社会人対象の大会ながらオープン参加で、ワセダから女子3選手が出場した今大会。6月下旬の東日本女子学生選手権を制した香山芳美(スポ1=東京・安部学院)が優勝を果たしたが、試合内容は満足できないものとなった。
60キロ級の出場者が3選手で総当たり戦となった香山。1試合目の相手は高校の先輩で「試合前はびびっていました」と言う。試合は開始早々に動く。1ピリオド(P)25秒、左足をつかんで背中に回り先制点を奪う。しかし中盤はタックルに入ったところを返され失点を重ねる。前半を2点ビハインドで終え追う展開となった。だが2Pではバックで追いつき、投げ技も決め最後はフォール勝ちを収めた。2試合目も香山は最初から攻撃を仕掛けていく。バックを取ると足首を固め3連続のローリングでリードを得る。タックルで右足をつかむと、そのままフォールの姿勢に持ち込んだ。優勝を果たしたものの「正直に言うとあの試合は負け試合」(太田拓弥コーチ)、「悪い点が出てしまった」(香山)と反省点が多く挙げられる内容となった。
香山は初戦で苦手意識のある相手に勝利した
一方、53キロ級・金子和(社3=群馬・大泉)は初戦で明治杯全日本選抜選手権2位の入江ななみ(九州共立大)とぶつかった。序盤はフェイントや組み手で良いかたちを見せる場面もあった。しかし両者とも決定的な技を掛けることはできずに1Pを折り返す。勝負をかけた2P。試合が動いたのは1分30秒過ぎだった。4点の投げ技を許すとペースを持っていかれる。相手のたたみ掛ける攻撃が続いたが、必死のディフェンスでフォール負けを免れた金子。立て直しをはかりタックルに入ったところを逆にカウンターで失点してしまう。その後も得点を奪われテクニカルフォール負けを喫した。太田コーチは「自分でこれと決める技がなかった」と敗因を指摘した。
組み手は光るも決定的な技は出なかった金子
48キロ級・須崎麻衣(スポ1=千葉・鎌ケ谷)を含め、内容は3選手ともに満足できるものではなかった。全日本学生選手権(インカレ)まで2ケ月を切った。大会まで短い期間ではあるが、実戦で見つかった課題を一つ一つ修正していきインカレに臨みたい。
(記事 高畑幸、写真 三尾和寛、戸田郁美)
結果
女子
▽48キロ級
須崎 4位
▽53キロ級
金子 1回戦敗退
▽60キロ級
香山 優勝
▽63キロ級
西牧未央(スポ院3) 4位
コメント
太田拓弥コーチ
――金子和(社3=群馬・大泉)選手の試合を振り返っていただいてどうでしょうか
前半は組み手で良い勝負ができていました。やっぱりここで攻めるというたたみ掛ける攻撃で相手と差が出たと思います。また相手の体が一回りくらい大きくて、力強さなどに差を感じました。投げられた後に返されて簡単にバックポイントを許したりして、無駄な点数が多かったです。自分でこれと決める技がなかったことが敗因かなと思いますね。
――香山芳美(スポ1=東京・安部学院)選手の試合について、課題は見つかりましたか
これまでの試合を見ていて思うことは、負けている時は無理に強引にいってしまって失点するなど前さばきからのタックルで攻めることはこれからも継続してやっていかないといけないなと。それに相手の首を抱えてからのチャンスの時にポイントを取り切れていないので、そういった基本的な部分はこれからしっかりやっていかないと思いました。
――タックルなどの攻撃面についてはどのような印象がありますか
正直、分からないですね。JOC(JOC杯ジュニアオリンピック)で敗れた相手とまたやるしか実力を比べることはできないと思います。それなら4月の終わりからこの2ケ月間でどれくらい差が縮まっているか分かると思いますが。まだまだ無理にタックルに入ってかわされてバックを許すかたちが抜けていないので、課題として残っているがありますね。優勝しましたが正直に言うとあの試合は負け試合ですね。相手が完全に体力を消耗してバテて動きが止まっていたので、あのようなかたちで最終的にフォールできましたけど。体力があって6分間動ける選手との試合だったらポイントは取り切れなかったと思うので。優勝したからと言って、そのような点を薄くしていくとまた同じことの繰り返しになってしまうので。今回の反省を踏まえて次に生かせればなと思います。
――須崎麻衣(スポ1=千葉・鎌ケ谷)選手についてはどうでしょうか
要所要所で粘りを見せましたが、まだまだ体力の差や返し技のディフェンス面、組み合った時に先に手を置かれる、リードする展開でプレッシャーを掛ける、タックルに入った時の処理など基本的な体力や技術など、土台をもっともっと上げていかないとこの差を縮めるのは厳しいかなと思いますね。
――全日本学生選手権までに修正していきたい部分はどこですか
チーム全体の課題として、体力などの基本的な部分をつめていかないといけないと感じています。
香山芳美(スポ1=東京・安部学院)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
初戦が高校の先輩でいままでの練習では1点も取ったことがなかったので、試合前はびびっていました。そこを勝てたので安心しています。ただ試合内容で監督やコーチにも言われたのですが、自分の駄目な部分がありました。タックルで飛び込んでしまって点を取られたり、課題にしているがぶりでもそこから点数につなげられなかったので、悪い点が出てしまった試合でした。そこをこれから練習していきたいです。
――2試合ともフォール勝ちでしたがそのことについてはいかがですか
フォール勝ちは素直にうれしいですが、その中でもっと内容が良い試合ができるようになりたいです。
――タックルについてきょうの試合で意識したことはありますか
課題がタックルに入る前のさばきや崩しなのですが、それをコーチと練習しようとずっと話してきました。練習で意識してやっていても試合になると飛び込む癖が出てしまいます。練習したことを試合で出せるようにしたいです。
――ディフェンスについてはいかがでしたか
相手のタックルを切ってからポイントにつなげるというのがきょうは全くできず、がぶった後は中途半端になってしまい、点数が取れませんでした。そこは先輩たちにもうまい選手がいるので、これからどんどん練習していきたいです。
――前半のシーズンで見えた課題は何ですか
課題は4月からずっと言っていることと同じで、タックルに入る前の組み手とさばき、飛び込む癖をなくすことです。あとはグラウンドで返せるようになることです。
――全日本学生選手権(インカレ)に向けてどのような準備をしていきますか
インカレまで期間が短いですが、メンバーも4年生まで強い選手が集まってくるので、その課題をしっかり練習して直していくことが一番だと思います。そこを完璧にしていくのは難しいですが、あとは気持ちの面などをしっかりつくって臨めるようにしたいと思います。