大学レスリングの3大団体戦の一つ、東日本学生リーグ戦(リーグ戦)が開幕した。この大会を含め3冠を目標とするワセダは1日目、東農大、法大と対戦。どちらも相手に1勝もさせずに勝利を収め、幸先の良いスタートを切った。
切り込み隊長役を務めている西
はっきりと「目標は優勝」と大坂昴主将(スポ4=秋田商)が宣言するこの大会。このリーグ戦に向ける意気込みの強さは初戦から感じられた。トップバッターを務めたのは55キロ級の西洸大(スポ4=京都・網野)。「自分のやりたい技をかけられた」と話す通り、素早く相手選手の背後に回り込んでポイントを積み重ねる。その後、開始1分40秒で早くもフォール勝ちを収める。西は続く法大戦でもフォール勝ちで残りの選手へ良い流れを作った。その後出てきた選手も順調に勝利すると、96キロ級では大坂主将が登場。「自分の中で決めている形」と語るバックを取ってからのローリングでポイントを奪い、相手を寄せ付けない。第1、第2ピリオド(P)共にテクニカルフォールを奪う完勝だった。
続く2戦目、法大戦にはメンバーを多少入れ替えて臨んだ。注目は先月のJOC杯ジュニアオリンピックで優勝を果たした66キロ級の多胡島伸佳(スポ1=秋田・明桜)。「思ってたよりは緊張した」と語る多胡島だったが、頭の中は至って冷静だった。第1Pでは相手を警戒し、様子見の構え。「これは取れるな」と判断した第2Pではその攻撃センスを遺憾なく発揮。相手選手の片足を持ちながら足技を決め3点を獲得するなどして、テクニカルフォールを奪い勝利した。ワセダのもう一人のエース北村公平(教4=京都八幡)は84キロ級で登場。こちらもローリングで試合の主導権を握る。終盤には相手を完全に持ち上げる豪快な投げも見せ、相手に何もさせなかった。両試合とも最後に登場したのは120キロ級の前川勝利(スポ3=茨城・霞ヶ浦)。前川も2試合ともフォール勝ちで試合を締めくくった。
1年生ながら66キロ級で出場した多胡島
「長い4日間が始まる」、大坂主将は試合前、チームメイトにそう語った。それを乗り切るために主将はチームとしての一体感を重視している。そしてきょう、試合で感じられたのは、ベンチからも客席からも聞こえる早大選手の声。「リーグ優勝に向けてみんなの気持ちが一つになってきているのかな」(大坂)。3冠という最高の結果を目指して、まずリーグ戦残り3日間、チーム一丸で相手に全力で立ち向かう。
(記事 井上義之 写真 井上義之、三尾和寛)
結果
▽1部Bブロック
1回戦 ○早大7-0東農大
2回戦 ○早大7-0法大
コメント
大坂昂主将(スポ4=秋田商)
――団体戦初戦、良いスタートが切れましたね
そうですね、応援してくれているメンバーも含めてみんなしっかりと声を出してくれていて、チーム一丸となって戦うことが出来たと思います。僕がキャプテンに就任したときからずっと言っていることをやってくれているので、僕が望んでいたチームになってきていると言いますか、リーグ優勝に向けてみんなの気持ちが一つになってきているのかなと思います。
――チームとして最初に掲げられた目標とはどのようなものだったのでしょうか
リーグ戦、10月の全日本大学グレコローマン選手権、そして、全日本大学選手権の3つで優勝する3冠を達成することです。それを成し遂げるためにどうするのかといったときに、僕がチームが一つの同じ方向を向いていこうということを伝えました。今日はそのことがよくできていたので、僕もキャプテンをやっていて楽しかったです。
――試合前にチームにどのような言葉をかけて、試合に臨みましたか
いつもと同じようなことですね。ついにこの日がきたぞ、と。長い四日間が始まるけれども、優勝するためにはチーム一丸となって、ということを伝えました。
――ご自身の試合を振り返ってみていかがでしたか
すごく調子が良いですね。試合前も怪我が多かったのですが、ここまで良い感じで調整できています。バックを取ってからのローリングという自分の中で決めている形でポイントを奪うことができました。
――昨年と比べて今シーズンの調子はいかがですか
毎年なのですが、全日本学生選手権(インカレ)までは非常に調子がいいんですよ。2年次はインカレで両スタイル優勝、きょねんもグレコローマンでは2連覇したりなどです。言い訳にはしたくないのですが、きょねんは試合の前に怪我をしてしまうことが多くありました。しかし、これでは上に頼れる先輩がいたのですが、ことしは自分が引っ張っていかなくてはならないので、3冠達成するためにも、僕が全部の大会で優勝しなくてはならないと思っています。その面を考えても、しっかり調整して、怪我をしないようにやっていかないと、とは思います。
――残り3日間に向けての意気込みをお願いします
僕たちの目標は優勝することなので、優勝するために何ができるかということを自分で考えて、チームを優勝に導きたいと思います。
西洸大(スポ4=京都・網野)
――初戦の選手でしたが、どういう気持ちで試合に臨みましたか
1番バッターという事で、チームの勢いに一番関わりのある役目だと思うので、いい流れをつくれるように意識してやりました。
――調子はどうでしたか
まあぼちぼちです。
――試合内容はいかがですか
内容は、自分のやりたい技をかけられました。明日以降もっと強い相手が出てくると思うので、油断せずに頑張っていきたいです。
――今大会の目標は
最後の年なので優勝したいです。個人としては全試合に勝って、チームに貢献したいです。
多胡島伸佳(スポ1=秋田・明桜)
――初めてのリーグ戦はいかがでしたか
きのうまで全然試合の実感がなくて気持ちも乗らなくて若干不安だったのですが、いざ会場に来て各大学の応援を目の当たりにして、思っていたよりは緊張したかなという感じですね。
――最初は様子見が多いように感じましたが
普段すごくレベルの高い先輩と(練習を)やっているので、相手もそのレベルなのではと思って若干警戒して見ていたのですが、1ピリオド目を取って、「あ、これは取れるな」というのが自分でも分かったので2ピリオド目は自分から行ったという感じです。
――2ピリオド目は相手の片足を大きく持ち上げてからの攻撃で3点を稼ぎました
あれは他の選手の試合を見ていて気になるプレーとして自分の頭の中にはあって、それと同じような場面が来たのでやったのですが、本来はあれで前に押し出したり相手を若干引きずってというかばてさせて得点するのですが、結果的にビッグポイントになったのでよかったかな、と。
――他大学の選手の印象はいかがでしたか
個人の試合ではなく団体の試合なのでいつもより気合が入っていると思いますし、まして僕は1年生ですけど4年生、3年生となれば数少ないリーグ戦のチャンスなのでなおさら死に物狂いで勝ってくると思うので、やはりそこを気持ちで負けないようにしないとなということは見ていて感じました。
――きょうはリーグ戦の初戦で危なげなく2試合とも勝利を収めましたが、残り3日間どのように戦っていきたいですか
この試合は各大学の対抗戦なわけで、普段大学でおのおのが練習していることが出る場だと思うので、やはりワセダという大学で練習してきたことを出して勝ちたいなと思います。