ちにこだわるというよりはやっぱり自分のレスリングを出し切ってほしいですね。多胡島(伸佳、スポ3=秋田・明桜)は勝つチャンスは十分にあると思うので、普段やっていることを出して勝ちにこだわってほしいです。

――OBの選手も大勢出場なさっていた大会でした

普段出ているOBもほとんどワセダで一緒に練習している選手ばかりなので、いまは所属は違いますけれども、チームワセダとして刺激しあいながらやっていますね。良いところを吸収してOBについていけるようにやっています。

太田拓弥コーチ

――香山芳美(スポ2=東京・安部学院)選手の試合を振り返って

課題の前さばきができていなかったのと、ローリングがとりきれていなかったですね。これらができていないとこの大会での表彰台は厳しいかな、とは思います。タックルを入られたときの守りかたという基本的なところができていなくて、相手に乗っかりすぎて横につかれ、バックを取られつしまった、というかたちの内容だったので、勝てないといけないな、と思います。インカレ(全日本学生選手権)に向けてもそういったことを調整して優勝できるように頑張りたいですね。

――試合中、頭についてのご指摘がありましたが

向かい合った状態の時点で正直勝負が決まっていたというか、握手して勝負に入ったときにどれだけ先手を先取れるかというところでまず負けていました。頭が良い位置ではなかったのでタックルを入られても切る動作ができていないんですよ。切れるような状態ではありませんでした。相手にタックルを入られても、相手に常にプレッシャーがかかってるような状態であれば切れてバックを取れたりもするんですけど、頭の位置が良くなかったので切る状態も良い切り方じゃなかったのだと思います。基本的なことをしっかりやれば勝てる試合でした。悪いところが全面に出てしまったのだと思います。

――あすへ向けて

多胡島(伸佳、スポ3=秋田・明桜)はいつもやっているスタイルを貫き通してもらいたいですし、こういった大会で優勝できるようになれば世界にも視野が広がっていくと思います。この大会で勝てなかったら記念大会みたいになってしまいます。多胡島はそれくらいのレベルの選手じゃないので世界を目指してもらいたいです。レベルの高い選手がいれば自然と他の選手も自分も、というようになってさらにレベルが上がっていくものなので、なんとか多胡島に関しては優勝して世界選手権に出てもらいたいと思いますね。髙橋(海寿々、スポ1=東京・大森学園)はとにかくここ何試合かは課題が多いので、課題を克服してくれるような内容を少しでもやってもらいたいなと思いますね。

香山芳美(スポ2=東京・安部学院)

――きょうを振り返って

試合前から気持ちが乗らなくて、それが試合にも影響したかなという感じです。普通にやれば勝てた相手だったと思うんですけど、まあ気持ちの問題だと思います。

――では、敗戦の原因は気持ちが大きいと

はい。試合中に負けていても(ポイントを)取らなきゃという焦りも特に感じず、いつものような必死さが出ていなかったのではないかと思います。

――アジア選手権からの調整が上手くいかなかったのでは

4月のジュニアクイーンズカップのときは減量が上手くいかなくて苦労しましたが、アジア選手権のときから減量に関しては上手くいっていて、国内で勝つことを目標にしてきたのですが、なんでしょうね。最後にモチベーションを上手に保つことができなくて、集中してマットに上がることができませんでした。

――今後に向けて、気持ちをどう立て直しますか

きょねんもこの大会では初戦で格下の相手に負けていたのですが、そこからリベンジして天皇杯(天皇杯全日本選手権)で3位という結果を得ることができました。ことしもこれをバネにして、このあとも世界ジュニア選手権やインカレ(全日本学生選手権)などの大きな大会は続くので気持ちを持っていって優勝できるように頑張りたいです。