まさかの敗戦も、次戦へ収穫

レクリング

 明治杯全日本選抜選手権(明治杯)の2日目が代々木第二体育館で行われ、早大からは4人の選手が出場した。初日に続く良い結果を残したい早大だったが、優勝を狙ったグレコローマンスタイル(グレコローマン)96キロ級の大坂昂主将(スポ4=秋田商)が準決勝で姿を消すなど波乱の展開。グレコローマン66キロ級で中井堅太(社3=南京都)が3位で表彰台に登るなど明るい材料もあったものの、厳しい結果となった。

 早大勢で最初に登場したのは、グレコローマン66キロ級の花山和寛(社4=愛媛・八幡浜工)。初戦の相手はオリンピック銅メダリストの松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)と厳しい戦いが予想された。1ピリオド(P)ではバックを取られ0-2で折り返したものの、2Pでポイントを取り返し同点。その後も相手の攻撃を必死で耐え、このまま勝利なるかと思われたが終盤にローリングを取られ2-4で惜しくも敗戦した。1回戦での敗退となってしまったが、強豪相手に善戦を見せた。同じくグレコローマン66キロ級に出場した中井は2回戦から登場。1P序盤に投げ技で先制しその後もポイントを重ねていく。途中1ポイント差まで詰め寄られたものの、2P終盤に相手を突き離す。テクニカルフォール勝ちを収め、表彰台が確定。本人は「組み合わせが良かった」と謙遜するものの、価値のある3位となった。

花山は五輪代表に惜しくも敗戦

 一方で、グレコローマン96キロ級の大坂主将は本来の力を出し切れなかった。初戦となった2回戦では相手を寄せ付けずテクニカルフォール勝ち。しかし、続く準決勝には意外な落とし穴が待ち受けていた。1P序盤、大坂主将は果敢に攻めた。すると相手が2回の注意を出され、大坂主将はグラウンドでの攻撃を選択。しかし、そこで得意のローリングが決まらず徐々に流れが相手に渡ってしまう。「体力不足が一番の敗因」と本人が語ったように、序盤の攻撃の疲れからか連続でローリングを奪われるなど7ポイントを失い、1-7で1Pを終える。続く2Pでは大きな点差からこう着状態が続き、そのまま1-7で敗戦。優勝はおろか、準決勝での敗退という予想外の結果となった。

大坂は決勝進出もかなわなかった

 2日目は優勝者なしに終わったが、収穫が無かったわけではない。今大会から適用された新ルールに合わせた戦い方を作り上げていく中で、きょうの経験は選手たちにとって大きいはずだ。今大会の反省を活かし、新しい戦い方をしっかりと確立させていくことが今後のカギとなる。

(記事 辻玲乃、写真 井上義之、末永響子)

結果

▽グレコローマン

▽男子グレコローマンスタイル

66キロ級  中井堅太(社4=南京都)    1回戦敗退

▽グレコローマン

96キロ級 大坂              3位

▽女子

55キロ級 小黒真愛(法4=埼玉・早大本庄)1回戦敗退

コメント

太田拓弥コーチ

――まず、大坂昂主将(スポ4=秋田商)についてはいかがでしょうか

グラウンドで返しきれず、ちょっとあわてちゃったかなという感じでした。全部自分のミスでもう一本とられてしまったので、もったいなかったですね。

――グラウンドで得意のローリングが決まらなかったのが勝負の分かれ目でしたか

それもありますし、その後しのげる部分で無駄な失点をしてしまったのがね。

――2ピリオド目もポイントを取れませんでした

点差があって、グラウンドで返せないという状況だったので、コーションで失格勝ちを狙うしかない試合内容だとピリオド間に言っていました。しかし、体重差がちょっとあって、押し込みきれなかったですね。

――3位に入った中井堅太(社3=南京都)選手については

準決勝までいって良しという感じですかね。右利きなら右腕を差して、左は相手の肩の上から回すというのが基本なのですが、準決勝のALSOKの音泉選手とはケンカ四つで、(左利きの音泉に)左を差されて(中井選手の右を封じられて)しまって仕方なく左を差すという逆のことをやってしまっていました。そこで強引にいってバックをとられて、勝負所でやられてしまったというのがあって負けてしまったので、そこを改善しないと全日本の決勝の舞台には立てないと思いますね。まあ優勝候補の選手とやるところまでは実力がついてきたので、あと1年で決勝の舞台に上がれるまで力をつけていけたら良いなと思います。

――ロンドン五輪グレコローマン60キロ級銅メダルの松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)に善戦した花山和寛(社4=愛媛・八幡浜工)選手はいかがでしょうか

向こうが怪我していた部分もあって押し込みが足らなかった分、花山の攻撃が生きてポイント取ることができて、自信がついたかなと思いますけど、差されてバックを取られてしまったのであの試合はもったいなかったですね。勝てる内容だっただけに。

――保坂健(スポ3=埼玉栄)選手の棄権というのは

1週間ほど前に足の甲に菌が入って、膿がたまってまだ腫れていて熱もありました。本人のタイプからして、練習を積んで積んで積んで納得して試合に臨む調整方法なので、怪我してもやれるところまでやっていこうということで調整していたのですが、熱が下がらなくて体調も順調では無いというところで、最後は本人の意志に任せて足が万全ではないということで棄権ということになりました。

――インカレへ向けていかがでしょうか

今言ったような課題、それから新人戦から新しいルールになったということで、やることは変わらないのですが、きのう学生とのミーティングでも話しましたが、いろんな意味での力をつけないといけないと。攻撃力であったり、体力であったり、相手をひっくり返す上半身の力であったり、全てが無いといけないので。もう1回一から鍛え直して、上位を独占できるような、選手層も厚くなってきましたので、そこら辺を頑張らせてインカレでは優勝できるようにしたいです。

大坂昂主将(スポ4=秋田商)

――きょうの結果について率直な感想を

ルールが変わって、いつもよりも攻めたのですが、バテましたね。体力というか練習不足ですね。

――きょうの調子は

調整はうまくいってなかったんですけど、朝の調子は良かったのかなと。気合いも入ってましたし。自分のやりたい動きもできたので調子自体は悪くはなかったです。

――準決勝では第1ピリオドでグラウンドからポイントを奪えなかったことが勝負の
ポイントでしたか

体力不足がなによりの敗因で。最初の2分くらいは自分から攻めて、コーションを2つ取ったんですけど、そこからの自分がグラウンドで乗られた時も手がパンパンで力が入らなくて決められてしまって、そのあとのディフェンスでも手がパンパンで守れなかったので。やはり最初も言ったように体力不足が原因です。

――ルール変更の影響は大きかったのでしょうか

僕はこのルール好きなので。やってて楽しいので。でも楽しいだけでは勝てないので。きょうやってみて、体力がなければ勝てないようなルールですし、強い人が勝つようにできているルールだと思うので、今のままでは勝てないということが分かったので、調整しなおすことができるなあと。良い経験になりました。

――次戦のインカレに向けて

インカレは2年の時から優勝しているので、学生の大会で負けているようじゃ、世界を目指せないので、世界で勝てるようにまずはインカレ3連覇を目指して頑張ります。

花山和寛(社4=愛媛・八幡浜工業)

――初戦がオリンピック銅メダリストとの対戦でしたが、組み合わせを見たときはどのように思われましたか?

自分は減量も結構していて、こんな苦しいことしたのだから、せっかくだから優勝しようと思って今回きたので、組み合わせ見ても誰が相手でも全力で当たっていこうという風に思っていて、そんなにビビったりはしなかったですね。

――実際に今日の試合を戦ってみてどうでしたか?

実際やってみて、差はそんなにないって感じたので、細かい技術面で相手が上回っていたので、これからは自分も細かい技術を伸ばしていこうと思います。

――最後にインカレに向けて


目標は優勝なのですが、課題は今回減量したんですけど、体調が悪くなってしまったので、もうちょっと減量の仕方を考えていこうかなと思います。

中井堅太(社3=南京都)

――3位という結果はどう受け止めいらっしゃいますか

くじ運というか、組み合わせが良かったと思うので実感はあまり無いです。

――準決勝は強豪の音泉秀幸(ALSOK)選手との試合になりました

天皇杯でも試合をやったのですがその時の方が良い勝負ができたかなと。差が開いちゃったかなと。

――インカレに向けていかがでしょうか

インカレは大学生だけなので優勝狙って、その後の全グレのレギュラー取れるようにインカレでいい成績を残したいです。