シーズンの集大成となる天皇杯全日本選手権(天皇杯)がいよいよ幕を開ける。3回にわたってお送りする連載の第1回目は女子部。田中亜里沙(スポ4=埼玉栄)、金子和(社3=群馬・大泉)、香山芳美(スポ1=東京・安部学院)の3選手からお話しを伺った。今大会で引退となる田中、新体制で最上級生となった金子、大学生として初めての挑戦となる香山。それぞれどのような思いで天皇杯に臨むのか――。各学年の立場から、意気込みを語っていただいた。
※この取材は12月9日に行われたものです。
今季の振り返り
今シーズン、女子部キャプテンを務めた田中
――1年の振り返りをそれぞれお願いします
田中 私は今シーズンで引退すると決めてから、気持ち的に楽になって思い切り戦えたのではないかと思います。
金子 私は早生まれだったこともあって、最初の方はジュニアの区分の試合にも出られました。優勝できる大会ではきちんと優勝できたので、良かったと思います。
香山 入学したばかりの頃は、調子が上がらず思うような成績も残せていませんでした。そこから少しずつ調子が上がってきて、2つの大会で優勝できたので、良かったと思います。
――3選手ともに海外遠征も経験されたシーズンとなりました
田中 世界学生選手権とブラジルカップで海外遠征の機会をいただいて行ってきました。世界学生選手権の方では少し気が抜けたところがあって最後にやられてしまいましたが、ブラジルカップでは課題も克服できて国際大会を通じて少しは経験を積むことができたかなと思っています。
金子 世界ジュニア選手権の試合自体では、全然動くことができませんでした。遠征自体はクロアチアという国に行ってきて、とても良い国だと思いました。人間的な面では成長させてもらって、試合では反省することばかりでした。その経験をもとに、日本に帰ってきて課題を修正してきました。
香山 韓国遠征では向こうのナショナルチームの選手と練習できて勉強になりました。11月のニューヨーク遠征はいままで学生対象の遠征しか経験したことがなかったのですが、社会人の中に交じっての遠征でした。これまでのものだと規則などに縛られて行動などをしていましたが、その遠征は自分に任されていた部分が多かったです。そういう面はこれからシニアの方で遠征とかも多くなってくると思うので、勉強になりました。
――田中選手は明治杯全日本選抜選手権での吉田沙保里(ALSOK)選手との対戦を振り返っていただいていかがですか
田中 雲の上の存在の選手を相手に思い切りいけたことが良かったのかなと思います。少し自分の良さも出すことができたかなと感じました。ただ、その後の全日本学生選手権(インカレ)でこれは1年の時からの課題なのですが、競り合った展開に持ち込みたい選手、勝たなくてはいけない選手に勝ち切れなかったので、天皇杯ではそういう選手にしっかりと勝ち切りたいと思っています。
――女子部で唯一の4年生として、心掛けていたことはありますか
田中 (下級生を前にして)ここで言うのもなんですが、あまり引っ張ることはできなかったかなと思います。大した貢献はできなかったかなと思いますね。指導というものがうまくできませんでした。一応、自分の中では練習などで背中で見せてきたつもりですが。全日本女子オープン選手権(女子オープン)では後輩たちが本当に頑張ってくれて、良いかたちで区切りがつけられたと思っています。それが今シーズンの女子キャプテンとして一番うれしかったことです。
――金子選手はインカレで敗れた入江ななみ選手(九共大)に女子オープンでリベンジを果たされていますが、成長した部分とはどこでしょうか
金子 インカレだけではなくて、大学に入って1度も勝ったことがない選手です。これまで何度か対戦したことはありますが、勝てませんでした。たまたま女子オープンで勝てたなというかんじです。
田中 謙虚ですね〜。もっと自信持ってもいいんじゃない?
金子 いや。でも本当にたまたまなので。良かったことと言えば、点を取られていた部分がなくなったことかなと思っています。そんなに変わったことは特になかったんですが、インカレと女子オープンでは気持ちの面で違ったのかなと思いますね。インカレとは違って、女子オープンは気楽に試合に臨めて逆によく動けたかなと感じます。
――香山選手は高校と大学でのレスリングで違いを感じた部分は具体的にどのような部分ですか
香山 高校では脚に触れたら攻める、取れると思うことが多かったですが、大学に入ってくると強豪と言われる選手は総合的にどの部分をとっても強いなと感じました。いままでだったら、ここまでいけば仕掛けられるという感覚のある場面でも、相手の技術などで封じられてしまうこともあるので。パワーの面でも技術の面でも、もっとレベルをあげていく必要があるなと感じました。
2年ぶりの女子部員「入ってきてくれてうれしかった」(田中)
上級生にかわいがられていた香山
――ことしは2年ぶりに女子部員が入部されました。後輩が入ってくることをどのように思っていましたか
田中 素直に(女子部員が)途切れなくて良かったなと思いました。私が抜けて女子部員がいなくなってもおかしくない状況だったので、ここで入ってきてくれてうれしかったですね。
金子 私は高校の頃から女子1人という中でやってきて、女子の後輩はできませんでした。また高校と同じようになるのかなと思っていたときに、後輩2人入ってきてくれました。そういう意味では初めての後輩なので少し戸惑いもありましたが、素直に入ってきてくれたことはうれしかったですね。
――女子部員の方は総勢4名と少ないですが、練習などで工夫されていることはありますか
田中 芳美とかは、男子とやっているよね。階級などの違いはありますが、男子もガンガン練習相手をやってくれるので。男子の技術は女子にはない素晴らしいものがあるので、他の大学に勝るところと言えば競った練習とは言えませんが、そういう技術の部分を盗めるところだと思います。
金子 自分よりも体の大きい人でもかまわず相手になってくれますね。
田中 頼めば前川(勝利、スポ4=茨城・霞ケ浦)だってやってくれるよね?あんまりやらないか(笑)。それでも、大きい先輩も遊んでくれますね。体格は違っていても細かい技術の面で盗んだ技術を生かすことができるので、そういったところは良いと思います。
――女子部員の方は一人暮らしをされていますか、それとも寮に入っていらっしゃいますか
田中 3、4年は一人暮らしで1年からは寮住まいですね。
香山 いまは田無の寮に住んでいます。ことしから田無に体育会の寮ができたので、そこに住んでいます。
――自炊などはされていますか
田中、金子 うーん…。気持ちでは頑張っていますね。(笑)
田中 寮は食事が出るか。でも、芳美は料理好きだよね?
香山 料理は好きなので、作ったりしますね。
田中 寮住まいの方が自炊はよくやっていますね。(笑)
――お互いの第一印象を教えてください
田中 和は気が強いのが入ってくるなと思いましたよ、本当に。気が強そうじゃないですか、顔から見ても、ねえ(笑)。階級も一緒ですし、嫌だなと思ったのですが、いまとなったら和がいてくれたから天皇杯まで頑張れていますし、大きい存在だなというのはすごくあります。嫌だったわけではないよ(笑)。芳美は1年と4年ということもあって高校で重なっていないので、私はあまり知らなかったかな、ごめんね(笑)。でも4年の時に1年生が入ってくるということで、しっかりしないといけないと思っていて。あとどんな子かなと思っていました。どんな子だったんだろう?うーん、力強いなと(笑)。レスリングの力が強いなという第一印象でした。
金子 亜里沙さんに関しては、不思議な人みたいな(笑)。最初はふわふわした感じを受けて…。そんな感じです。何を思っているのかな?とよく思っていました。芳美はやはり安部学院高のキャプテンという話を聞いていて、どんな感じの子かなと思っていました。会ってみたらやはり礼儀正しくて、すごくしっかりしているなという印象を受けて、後輩としても良い子だなと思いました。
香山 亜里沙さんは初めて会ったのがたぶん高校選びの時だったのですが、お姉ちゃんみたいですごく面倒見がいい人ですね。実際入っても面倒見がいいです。ちょっとお母さんみたいな(笑)。和さんは遠征に一緒に行ったのですが、その時は全くしゃべらなくて、クールで話しかけづらかったのですが、話してみたら面白いなと。
――いまではどのような印象を持っていますか
田中 だいぶ変わりました。(和は)最初気が強そうで怖いなと思っていましたが、4年生は部を引退してちょうど代も変わっているんです。私が1年間女子のキャプテンと主務をやってきて、和に役職を引き継ぎました。和はすごくしっかりしているので、チーム的にもまとめ役になっていくのではないかなと。正直、男子よりもチームをしっかりとまとめていってくれるのではないかなと思います。あと話し出すととても面白いです。ちょっと口が悪いのは秘密ですけれども(笑)。それは群馬県出身者の特徴ということにしています(笑)。でもすごく面白いです。芳美はまだ読めていないですね。これが普通なのか普通じゃないのか、読めないですね。謎キャラで慎重にいっています(笑)。
金子 亜里沙さんは忘れ物が多い方なのですが(笑)。大事な時に「あれ?ない?」みたいな。焦っている印象をすごく見てきたので、逆にそこをしっかり反面教師でやっていこうと思っています。芳美はやはり高校時代のキャプテンというイメージがあったので、あまりでも話さない感じに見えたのですけれども、こうやって話すとすごくいろいろしゃべってくれてしかも結構笑うし、こんな明るい子だったんだなという印象に変わりました。
香山 亜里沙さんはおっちょこちょいなイメージはありますが、いざ相談したりとかいろいろ話したりすると、すごく真剣に聞いてくれて返してくれます。年が離れていることもありますが、そういった部分はすごく尊敬できる部分ですね。自分も4年生になった時に後輩にこうやって接してあげたいなと思います。和さんはさっきも言ったのですけれども、見た目としゃべった時のギャップが面白いなと(笑)。
穏やかな表情で語る金子
――レスリングを始めたきっかけは何ですか
田中 私は兄(田中幸太郎、平25社卒=現阪神酒造)がやっていたということもあるのですけど。上に姉もいまして私が小学2年の時に言われたのがきっかけですかね。でも姉はピチピチのユニフォームを着たくないと言い始めて、私も真似をして嫌だと言っていました。でも、大会などで優勝したら自転車を勝ってあげるよって言われて。末っ子でお下がりばかりだったので、まんまと引っかかってレスリングを始めました。それで辞められなくなったパターンです。
金子 私も兄がやっていてたぶん練習に連れられて行ったのがきっかけだと思います。でも、それは3歳の時なのでほとんど記憶になくて、ズルズル辞められずここにいます(笑)。
香山 私は父が神奈川国体の時にレスリング競技を仕事で担当していて、そこで市の体験教室みたいなものに参加したことがきっかけですね。他にもいろいろスポーツはやっていたので、その一つとして始めてレスリングが最終的に残ったという感じです。
――他にやっていたスポーツは何ですか
香山 他は水泳、テニス、柔道、相撲です。
――その中でレスリングが残った理由は何ですか
香山 他のスポーツだと小さい子向けの試合自体が少ないことですかね。レスリングだとちびっ子から試合に出られますが、他のスポーツはそんなに試合がない分、結果が出ないじゃないですか。やっているとそれはそれで楽しいのですが、レスリングは結果で目に見えるのでたぶん一番面白く感じられて続けられたと思います。
――田中選手、金子選手はレスリング以外にスポーツはされていましたか
田中 私は柔道をやっていました。柔道がもともとで3歳くらいからやっていて、中学までは柔道とレスリングを、高校からはレスリングに絞ってというような感じですね。
金子 私は水泳をやっていて小2、3くらいで水泳は辞めて、中学は柔道部に一応入っていたのですが、幽霊部員でした(笑)。レスリングがきつすぎて部活には行かなかったです。試合だけ参加していました。
奥が深いスポーツ
――レスリングの魅力は何だと思いますか
田中 奥が深いです(笑)。私はこの引っかけだったり何て言うかな?そのちょっと本当に数ミリとかの違いなのですが、そういうところで相手を動かしたりとか相手との駆け引きだったり技のそのテクニック、最低限のルールだけが決まっていて大きくやってはいけないことはないので、追求していけばいくらでもできるのでそこが私はすごく好きなところというか、レスリングの魅力ではないかなっていうふうに感じています。
金子 やはり奥が深いというのは共通してあるかなと思うのですが、ルールは一緒でも一人一人の個性がすごく出るスポーツではないかなと思っていて、同じ技をやっていてもこの人はこういうふうにやる、あの人はこういうふうにやるみたいな、その人にやり方がそれぞれあるので、やはり飽きがないです。
香山 一番思うのは、道具を使わないじゃないですか。私はテニスなどもやっていましたが、道具を使う競技は自分がそんなに器用ではないので(笑)、自分の身体だけでできるっていうのは魅力かなと思います。
――レスリング以外にスポーツ観戦などされることはありますか
田中 結構好きですね。ことしで最後なのでできるだけ友達の、引退する人が多いのでできるだけ積極的に観に行こうと思っています。柔道だったりラグビーだったり観戦しに行っています。他の競技ももっと行きたいなというのはあります。
金子 私もスポーツ観戦が好きで、フェンシングの早慶戦や柔道の早慶戦とかも観ました。テレビでやっているスポーツなら、フィギュアスケートとかやっていれば見ていますね。
香山 柔道、ボクシング、プロレスなど格闘技系を見るのは結構好きなんですが。他の競技も嫌いではなくて友達とかも結構やっているので、家で見たりはしたりはしますがルールがいまいちよく分からないので(笑)。あまり観戦までは行かないですね。テレビとかでチャンネルを回していてやっていたら見るくらいです。
――レスリングをやっていて良かったと思う時はどのような時ですか
田中 4年になってこの時期に引退直前になって本当にレスリングをやっていて良かったなというか、レスリングがあったからいまの私がここにいられるのだろうなと思いますね。高校の進学もレスリングですし、大学の進学もレスリングで、就職もレスリングで成績を見てもらって就職させていただいて。レスリングをやっていなかったら高校にも行ってないかもしれないですね。レスリングをやっていて良かったなというのは本当に思いますね。
金子 私もレスリングをやっていなかったら、ワセダにも進学できていないと思いますし、やっていたからしっかりとした道を歩めていると思います。ちゃんと歩んでこられた部分で競技をやっていて良かったなと思います。
香山 私の出身高校は特にレスリング部の活動がさかんでしたが、普通の高校生とか見ているとレスリングをやっている分、練習などはさまざまなきついことはあったと思います。それでも他の人では経験できないようなことは経験しているなとすごく感じています。人間関係などもそうですし。レスリングを辞めた時にも自分の将来につながっていくようなことが競技を通じて学べたのではないかなと思います。
――逆にレスリングをやっていてつらい時はどのような時ですか
田中 うーん…。試合で負けた時つらいですね。悔しいですね。
金子 朝練がつらいですね。朝練が6時で結構早いので。芳美なんか寮住まいでもっと早く起きているんですけど。私は小さい頃の方がきつかったので、練習はそこまでつらくはないです。それでも、きついことがあっても頑張れます。
香山 高校が一番きつかったのですが、いまは朝起きるのが早い時は4時台くらいに起きるので、帰り遅かったりすると寝る時間が少ないのはつらいですね。あとは楽しくてやっているので試合とかで負けてつらいこともあるのですが、でもそれは練習して強くなればいいことなので、あまりつらいとは思わないです。
終始和やかな対談となった
――ワセダを選んだ理由は何ですか
田中 私は兄がいたので、それが大きいですね。
金子 私は群馬県出身なので、もともと関東の大学に行くというのは決まっていたのですが、その時一番強かったのがワセダで。名前的にもワセダがいいなと思っていて、高校でも附属の高校に進学しようかも迷ったのですが。大学はワセダに行こうと思っていました。
香山 私は、中2の時にちびっ子クラブにワセダの部員さんたちが合宿に参加しに来てくれて、その時の雰囲気を見てすごく楽しそうだなという印象がありました。中学校時代にその練習した段階で周りの人にワセダに行きたいというふうに言っていました。
――そういう交流はよくやられているのですか
香山 私は自分のちびっ子クラブのコーチと太田拓弥コーチが大学の先輩、後輩の関係だったので、そういう縁もあって練習には入学前も参加させてもらうことなどはしていました。
――朝練は週にどれくらいやっていますか
金子 火曜から土曜まで毎日あります。
――朝早くの6時から始めるのは何故ですか
金子 授業が早い人は1限で9時からあるので、それに合わせて6時からですね。
――大学卒業後もレスリングを続けたいですか
田中 私はもう。
金子 いや、亜里沙さんは続けますよ(笑)。
田中 私は教員としてレスリングに関わっていきたいな、指導者の方で関わっていけたらなと思っています。
金子 (亜里沙さんは)たぶんそのうち天皇杯に出ています(笑)。私もまあ、いまのところはもう企業に就職を考えていて、そっちの方向で進めているかたちなので、現段階ではやらないかなという感じです。
香山 私はもう入る時に、「オリンピックに行きます!」と言って入ってきているので、東京オリンピックを現実的に目指しています。自分が3、4年生になった段階の成績で、挑戦できるかできないかというのは分かると思うので、その段階に行けるようにまずやれることをしっかりやってという感じです。
――試合前の緊張をほぐす方法など自分で決めていることはありますか
田中 私は高校の終わりくらいから大学3年くらいまで、高校2年くらいまでは勝てていたのですが、その後成績が出なくてそういう時本当に緊張して思うように動かなかったりとか、メンタルトレーニングとかも練習したりいろいろ試してみましたが難しくて。メンタル面でうまく持っていけなくてずっと悩んでいましたね。でも、大学4年になって引退するって決めてからすごく気持ちが楽になって試合に臨む時に緊張はもちろんあるのですが、試合ギリギリまでは緊張していてマットに上がったら、すごくリラックスして立てるようになっていますね。気持ちの持ち方次第だとは思うのですが、何でことしはリラックスして戦えているのか、自分でこううまくいっているとかはないのですが、今シーズンはすごくそれを感じましたね。良い緊張感を持てるようになっているなというのはありました。
金子 まだ探し中です。あまり分からないですね。試合前になったら、結局何も考えていないと思うのですが、そのままマットに上がっているので、ちょっとこれから見つけたいです。
田中 あまり考えない方がいいよ。
香山 ありますか?(笑)自分が勝てている時のパターンがすごく切迫詰まって追いつめられている時か、本当に何も考えずに負けてもいいやくらいの感じでいっている時かのどちらかで、中途半端のところにいる時がいつも駄目なので。どちらかに持っていこうとはしているのですが、それをどうやって持っていくかというのはちょっと難しいです。
自分に勝つレスリングを(金子)
――内閣総理大臣杯全日本大学選手権後、新体制となりましたが雰囲気はいかがですか
金子 私が最上級生となって洞口幸雄(スポ3=岐阜・岐南工)をキャプテンにチームが動いているのですが、雰囲気としては最近そんな悪くもなくてみんな少しずつ声も出てきて私的には良いなというふうに感じています。それでも、まだ上げきれていない部分もありますし、まとまり的にもまだ幸雄が自分に自信が持てていない部分があると思うので、そこが出てきたらもっと良いチームになるのではないかなと感じています。
香山 まだ1年生であまり女子は団体戦とかもあまりないので、チームがどうこうというのはあまり考えたことはないのですが、上の先輩方の世代交代を見て、いずれ自分たちもやっていかないといけないことだと思うので、しっかり見て勉強していきたいと思っていますね。新チームになり少し時間も経って雰囲気も下から感じるところは練習しやすい雰囲気になってきたなと思うので、自分たちも下級生だからおとなしくしているのではなくて、逆に先輩たちを下から押し上げられるように頑張りたいです。
――天皇杯まで2週間を切りましたが、いまはどのような準備をされていますか
田中 私はいま、卒業論文と教習で追い込まれていまして、あまりもともとやっていない自分が悪いのですが練習があまりできていない状況です。今週には卒論をしっかり終わらせたいですね。試合1週間前とかですがこれからもがいても仕方ないので、しっかり技の確認と心の準備とその最後の試合に向けての調整をやって、そしてしっかりと向かっていけたらなというふうには思っています。ただいまは卒論を終わらせることを最優先にやっています。
――金子選手、香山選手は天皇杯に向けてどのような心境ですか
金子 私もちょっと企業のインターンシップに参加して、火曜日くらいまで練習できない状態なのですが、その中でもさっきも言ったのですが、気持ちの面では持っていけるようにしっかりしていきたいなと思っていています。インターンシップも全力でやって、戻ってきた時に切り替えてしっかりできるように準備をしたいなと思っています。
香山 大学入って1年経つので、そのやってきたことをしっかり出せるように、入学して調子が悪かった時とかにこれまでお世話になった人や周りの人たちに大学選びを失敗したのではないかということも結構言われてきた部分もあります。そのように言われて悔しい気持ちもあるので、それを見返せるように、ワセダで間違っていなかったと思えるような試合ができるようにしたいなと思っています。
――天皇杯の目標を教えてください
田中 私は最後ということで、今回いろんな人が応援に来てくれるというふうに言ってくださっているので、いままでやってきてつくり上げてきた自分のレスリングを出したいなと思っています。そのようなことを試合に向けて気持ちを持っていくのにあたり、すごく感じています。思い切り楽しんで、楽しんだ時に自分の一番良い動きと強さが出ると思うので、相手が誰であろうと最後笑って終われるように。勝っても負けても笑って終われるように、そんなレスリングを天皇杯ではしたいと思います!
金子 53キロ級も結構層が厚くなってきて、(非オリンピック階級の)55キロ級から落としてきている選手とかもいるので。大変な階級ではあるのですが、競った時に自分に負けないというのがまず1つの目標ですね。やはり自分に勝てないと相手にも絶対に勝てないと思うので、そこを課題に今回は試合の中で、自分に勝つレスリングをしたいなと考えています!
香山 天皇杯には高校1年生の時から出ているのですが、まだ一度もメダルを取ったことがないので、まず今回メダルをしっかりと取りたいというのと、出場者の中に年下の選手が結構いたのですが、自分は年下の相手と対戦する時に、すごく舞い上がってしまって自分の動きができなくなってしまうので、そういった部分も修正してしっかりとやっていけたらいいなと思っています!
――ありがとうございました!
(取材・編集 河野美樹、高畑幸)
天皇杯への目標をそれぞれ書いていただきました!
◆田中亜里沙(たなか・ありさ)(※写真左)
53キロ級。埼玉栄高出身。スポーツ科学部4年。田中選手の卒業論文のテーマは「ダウン症児と自閉症児のレスリング教室の発展」だそうです。指導者を志す田中選手の姿勢がテーマ設定にも表れていますね。
◆金子和(かねこ・のどか)(※写真中央)
53キロ級。群馬・大泉高出身。社会科学部3年。色紙に意気込みを書く際に、バランスに気をつかって最初は定規を使ってレイアウトをしていた金子選手ですが、最終的には描いた線を消して、直感で書いていただきました。
◆香山芳美(かやま・よしみ)(※写真右)
60キロ級。東京・安部学院高出身。スポーツ科学部1年。自炊が好きな香山選手の得意料理は『牛スネ肉の赤ワイン煮込み』だそう。これには田中、金子選手とも「寮暮らしなのにすごい!」と感心なさっていました。