優勝まであと一歩、僅差で敗れる

レクリング

 悲願の東日本学生リーグ戦(リーグ戦)優勝へ、あと1勝が届かなかった。グループリーグ最終戦で拓大との全勝対決を制して2年ぶりに進出した決勝はいきなり3連敗。ここから3連勝して同点まで追い上げたが、120キロ級で前川勝利(スポ3=茨城・霞ヶ浦)が惜敗して2位に終わった。なお、早大からは大坂昂主将(スポ4=秋田商)が敢闘賞を受賞した。

流れを変える働きを果たした保坂

 拓大とのグループリーグ最終戦。嫌な流れを変えたのは保坂健(スポ3=埼玉栄)のフォール勝ちだった。昨年準優勝した拓大の前に早大は66キロ級を終えて1-2と劣勢となる。ここで74キロ級に登場したのが保坂。保坂も1ピリオド(P)を取られる展開となるが、2P中盤に拓大の岩渕尚紀の足を取って投げを打つ。この3点技が見事に決まると、その後のグラウンドでも保坂の足が相手の足をしっかり絡みつき、相手の動きを封じていた。そして、うつぶせだった岩渕の体を徐々に返し、最後には完全に背中をつけてフォール。鮮やかな勝利に早大部員が一気に沸いた。続く84キロ級の北村公平(教4=京都八幡)は昨年の全日本学生選手権84キロ級覇者の赤熊猶弥(4年)の反則を誘って勝利し、王手をかける。そして試合を決めたのは大坂主将。相手を寄せ付けない快勝で決勝進出を決めた。

 拓大戦のおよそ3時間後に行われた決勝の相手は山梨学院大。昨年覇者の日体大を破って決勝へ進出したチームとの対戦は、いきなり3連敗して後の無い状況になる。ここで再び光ったのが保坂。常に先攻して主導権を渡さず、早大に1勝目をもたらした。さらに北村、大坂が勝って3-3の同点となり、勝負は120キロ級の前川に託される。前川の相手はカザフスタンからの留学生アレッグ・ボルチン。前川はきのう「タックルはすごい」と警戒していたように、ボルチンの強烈なタックルを切ってバックに回り先制点をあげる。しかし、ここから最後の1勝が遠かった。終盤ついにタックルをしのぎきれずに失点。2P目も立ち技から先制したが、再三のタックル攻撃から失点し、「強引にいっちゃった」(太田拓弥コーチ)というグラウンドでの技を切り返されてフォール負け。手の届くところまできていた栄冠を逃した。

前川がボルチンに敗れて逆転優勝ならず

 優勝という目標へあと一歩届かず、試合直後にはがっくりと肩を落とす選手の姿も見られた。しかし、閉会式を終えて、チームの意識はもう次戦へ向かっている。大坂主将は「全グレ(全日本大学グレコローマン選手権)と内閣(全日本大学選手権)で優勝しましょうという声が出てきていて」と部の雰囲気を語ってくれた。次の団体戦となる全グレへは残り5か月。あと一歩の差を埋めるには十分すぎる時間がある。

(記事、写真 三尾和寛)

優勝はならなかったが、2位に入った早大チーム

結果

▽1部Bブロック

7回戦 ○早大4-3拓大

▽決勝

●早大3-4拓大

※最終成績=2位

 大坂が敢闘賞受賞

コメント

太田拓弥コーチ

――準優勝という結果はいかがでしょうか

きょうの拓大戦はしっかり一丸となって勝ってくれて、負けた試合も内容は良かったですし、総合力は出たかなと思います。しかし、最後の決勝に関しては、力は出し尽くしたとは思いますが、負けたものもそうですがあと一歩足りなかった部分が優勝につながらなかったのではないかなと思いますね。

――きょうの試合、保坂選手がかなりキーマンになっていたと思います

そうですね。きょうの試合もしっかり勝ってくれました。本来66キロ級の選手なのですが、北村と1階級ずつ上げて挑むというメンバー編成をした中で、1階級上でやってくれたと思います。

――1階級上げたというのはどうのような意図ですか

多胡島が力をつけているので、66キロ級に2人いるともったいないというのがあって、66キロ級が多胡島、74キロ級が保坂、84キロ級が北村という編成にしました。

――決勝の最後の1試合に関してはいかがでしょう

試合前に本人とも話をして意思確認したのですが、全日本大学選手権で優勝した時のような前さばきとか、ちょっと強引になってしまいましたね。確実にタックルを切って、バックを取りにいくというのを前川には話していたのですが、ちょっと強引にいっちゃったところを抑えられたので、そこらへんが課題点かなと思います。

――来月にある東日本学生春季新人戦、明治杯全日本選抜選手権に向けて一言お願いします

個々の力は間違いなく上がっていると思うので、新人戦で1人でも多く優勝させて、全日本選抜も同じように。この全日本選抜に関してはオリンピックが終わって初めての世界選手権の選考会ということもあるので、1人でも多くワセダから世界選手権に選手を出して、まず世界を経験してもらいたいと思います。

大坂昂主将(スポ4=秋田商)

――目標にはあと一歩届かない結果になりました

そうですね。最初は三冠というのを掲げていて、その目標はもう達成できないですけど、後輩から「全グレ(全日本大学グレコローマン選手権)と内閣(全日本大学選手権)で優勝しましょう」という声が出てきていて、本当に頼もしいなと。その2つは絶対優勝しなくてはいけないと引き締まるというか。負けたことがプラスに作用していると思いますし、この4日間でチームが一つになって、自分が思い描いていたチームになったのかなって。すごい、財産ですねこの4日間は。

――きょうの試合、個人としてはいかがですか

個人としては絶対に勝つと。初戦は絶対僕で決めてやろうという気持ちでしたし、絶対勝つつもりだったので。キャプテンとしての最低限の仕事をして、きょうは良かったと思います。

――負けがプラスに作用しているというお話がありましたが、次戦に向けていかがでしょう

チーム全体が「次は勝つ」と。後輩が言ってくれているのでね(笑)。僕もその気持ちに切り替わっていますし、あとは3-4で負けましたが、その僅差をどう埋めるかが全グレ、内閣までの課題だと思うので、そこを考えて練習していきたいと思います。